取りあえず、場所を皇宮に代えることにしました
「「「えっ?」」」
俺もアンジェもバルトもエーベルの婚約破棄宣言に開いた口が塞がらなかった。
皇子と王女の婚約は国と国の契約だ。
それを貴様のような若造の一言で婚約破棄出来ることではないぞ!
俺は余程そう叫びたかった。
俺はむっとしてエーベルを無視してバルトを睨み付けるとバルトも唖然としていた。
なんか頭を抱えているし……
「アンジェリーナ。貴様、ミーナが俺と親しいからという理由で、破落戸どもを雇ってミーナを襲わせたな」
エーベルが何か言ってくれたが、何を証拠に言うのだ?
「聖女殺人未遂の罪でアンジェリーナを逮捕せよ」
近衛達がこちらに殺到しようとした。
「寄るな!」
俺は今回バルトからもらった宝剣エクスカリバーを持って来ていたのだ。
それを抜き放つや、アンジェに近寄ろうとした近衛を牽制した。
それで近衛はぎょっとした。
「バルト、どういう事だ?」
俺はバルトを睨み付けていた。
「いや、どういう事と言われても、ええい、取りあえず、近衛は控えろ!」
バルトが命じていた。
「へ、陛下!」
「えっ、そんな」
近衛達は俺の横に皇帝がいるのに気付いて慌てた。
「近衞騎士に次ぐ、直ちにその場に跪け」
近衞騎士団長が命じていた。
「しかし、私の命令系統はエーベル様で」
エーベルの直属の騎士が抵抗するが、
「陛下に逆らうのは反逆罪の適用になるぞ。それでも良いのか?」
「は、反逆罪ですか?」
近衞騎士団長の話に隊長とおぼしき者は唖然としていた。
皆は慌てて跪く。
「エーベル、貴様、何をしているのだ。このようなところに大量の近衞騎士を連れてきて。アンジェリーナはフランク王国の王女殿下だぞ。それを拘束すればすぐに外交問題になるのが判らんのか!」
「お祖父様。今回の件をフランク王国の大使館にお伝えしたところ、アンジェリーナ様の事についてはフランク王国はあずかり知らぬ事だと言われました」
鬼の首を取ったようにエーベルが言いだしてくれた。
「さようでございます。聖女様を暗殺未遂するような者はフランク王国の王女殿下ではありません」
俺はそう叫ぶガマガエルのような大使の顔を睨み付けた。
「ほう、そこのガマガエル。前聖女アンヌとフランク国王ダニエルの間に生まれたアンジェリーナ様に対する不敬罪でこの聖剣の露払いをしてやろうか!」
俺は剣を上段に構えた。
「ヒェェェェ」
ガマガエルは腰砕けになって、その場に倒れてくれた。
「バルト、なんか皇帝の権威も大したことはないのだな。まあ、剣聖の俺の権威も自国の大使にまで馬鹿にされるくらいだから大したことはないが……」
「本当だな。ラフィー、俺はもう引退したくなったよ」
バルトが言い出すが、
「ふんっ、そういう訳にもいくまい。まあ、引退するならばこの場をなんとかしてからにしてくれ」
俺はエーベルに頼んでいた。
「エーベル。貴様とアンジェリーナ嬢の婚約は俺が結んだものだぞ。当事者とはいえ、貴様風情がどうにも出来るものではないわ」
「しかし、ミーナを殺そうとしたことは確かです」
「アンジェリーナ嬢自らが手を下したのか? 先程から俺はアンジェリーナ嬢の横にいるが……」
「本日の帰路にミーナが襲われたのです」
「アンジェリーナにか?」
バルトはアンジェとエーベルを見た。
「いえ、私はラフィーしか見ていませんし、ミーナさんを襲ってはおりません」
アンジェが首を振ってくれた。
「ラフィーが襲ったのか?」
「そんな暇ではない。俺は姫様を赤点回避させるために大変だったのだ」
「ちょっとラフィー、余計な事を言わないでよ」
アンジェが怒り出したが、事実だ。
「私は悪役令嬢アンジエリーナに示唆された破落戸に襲われたのです」
その横でミーナが叫んでくれた。
「ミーナ嬢。アンジェリーナ嬢はフランク王国の王女殿下だ。そこの大使よりもはるかに上の地位のお方だ。その方に対して悪役令嬢というのはいかがなものか」
「しかし、悪役令嬢なのは事実です」
ミーナは言い張った。
「不敬罪で連行されてもか?」
「お祖父様」
「その破落戸がアンジエリーナ殿下が雇ったという証拠はどこにあるのだ?」
「その男はアンジェリーナのために殺すと叫んでミーナを襲ったのです」
「その証拠は」
「証拠とは? それだけで十分ではありませんか」
「おい、エーベルハルト。アンジエリーナ殿下が頼んだという証人がいるのか? そうか手紙か何かはあったのか? そもそもその犯人は捕まえているのだろうな?」
「いえ、犯人は斬って捨てました」
「それではその者がそう叫んでいただけではないか。どこにも証拠はないぞ」
バルトが指摘した。
「すぐに証拠を探します」
「おいおい、証拠をねつ造するんではないだろうな」
俺がそう言うと
「そのようなことはしません」
エーベルが首を振ってくれた。
「取りあえず、エーベル。このような場で話すことでは無い。場所を皇宮に変えよう。ラフイーも付き合ってあくれ。アンジェリーナ嬢も良いな」
「俺は良いが」
「仕方ないですね」
俺達は皇宮に場所を移すことにしたのだった。








