成績発表を見て点数が上がったので喜んでいたら、聖女と皇子に突っかかられたので、聖女が赤点だと教えてやりました
そして、遂に運命の日が来た。
学園の一学期の終業式、そして、サマーパーティーの当日だ。
この日は最初に成績発表があって、その後に終業式だ。
いつもの時間に登校したら、既に多くの者が来ていた。
成績発表の場所の中庭は凄まじい人だった。
中々、前にはいけない。
「ラフィー、抱っこして!」
アンジェが、言い出した。
「はいはい」
俺はアンジェを抱き上げた。
アンジェのお尻を持ち上げて、肩にあげる。
「きゃっ!」
いつもより高いのでアンジェは悲鳴をあげてくれた。
俺の頭にしがみついてくるのが、なんか可愛い!
「ラフィー、落とさないでよ!」
アンジェが、悲鳴をあげるが、
「これくらい、大丈夫ですよ。昔よく肩車したでしょう」
「あのときは小さかったもの。今は重いでしょ」
「丸太に比べれば軽いですよ」
「丸太なんかと比べないでよ」
ムッとしてアンジェが俺を睨み付けるが、
「さっさと見ないと時間が、無いですよ!」
俺が促すと、アンジェは目を凝らした。
「あっ、ラフィー、凄いわ!」
「何がですか?」
「ラフィーが二十番目にいる」
俺も目を凝らすと確かに俺の名があった。
「あっ、私が、隣にいるわ」
キャッキャッ喜んでアンジェが、俺の頭に抱きついてくれた。
「えっ、姫様、見えないですよ!」
「私が70番目よ」
「良かったですね」
俺はほっとした。200人中の70番なら問題は無いだろう。まあ、未来の皇后の立ち位置としてはもうひとつだが、皇后なんて民と寄り添っていれば良いのだ。点数はこんなものでも良いだろう。
これなら赤点は無かったのでは無いか!
俺はほっとした。
成績で婚約破棄される事は無いはずだ。
「良かった。ラフィーの隣で」
なんかアンジェは下らない事で喜んでいるが……
「次は21番に入ってくださいね」
俺が言うとアンジェは目をそらしてくれて、
「あっ、ヒルデが120番でニコが121番。オスカーが170番よ。皆固まっているわ」
別の話題にしてくれた。
「えっ、アンジェリーナさん、それ本当ですか?」
後ろからオスカーが聞いてきた。
「アンジェ、総合順位はどうでも良いから、その横に赤点の補講者の名前が貼り付けられているでしょう。その名前見てよ」
後ろからヒルデが尋ねてきた。
「えっ、横の補講ね、ヒルデは無いわよ」
アンジェが、言う。
「本当に?」
「俺は?」
オスカーが聞いていた。
「オスカーは歴史に名前がある」
「ええええ!、あんなに勉強したのに!」
「アンジェ、私は?」
イレーネが横から聞いてきた。
「イレーネは無いわよ」
「俺は?」
モーリッツが聞いてきたが、
「もう面倒くさいから、クラスの皆の補講者読み上げるわよ」
「歴史はオスカーとザックとヨハン」
「ええええ!」
「そんな……」
三人がその場に沈んでいた。
赤点があるのは、歴史と地理と数学だった。
でも、クラスの面々は全部で10人もいない。
赤点の数は見る限りD組の方が多かった。
これは快挙では無いだろうか?
俺が密かに思った時だ。
「ちょっと、そこの噂の二人。邪魔よ!」
そこに、エーベルを伴ったミーナが現れた。
「婚約者がいるのに、他の男に抱き上げられるなんておかしいんじゃ無いのか?」
「本当に、さすが悪役令嬢ですわ」
側近のヨーナス達が言いだしてくれたが、
「何言っているのよ。そちらの聖女こそ、人の婚約者の腕に無駄にでかい胸を押しつけてくるの止めてくれない」
アンジェが言い返した。
「何ですって!」
切れる聖女に
「エーベル様はミーナ様をエスコートしているだけだ」
ヨーナスが言い訳した。
「二人とも止めろ」
エーベルが止めようとしてくれた。
「それとアンジェリーナも流石にはしたないだろう。剣聖の肩から降りたらどうだ」
でも、エーベルはアンジェにも注意してきた。そんなのアンジェが聞くわけは無いでは無いか!
「それ、私という婚約者がありながら、他の女に胸を押しつけられてヘラヘラ笑っているあなたに言われたくないわ」
「何だと」
二人が睨み合ってくれたが、アンジェが俺の上にいるからアンジェの方が圧倒的に高いのだ。
バチバチ俺を間に挟んで言い合うのは止めてほしい。
「それよりも、聖女さん、補講の中にあなたの名前がちらほら散見されるが、そちらは良いのか」
俺が遠目に三年の補講を見るとミーナの名前が数学と地理と歴史にデカデカと載っているので促してやると、
「はああああ! そんなわけ無いでしょう」
ミーナが叫んだ。
「そうだ。剣聖殿、そのような言いがかりは止めてもらおう」
エーベルまで俺に突っかかってきた。
「見てきたらすぐに嘘かどうか判るだろう」
慌てて、皇子とミーナが張り出している前まで強引に進んで確認していた。
「ちょっと、どうなっているのよ。絶対におかしいわ」
ミーナのヒステリっくな声がここまで響いてきた。
「ふんっ、人のことを馬鹿にしてちゃんと勉強していないから」
いい気味よとアンジェが言った時だ。
「アンジェリーナさんとラファエルさん。二人して何をしているのです!」
マイヤーの叱責の声がした。
俺は慌ててアンジェを降ろしたが、既に遅かった。
それから予鈴がなるまで延々とマイヤーからそのようにはしたないことをしてはいけませんと怒られたのだった。




