テスト前日、王女に婚約者と仲良くするように諭しました
アンジェ達ははそれからも勉強に精を出してくれた。
アンジェは相変わらずキスしてくるんだが、俺は適当に流すことにした。
アンジェは母もいないし父もいないのと同じだ。
俺くらいしか甘えられる奴はいないんだろう。
それくらい大目に見ようと思った。
それにゲームではとてもエーベルに執着していたし、二人が付き合い出せば悲しいことに俺の事なんてすぐに忘れるはずだ。
俺はそう思っていた。
そして、テスト当日が来た。
今日は歴史と地理だ。
俺からしたら問題はとても簡単だった。
イレーネも楽勝で出来たみたいだ。
アンジェやヒルデ、ニコも半分位は取れたみたいで赤点はなんとか回避出来たみたいだった。
「なあ、ニコ、現皇帝陛下ってブルクハルト様だったよな?」
テストの終わった後で答え合わせをしていたらしいオスカーが尋ねていた。
「何言っているんだよ。現皇帝陛下はこのクラスにもいらっしゃったことがあるバルトロメウス様だぞ」
剣術に例えたらニコが一刀両断にして斬り捨てていた。
「えっ、そうだったのか! 聖女のミーナ様がそうおっしゃっていらっしゃったような気がしたが……」
「まあ、オスカー、何を言っていますの。現皇帝陛下はバルトロメウス陛下に決まっておりますわ」
そこに何故かミーナが登場してきた。
今日はエーベルでなくて教会の取り巻き令嬢達を連れている。
「ええええ! 前にブルクハルト様だって」
「何を言っているのです。ブルクハルト様は皇太子殿下でいらっしゃいますわ」
ミーナもちゃんと覚え直したみたいだった。
「そんな……」
それを聞いて、オスカーがショックを受けていた。
何をしに来たか判らないが、明日は数学や理科がある。すぐに帰って復習しなければ……
俺はミーナを無視して帰ろうとした。
「よし、じゃあ、帰って明日の勉強をしようか?」
俺がアンジェを促すと、
「まあ、貴方は相も変わらず悪役令嬢のアンジェリーナと親しいんですのね」
意味深にミーナが言い出してくれた。
「まあ、聖女様、私達からしたら親しすぎるような気がしますわ」
後ろでガーベラとか言う取り巻きがそれに追従してくれたんだが、
「私が私の騎士のラフィーと親しくしていて何が可笑しいの?」
平然とアンジェは言い返していた。
「騎士と言っても馬車で二人きりで乗ったりしておかしくありません事?」
ミーナが更に突っ込んできてくれた。
「別に、ラフィーには馬車の中でも勉強を教えてもらっているのよ。貴方こそ、明日のテストの勉強しなくて大丈夫なの?」
「何をおっしゃっていらっしゃるの? 明日の数学と理科は私は余裕なのよ。何しろ前世ではもっと難しいことを学んでいたんだから」
又余計な事をニーナが言ってくれたが、これで完全にミーナは転生者だと判ってしまった。
でも、こいつの頭で覚えているのか?
俺はそれが不思議だった。俺でも復習しないと難しく感じたのに!
「そう。じゃあ、ラフィー、いくわよ」
アンジェはミーナを適当に無視すると、俺の手を引いてずんずん歩き出してくれた。
「まあ、二人で逃げるように帰って行くのね。ますます怪しいわ」
「本当に!」
いやらしい笑みを浮かべるミーナ達を無視して外に出ると、
「ちょっとラフイー様」
「最後の模擬の問題下さい」
ヒルデとニコが追いかけてきた。
最後の模擬試験の問題と解答を俺は馬車乗り場の前で二人に渡した。
「有難うございます。これで完璧です」
「でも、本当に聖女様たちがたちの悪い噂を流してますけど」
「良かったんですか?」
ヒルデとニコが尋ねてきた。
「まあ、いざという時は証言を頼むよ」
俺が2人に頼むと、
「それは全然問題ないですけど……エーベル様はどうするつもりですかね」
ニコが聞いてきたが、それは俺にも判らなかった。
確かにエーベルはほとんどアンジェに接触してこなかった。
俺がアンジェと親しいのが気になっているんだろうか?
そのくせ自分は相も変わらず聖女と一緒だし……まあ問題はないだろう。
俺はそう思うことにした。
それでも馬車に乗る前に、「姫様、俺は馭者台に乗ろうか?」噂を気にして俺が言うと
「何言っているのよ。ラフィー。今更でしょ」
アンジェはそう言うと強引に私を馬車に引っ張り上げてくれた。
そして、そのまま俺の唇を奪ってくれたんだが……
いや、だから止めろって!
俺が止めようとしたが、アンジェの舌が俺の舌に絡まってくれた。
完全にディープキスをしているんだけど……俺は思わず股間が硬くなってしまった。
おさえろ、ここは押えるんだ!
俺は理性を総動員した。
「ラフィーは私の物なんだから、他の奴の言うことは気にしないで」
アンジェはやっと俺を解放してくれたが、その後俺の膝に乗ってそう言ってくれるんだが……
でも、俺も男だからあまりディープキスをしたり、抱きしめたりしてほしくない。
今も股間が膨らんでちょっとまずい。
いつ俺のリミッターが吹っ飛ぶか判らないんだから。
その日も帰って遅くまで最後の勉強をした。
明日はテストの最終日だ。
その夜も俺の部屋で最後の復習をした。
「はい。姫様、よく出来ました」
答え合わせをして数学が全問正解だったアンジェを俺は褒めていた。
「ラフィー、ここまでつきあってくれて有難う」
そう言うとアンジェがいつもの如く俺に抱きついてきた。
そして、大きな目をくりくり開けて、
「よく出来ましたのキスして」
唇を少し開けて俺を下から見上げてくれた。
アンジェが一番可愛く見えるポーズだ。
俺は仕方なしに
チュッとアンジェの唇にキスした。
「ええええ! もう終わり? あんなに頑張ったのに!」
アンジェが文句を言ってくれた。
「これ以上は婚約者にしてもらって下さい」
俺がそう返事すると、
「判った。約束だからね」
何故かアンジェと指切りすることになったんだが、何故ここで俺がアンジェと指切りする必要があるんだ?
俺はキョトンとしてしまった。
「おやすみなさい!」
アンジェはそう言うとその日はやけにあっさりと身を引いてくれたんだが……
俺は不覚にもアンジェが少し大人になったんだと少しだけ寂しく感じていた。
さて、テストがついに終わります。
アンジェのご褒美に求めるものはなんでしょう?
お楽しみに




