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王女が抱きついてきてくれて俺は困り果てました

 アンジェを助け出した後で、カンタローネがやってきたことで、俺は完全にミーナに嵌められたのを知ったのだ。カンタローネは完全にミーナの味方だ。

 本当に面倒くさい。俺が助けに行っただけなのに!

 何故保護者がその娘と逢い引きする必要がある?


 アンジェは別にラフィーと噂になっても良いとか訳の判らない事を言ってくれているし……良くないだろう!

 ニコやヒルデやイレーネが俺のアリバイをちゃんと証明してくれた。

 なのに、聖女達は俺とアンジェが逢い引きしていたなんて下らない噂を流してくれて、絶対に許せなかった。


 こんな理由でアンジェがサマーパーティーでエーベルから断罪された日には怒り狂う自信はあった。


 俺はクラスの皆は元より、最悪な時は辺境伯令嬢のクラーラにも証言してくれるように根回しをしておいた。


 サマーパーティーにはついでにバルトも来るはずだ。


 まあ最悪の断罪修道院送りは何としても阻止したい。


 俺は帰りの馬車の中であのミーナに嵌められたと知って少しショックを受けていた。


 最近ミーナ達が静かにしていたので油断したのが悪かった。でも、まさか老騎士の俺とアンジェを結びつけるなんて事を企んでいたなんて……


 でも、少し考えたら、予知できたかもしれなかった。

 トイレに行くのにイレーネ達も一緒に入れば良かったのだ。

 俺が気になって一人で女子トイレに走り込んだのが間違いだった。


 俺が頭を押えて考え事をしていた時だ。

 唇に柔らかい物がふにゅっと当たった。


 前を見るとアンジェが俺の唇に自分の唇を合わせてくれていた……


 おい、何やっているんだ!

 そんなことするからミーナにつけ込まれるんだろう!


 俺が慌てて止めさせようと口を開けた時だ。

 その唇の間から柔らかい物が俺の口の中に入ってきて俺の舌にちょこんと当たったのだ。

 一瞬だったが……それってアンジェの舌だ。俺の舌とアンジェの舌が一瞬接触した。


 おい、これって親愛のキスを超えているのでは……

 俺は真っ赤になった。

 キスなんてアンヌとした以来だ。

 俺が目を見開いてアンジェを見ると、


 アンジェは世にも幸せそうな顔をしているんだが……えっ、なんで?


「ラフィー、何を考えているの?」

「いや、何を考えているって、姫様の事に決まっているだろう?」

「ええええ! 本当に? その割に難しい顔している!」

 なんかアンジェは膨れてくれた。


「こんな可愛い私を膝の上に乗せているんだからもっと嬉しそうにしてよ」

「いや、姫様、俺は姫様の保護者で」

「保護者?」

「なんだ。俺が保護者じゃいやですか?」

「嫌じゃないけれど、一生涯ずっとこうしていたい」 

 俺の胸の所を掴んで頭をちょこんと俺の胸板に載せてくれるんだけど……


「いや、でも、姫様は婚約者がいらっしゃって」

「あんな頼りない婚約者よりラフィーの方が良い」

「いや、それは」 

 俺が更に言い続けようとした時だ。

 少し膨れたアンジェが俺の顔に触れてもう一度キスしてきたのだ。


 いや、ちょっと待って……


 そう叫ぼうとしたら俺はアンジェの舌に自分の舌を絡め取られてしまって、唖然とした。


「私はラフィーとずっと一緒にいられたらそれで良いの」

 アンジェはそう言うと俺にぎゅっと抱きついてきたんだけど……真っ赤になった俺はそのアンジェを抱きしめていることしか出来なかった。

 頭の中がパニックになってよく回らなかった。


 でも、アンジェの舌の感触が昔アンヌとキスしたことを思い出させてくれた。

 魔王からアンヌを護った時にアンヌからキスされたのだ。

 その時は俺がアンヌと結婚すると思っていたのだ。


 まあ、それは甘かったのだが、結局横から出て来たダニエルにかっ攫われてしまった。

 あれは俺の痛恨のミスだった。

 あの時もっとぐいぐい攻めれば良かった。

 そうしたらダニエルに取られる事なんて無かったのに!


 アンジェが俺に甘えられるのもあと少しだ。

 この可愛い生き物を抱けるのもあと少しだ。

 まあ、少し喰らいよかろう。

 俺はアンジェを強く抱きしめていた。

 そして、思ったのだ。なんとしてもアンジェは幸せにしないと。


 昔からアンジェを抱き慣れているけれど、最近は丸みを帯びてきてますます可愛くなった。

 と言うか女性らしくなってきた。

 俺も男だからアンジェに欲情しないとも限らない。


「姫様。姫様にはエーベルという婚約者がいるんですから、あまり人前で俺に抱きつくのは良くないです」 

「何故良くないの?」

 キョトンとアンジェが聞いてきてくれた。


「それは俺は姫様の保護者のつもりですが、血の繋がっていない男と女が二人っきりでいるのは良からぬ噂がたつかもしれません」

「別に私はずっとラフィーと一緒にいても良いよ。ラフィーは嫌なの?」

 アンジェは俺を下から見上げてくれた。

 なんかその姿がとても可愛かった。


「嫌なんて事はありませんけれど」

「じゃあ良いじゃ無い」 


 アンジェはそう言うと俺にぎゅっと抱き付いてきたんだけど……

「いや、そういう訳にはいかないでしょう」

「なんか眠くなってきたから寝る」

 アンジェはそう言うと俺の胸の中で眠ってくれたんだけど……

 俺は可愛いアンジェを胸に抱きつつ、何故かモンモンとしていた。



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