悪役令嬢視点 白馬の王子様と二度目のキスを強引にしました
キャッ!
ラフィーとキスしてしまった!
一瞬だったからよく判らなかったけれど、唇と唇が確かに触れ合った。
なんか少し温かな物が触れ合ったような気がした。
「本当にアンジェリーナ様は婚約者がいらっしゃるんですから、一応ラファエル様はアンジェリーナ様の育ての親ですが、独身の男性なんですから。お気をつけ下さい!
ラファエル様もそれが判っているはずなのに本当にどうしようもありませんわ」
横でカミラがブツブツ文句を言ってくれたが、ラフィーは育ての親じゃなくて、私の白馬の騎士様なんですけど!
ここで言い返したら10倍になって返って来るのはマイヤーと同じだから、黙っていたけれど……
私は布団に入っても中々眠れなかった。
だって、初めてラフィーとキスしてしまったんだもの……
ラフィーとキスして思ったのは、やっぱりエーベルとは無理。
あいつとキスするなんて考えてたら怖気がした。
確かに顔は良いかもしれないけれど……いや、顔もラフィーの方が格好良い。
特に私の前に立って赤竜と戦ってくれたラフィーの顔が、頼もしくて凜々しくてとても良かった。
ラフィーはずっと私だけの騎士だったのだから!
エーベルはミーナと結婚したいみたいだし、婚約破棄しても問題ないと思う。
このテストが終わったらラフィーの友達の皇帝陛下に私がラフィーのお嫁様になれるように頼んでみようと私は思った。
その前にマイヤーに相談しても良いかもしれない。
昔、話している時にラフィーと私が結婚できないことはないとか言っていたような覚えがあった。
別に魔王を倒した剣聖に一国の王女が降嫁しても良いはずだ。
今はラフィーも帝国の子爵様だし、身分的にも問題はないはずだ。
父親は反対するかもしれないけれど、私に刺客を送ってくるくらいだ。無視しても良いだろう。
実の親が刺客を送ってくるってどういう事と思わないでもなかったけれど……まあ、王妃が色々暗躍してくれたんだと思うけれど……
まあ、屑親のことは今は良い。
それよりラフィーだ。
ハンネローレや辺境伯の孫のクラーラや、デリアやエルネスタ達が狙っているみたいだけれど、絶対に渡さないんだから。
付き合いの長さで言えば圧倒的に私だし……
でも、ラフィーの前では我が儘王女になっていたし、ラフィーにとって娘としか思ってくれていないかも。
それがネックだ。
でも、ファーストキスはラフィーとしたし、イレーネは最後は既成事実を作れば良いとか言っていたけれど、何をすれば良いんだろう? 肝心なことは私はラフィーやマイヤーから教わっていなかった。
マイヤーからは殿方に任せばいいとか言われていたけれど……
まあ、取りあえず、ラフィーに意識してもらわないといけないのかも……
明日からも頑張ろう。
でも、どうしたら意識してもらえるかな……
それを考えたら中々眠れなかった。
翌朝は中々眠れなかったのが災いして寝過ごしてしまった。
ラフィーの朝練に付き合おうと思ったのに……失敗した。
制服を着て食堂に行くと既に制服を着たラフィーが朝食を食べていた。
「おはよう、ラフィー」
私が挨拶すると
「おはようございます。姫様」
ラフィーが挨拶してくれた。
うーん、でも私に対して敬語だ。
それに姫様だなんて他人行儀だ。
昨日はキスまでしたのに!
まあ、普通はそうなんだけど……
出来たらアンジェって呼び捨てにしてほしかった。
「ん、どうかしました?」
「あーん」
私は仕方なしにラフィーの前で口を開けた。
「本当に仕方ありませんね」
ラフィーはそう言うと私の口の中にパンをちぎって入れてくれた。
うーん、何か違う。
我が儘な娘が父親に食べさせてもらっている感じになっているんだけど……
もう少し考えないと!
馬車の中ではラフィーが教科書片手に問題を出してくれていた。
「帝都の人口は?」
「約100万人」
「その特産物を3っつあげよ」
「貴族のドレスと魔道具に薬草」
「大体合っているけれど衣服の裁縫ですよ」
「そうそれ」
「帝都の真ん中を走っている道路を」
「現陛下の名前を取ってバルトロメウス通り」
「正解です」
丁度問題を答えていたら馬車が学園の馬車止まりに入った。
「ラフィー!」
私は横の席からラフィーの膝の上に乗りかかったのだ。
「えっ、どうされました、姫様」
キョトンとした顔をラフィーがしてくれたけれど……
そんな顔のラフィーも愛おしい!
「いつもありがとう!」
チュッ
そう言うと私は思い切ってラフィーの唇を奪ったのよ。
「えっ!」
ラフィーが赤くなって固まってくれた。
よし、キスの二回目成功。
何回もキスしたらラフィーも意識してくれるはずだ。
でも、私は恥ずかしくていたたまれなくなって、馬車が止ると私は馬車から飛び降りたのだ。
「姫様!」
馭者が驚いてかけてくるが、
「別に大丈夫よ。これくらい」
そう言うと後ろを振り返りもせずに歩いて行こうとした。
「姫様!」
慌ててラフィーが追いかけようとしたら、
「あっ、ラファエル様」
「キャッ」
「ラファエル様!」
竜退治したのが伝わって最近は更にラフィーの人気がうなぎ登りだ。
あっという間に令嬢達に囲まれてしまったんだけど……
ちょっと、ラフィーは私の白馬の騎士様なんだから!
私はむっとしてその中に強引に入ると、
「ちょっと、ラフィー、いくわよ」
強引にラフィーの手を握ると歩き出したのよ。
「あっちょっと、ラフィー様」
「お待ちになって」
「ああん、もうしつこい」
追いかける女達から逃げるように私達は駆け出したのよ。
ラフィーがそれにつきあって走り出してくれた。
なんか駆け落ちする王女と騎士という感じかも……
私はラフィーの手を握って駆けるのがとても楽しかった。




