聖女視点 悪役令嬢と老騎士の間の醜聞を噂話にして学園中に広めてやることにしました
バリン!
花瓶が大きな音を立てて割れた。
「くっそう! くっそう! くっそう! 何でアンジエリーナは死ななかったのよ」
せっかく大物の赤竜が竜を呼ぶ魔道具でやってきてくれたのに、アンジェリーナは無事だったみたいだ。
事件の後に見たアンジェリーナは泣き腫らした目をしていた。
アンジェリーナはみっともないことに老騎士にしがみついていたのだ。
でも、そんな中でも時折、何故か周りを誇らしそうに見回しているんだけれど……何故?
くっそう! またあの老騎士に邪魔された。
還暦迎えた老人のくせに何故史上最強の厄災と名前が鳴り響いている赤竜をあっさり倒してくんれるのよ!
あり得ないわ。
バリン!
私は怒りのあまり花瓶をもう一つ割っていた。
せっかく史上最強の火を噴く赤竜を呼べたのに、老騎士に成敗されたと聞いて私は地団駄踏んで悔った。
ゲームの通りに真実の愛に導かれた私とエーベル様は赤い糸で結ばれているのよ。
確かに私はゲームの始まる前から色々と自分なりに動いたから、ゲームよりも早く私はエーベル様と接触したけれど、これ以上、辺鄙な教会とか汚い実家にはいたくなかったのよ。
お陰で私は一年生からエーベル様と真実の愛で結ばれて、大聖堂と学園を往復する身分になったわ。
でも、エーベル様はアンジェリーナと婚約したままだった。
学園ではもう私とエーベル様の真実の愛の噂で持ちきりになったから、さっさと婚約破棄してほしいと言ったのに、中々上手くいかなかったわ。
まあ、アンジェリーナがここまで来なければ良いと思ったけれど、私の工作を弾き飛ばして、何故かアンジエリーナはやってきたのよ。
まあ、サマーパーティーで断罪させるから良いんだけど……
でも、そのアンジェリーナを見るエーベル様の視線は冷ややかでなかったのが気になったのよ。
どちらかというと熱を持って見ていたのよ。
許せない。私という者がありながら、アンジェリーナをそんな目で見るなんて!
ボイン星人のエーベルは私の胸を押しつけてなんとかまだ私の方に気を向けさせているけれど、こんなのでは今後どうなるか判らないわ。
そこで、私は色々と画策したのに、いつも邪魔するのは還暦の騎士だった。
今回は私はなんとしても悪役令嬢のアンジェリーナをこのダンジョン探索で亡き者にしたかった。
ラッキーなことに何故かその護衛の老騎士とアンジェリーナが別の班になっていたのよ。
二人を引き離す策を練らないといけないと思っていたのにこれなら何もせずに行けるわ。
私は神様のお導きに感謝したわ。
ゲームの神様は私に味方しているのよ。絶対にアンジェリーナを亡き者に出来ると私は確信したのよ。
まあ、老騎士とアンジェリーナを絶対に助けに来れないように正反対に生かすように班分けしたのに、老騎士はとなりの探索グループになってくれたけれど。
私はその探索グループが身動き出来ないように、教会の暗部を使ってゴブリンの大軍を向かわせたのよ。暗部はダンジョンに穴を開けてゴブリンの群れを誘導してくれたのよ。出来たら老騎士を始末したかったけれど、ゴブリン風情では全く相手にならなかったそうよ。
でも、還暦騎士を足止めしているところに、竜を呼ぶ魔道具を使って3大厄災竜の一つの赤竜を呼び出せたわ。
これでアンジェリーナは殺せたと私は思ったのよ。
そうしたら、なんと老騎士は転移のお守りを持っていたみたいで、アンジェリーナの前に転移してくれたのよ。信じられないわ。転移のお守りなんて、なんでそんな高価なお守りを平民の騎士が持っているのよ。まあ、相手が王族のアンジェリーナだったからだと思うけれど……
でも、普通は赤竜と対峙しても勝てないのよ。
ここで老騎士は姫を護って赤竜に殺されてちゃんちゃんとなるはずなのに、また、赤竜を倒したって?
絶対に変よ。
もう60よ。
この世界の60は前世と違ってよぼよぼの老人よ。前世で言うと80くらいの老人のはずなのよ。
何でそれが史上最強の赤竜に勝つのよ!
普通は騎士団総出で戦っても負けるのに!
くっそう、還暦じじいは私の関門よ。
前世では餅田のキモオタじじいに人生を台無しにされたし、今回はこのラファエルとか言うじじいが前に立ち塞がってくれたんだけど……
どいつもこいつも還暦じじいはさっさと死ねと私は言いたかった。
更にはまだ引退していない還暦じじいの仲間の皇帝まで出て来てくれたのよ。
出てこなくていいのに!
挙げ句の果てには学園長に私のテストの点数を確認するとかいいやがって……今までは私の色気と教会の圧力で点数をかさ上げしていたのに、今回は完全にモニタリングされているみたいで、きちんと勉強するようにと、大司教自ら言われてしまったのよ。
どうしてくれるのよ。数学も3年生ともなると高一位の二次関数とか出てくるんだけど、そんなの昔過ぎて忘れているわよ。
私の自由時間はなくなって朝から夜まで勉強時間になってしまったんだけど……
絶対にアンジェリーナと老騎士は許さないわ。
こうなったらじじいとアンジェリーナを二人だけにして閉じ込めてやって、二人の関係を醜聞にして学園中に広めてやるわ。
アンジェリーナも夜な夜なじじいに抱かれているという噂を流してやる。
二度と外を大っぴらに歩けないような噂を立ててやるんだから、覚えていなさいよ。
私はほくそ笑んだのだった。
聖女の悪巧みですが、果たしてそれが悪役令嬢に打撃を与えることになるのか?
喜々としてその噂に乗っかりそうなアンジェしか思い浮かべられない作者でした…………








