王女は幼稚化して馬車の中で俺に抱きついてくるし……危うく勘違いするところでした
俺が制服に着替えて食堂に降りると、すぐにアンジェが降りてきたのだが、俺はそのアンジェの姿に目が点になった。
アンジェはとても涼しそうな格好で食堂に降りてきたのだ。
シースルーの服装と言うか、衣服が寝間着みたいに透けていて、下着が透けて見えているんだが……
「アンジェリーナ様、なんて格好で食堂にいらっしゃるんですか?」
俺の給仕をしてくれていたカミラが、目をつり上げて、アンジェを睨み付けたが、
「ええええ! 平民の間ではこの格好で町歩きするのが流行っているそうよ」
えっ? そうなのか? こんなハレンチな格好で皆町を歩いているのか?
「それはごく一部のハレンチな平民の女がしているだけです」
「でも、商会の奥様達がこんな格好でお茶会をしていたと聞きました」
アンジェの侍女の一人のマヤがアンジェを援護してくれた。
「どう? ラフィー?」
そう言って、アンジェは俺の前をくるくる回って、俺に抱きついてくれたんだが……
「いや、時間がないから制服の方が良いだろう!」
俺は自制心を総動員して、何とかそう言ったが、顔は真っ赤になっていた。
「ええええ! このままじゃだめ?」
上目遣いに見てくるアンジェが、踊り子のように魅惑的な眼をして俺を見つめてきた。
俺は理性が飛びそうになった。
「アンジェリーナ様、いい加減にしてください!」
そこにカミラの叱責が落ちて、
「うーん、良いところだったのに!」
ぶつぶつ文句を言いながら、アンジェはマヤと一緒に部屋に帰っていった。
それを見て、カミラが盛大なため息をついた。
「ラファエル様、ラファエル様ももう少しシャキッとして、アンジェリーナ様を叱ってください」
俺がカミラに怒られてしまった。
「爺やはそのままでも、良いと思いましたぞ」
俺の傍を通りながら真面目なセバスが、爆弾を落としてくれたんだが……
「セバス、何か言われましたか?」
そこには怒髪天のカミラが仁王立ちしていた。
「いや、そういえば仕事が、まだ残っておりましたな」
セバスは慌てて、食堂から逃げ出してくれたんだが……おい! 俺をこの空気の中で一人で残すな!
俺は針の筵の中で一人食事を取らされる事になった。
アンジェが、帰ってくるまでそれが続いた。
なんともいたたまれない。怒りのカミラの視線が辛い。
俺は必死に口を動かした。
カミラの怒りの視線の前に食べた気もしなかったが、俺は机の前の食事を平らげ終えた時だ。
やっとアンジェが降りてきてくれた。
制服姿のアンジェを見て、俺はほっとした。
学園の制服を着てもアンジェはとても可愛く見えた。あの淫乱ミーナと比べ物にもならないくらいとても清楚で可愛い。
俺はアンジェに見向きもしないエーベルが不思議だった。
「どうしたの、ラフィー、私を見つめて! ひょっとして、私の可愛いさに改めて気付いてくれた?」
アンジェが魅惑的な視線で俺を誘惑するように見てくれた。
「いや、アンジェはいつも可愛いが、制服姿も可愛いぞ」
俺は素直に言ったら、アンジェが何故か固まってくれたんだけど……なんか赤くなっているし……
「ラフィー、反則」
アンジェは下を見て、俺の横にの席に座ってくれた。
「アンジェ、早く食べろ。時間がないぞ」
俺が雰囲気を誤魔化してそう言うと、アンジェが俺の横で口を開けてくれたんだが……
「本当に手間がかかるな」
俺はそう言うと、パンを千切ってアンジェの口の中に入れた。
「美味しい」
にこりとアンジェは笑ってくれた。
俺にはその笑顔が天使に見えた。
そのまま、俺はサラダやスープをアンジェに食べさせて続けたんだが、それを見て、カミラが盛大なため息をついてくれたけど、遅れないためには仕方がないだろう。
食べ終わると、俺は馬車に向かおうとした。
その俺を見て、アンジェが手を差し出してきたんだが、エスコートしろってことかと手を差し出したらそのまま、俺の腕の上に乗ってきたんだが、
「えっ?」
俺は一瞬驚いたが、仕方無しにアンジェを左腕で抱き上げていた。
「アンジェリーナ様!」
カミラがさすがに叱責してきたが、
「いいでしょ、ラフィー、まだ、怖いの!」
青い眼をうるうるさせながら言われたら、どうしようもなかった。
俺はそのまま、馬車までアンジェを抱き上げて、移動した。
使用人達はそれを生暖かい視線で見送ってくれるのだが……その中でもカミラの視線が痛い!
馬車の座席にそのままアンジェを降ろすと、カミラから俺とアンジェの鞄を受け取って、アンジェの向かいの席に乗り込む。
「いってらっしゃいませ」
セバス達が頭を下げる中、馬車が動き出した。
「ラフィー、ラフィーの上が良い」
アンジェはそういうや、いきなり俺の膝の上に乗って来たんだが、アンジェは昨日から本当に幼児化している。
それほど赤竜に襲われたのがショックだったのか?
俺はこんな風になるなら無理矢理でもアンジェと一緒の班になれば良かったと後悔した。
「ラフィーの手は、大きい」
アンジェの可愛い手が俺の手を押し包んでくれた。
「ラフィー、いつも私を護ってくれてありがとう」
チュッ
とアンジェが俺の節くれた手の甲にキスしてくれた。
そのまま、俺の手に自分の頬で頬ずりしてくれるんだが……
俺は思わず固まってしまった。
「ラフィー、ずっと一緒にいたいの」
アンジェはそう言うと向きを変えて俺を正面から見つめてくれた。
いや、ちょっと近いって!
俺は思わず勘違いしそうになった。
こんな可愛い子に好きだって言われても、絶対にlikeでLOVEではない!
勘違いするな!
俺はひたすらおれ自身にいいきかせて、何とか理性を保ったのだった
王女の精一杯のアプローチにタジタジのラフイー。
二人の運命や如何に?
続きをお楽しみに!




