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悪役令嬢視点 赤竜が大きな口を開けて襲いかかってきました。

 私が渾身の雷撃をラフィーに浴びせてラフィーが気絶してしまった時は本当に私は動揺した。

 ラフィーが生きていて良かった。

 本当にほっとした。


 そして、それ以来とてもラフィーを意識した。

 いつもラフィーを目で追うようになった。


 そんな中ラフィーに声をかけてくる女達に私の心は大きく揺れた。

「ラフィー様、おはようございます」

 ハンネローレなんてラフィーに触れんばかりに近くで大きな胸を誇示するように挨拶してくれるし、

「ラフィー様。今日もとても男らしいです」

 クラーラなんてすぐにラフィーの腕に自分の大きな胸を押しつけてくれるんだけど……


 皆、胸があるからと自慢するな!

 それをラフィーに押しつけるな!

 私は叫びたかったし、押しつけられてラフィーもにやけるな!

 と怒鳴り散らしたかった。

 駄目だ駄目だ!


 またラフィーを雷撃しそうになった。


 そもそも私の婚約者はエーベルだ。

 もっとも婚約者らしいことをしてくれたことも無いが。


 この前の王宮でも、祖父や父が言うから仕方なしにお前を婚約者にしておくが、俺の愛するのはミーナだとのろけてくれたんだけど……

 私もあんたなんて願い下げよと余程言いたかった。

 次に言われたら言ってやるんだから!


 挙げ句の果てに皇帝が来て

「お前は過保護すぎるんだ。そんなのでアンジェリーナは一度も恋なんてしたことがないんだろう。それで良いのか?」

 部屋の外で言っているのが聞こえた。


 また、ラフィーにさっさと身を固めろとか言いに来たんだ。

 私はむっとしたが、でも、これ以上、ラフィーの人生を私にかけさせるのは悪いと頭では判っているのよ!

 それ以上そんな話は聞きたくないので、さっさと部屋の中に入ってのに、何故かあのむかつく聖女の話になって、

「あんな聖女のどこが良いのかわからんが……俺から見たら胸がでかいだけの女ではないか。胸以外はアンジェリーナの方が余程かわいらしいのにな」

 皇帝は私が一番気にするところを話題にしてくれたんだけど、本当に信じられなかった。


「そう、そうだぞ。アンジェリーナ。俺の話した胸のことは忘れてくれ。全く無いわけではないからな」

 最後にフォローのつもりかそんな捨て台詞を吐いてくれたけれど、燃やせば良かった?


 そうか、やっぱりラフィーも胸のでかい女がいいんだ。


 なんかその点がとてもムカムカしたんだけど……



 それからしばらくは私とラフィーの仲は少しぎこちなかった。


 毎日のダンジョン対策に対しての訓練もクラスのみんなと一緒にしていたけれど、敵が出てきたら全員固まって一目散に広場のテントに戻るという代物だった。

 そのためにラフィーは皆に走り込みを徹底してさせてくれた。


 その他は簡単な障壁を張るという物だった。

 簡単な障壁は弱い魔物しか利かないが、無い時間で出来た最善と言えば最善の策だった。


 皆も毎日の走り込みで逃げ足だけは速くなったし……

 なんとかそれだけできるようになるまで、ラフィーは走り込みと障壁の練習に特化したのよ。


 そして、当日のダンジョン探索の時が来た。


 一年E組の私の班が先頭で、次からD組、C組と続く。しんがりはA組だ。


 私は周りに五感を走らせながらゆっくりとダンジョンの周りの森を北に向かって歩き出した。

 その横に副班長のモーリッツが地図に通過点をチェックしながら続いてくれた。

 その両横には一応剣を握れるようになったクラスメートの二人が並ぶ。

 その後ろの四人はイレーネを中心についてくる。

「結構うっそうとした森なのね」

 イレーネが感想を述べてくれた。

 まあ、私達が固まって歩けるだけましだ。

 こんなところで藪漕ぎしながらやるかなければいけなかったらもっと大変だった。


「何か今にも魔物が出てきそうですね」

 モーリッツが不安そうに呟いた。

「大丈夫よ。モーリッツ」

 私は安全だと言い切った。

「昨日も騎士団が探索してくれたという話だから、基本的には魔物になんか残っているはずは無いわ」

「そうでしたね」

 ほっとしたようにモーリッツも頷いてくれた。


 その時だ。


 私は甲高い音が聞こえたような気がした。


「えっ、何か聞こえた?」

 ギャーギャー

 私の声と共に鳥がいきなり鳴き叫んで周りから飛び立ったんだけど……


「ど、どうしたの?」

 身怯えてイレーネが尋ねてきた。

「判らないわ」

 私達は一斉に足を止めた。


 再度何か音がしたような気がした。

「何か聞こえ無かった?」

「いえ、何も」

 モーリッツ達は首を振った。

「少し、休憩しましょうか」

「よし、休憩だ」

 モーリッツが復唱してくれて全員に伝達してくれた。


 全員おのおのその場に座って水筒の水を飲む。

 私は厨房で作ってくれたクッキーを口に含んだ。


 ギャオーーーーー

 その時だ。遠くで何かが叫ぶ声がした。


「な、何なの?」

 怯えたイレーネの声がした。


 ギャオーーーー

 その咆哮が今度はずいぶん近くで聞こえた。


「全員避難準備!」

 私の叫び声で、慌てて密集態勢を取る。


 これは絶対にまずい奴だ。

 私は冷汗が流れた。



「えっ?」

 私はその姿を木々の間から見た瞬間ぞっとした。


 ギャオーーーー

 木々の間から見えたそれはとても大きな真っ赤な竜だったのだ。


 そして、それはまっすぐに私目がけて飛んできた。


 私はその鋭い視線に射すくめらて固まってしまった。

 こんな竜相手に私で勝てるの?

 私はラフィーと一緒の班にならなかったことをこの時ほど後悔したことは無かった。

 ラフィーがいればなんとかしてくれたはずなのに!

 頼りのラフィーはいない……

 ラフィー!

 私は心の奥底でラフィーを呼んでいた。

 でも、いくらラフィーでも、飛んでくることは出来ないはずだ。

 少しでも時間稼ぎをしないと……


 でも、赤竜は待ってくれなかった。

 次の瞬間、大きな口を開けて赤竜が私に襲いかかってきた。


 私の胸は絶望に染まってしまったのよ。

絶体絶命のアンジェの運命やいかに?

続きをお楽しみに

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