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気付いたら心配そうな王女の顔がありました

 俺は夢をむ見ていた。


 アンジェの小さい時だ。

 アンジェは俺と一緒におままごとをしていた。


「今日はラフィーは館のご主人様よ。アンジェがメイドなの」 

 小さいアンジェは侍女のエーミーにとても可愛いい格好にしてもらって、本当に小さい可愛い侍女みたいだった。


「はい、ご主人様、どうぞ」

 おぼつかない足取りでお茶とケーキをお盆に載せて持って来てくれた。

 そのお盆を俺の前に置くと危なっかしい手の動かし方で、なんとかお茶とクッキーのお皿を俺の前に置いてくれた。


 こぼさないでおけて俺はほっとした。


 そうしたら今度は俺の膝の上に登ってきたんだが……


「あれっ、姫様、もう侍女は終わりですか?」

「そう。アンジェもラフィーと一緒におやつを食べるの」

 そう言うとアンジェはクッキーを一口口に入れたのだ。


「うっ、なんかまずい」

 アンジェは慌てて吐き出していた。


「姫様。せっかくコックが作ってくれた物を吐き出しては」

見守っていたマイヤーが苦言を呈したが、


「ラフイー、なんか、気分が悪い」

 アンジェが口を押えた。


「アンジェ!」

 俺は慌てて、アンジェを抱きしめた。

 そして、アンジェのクッキーを口に含むと、少し違和感があった。


「毒だ。毒が入っている。アンジェ、吐き出すんだ」

 俺がアンジェの口の中に手を入れて吐かせようとした。


「すぐにお医者様を」

 マイヤーが叫んで医者を呼んだ。

「ま、まさか姫様が食べられるなんて」

 エーミーが蒼白になっていた。



 後で聞くとエーミーは王妃から言われて、俺を亡き者にするために、厨房から持ってくる時に毒入りのクッキーと入れ替えたのだそうだ。

 まさか、それをアンジェが食べることになるとは想像だにしていなかったらしい。


 アンジェはすぐに俺が食べた物を吐かせたのが良かったみたいで、大したことはなかった。

 侍女のエーミーは親が借金があるとかでそこを王妃に付け込まれたらしい。


「ラファエル様。申し訳ありませんでした」

 侍女長のマイヤーが謝ってくれたが、今回のことは仕方が無いだろう。

 毒味役を通しても最後に運んでくる途中で入れ替えられたらしゃれにもならない。

 それからはしばらくは俺がアンジェの食べ物を全て毒味してから食べさせていたんだった。

 俺に食べさせられるアンジェもとても可愛かったなと思い出した時だ。



「ラフィー!」

 アンジェの涙声が聞こえて俺ははっと目を覚ました。

 俺は目の前にアンジェの顔のドアップがあって驚いた。


「どうしたんです、姫様?」

 ベッドからアンジェを見上げて俺が尋ねると、

「良かった。ラフイーが気がついて」

 アンジェは俺に抱きついてきた。


「ご免なさい。私が思いっきり雷撃してしまったのよ」

「ああ、姫様の雷撃を模造剣ではもう防げませんからな」

 俺が思い出してそう言うと、


「それはラフィーが年老いたからなの?」

「何を言っているんですか、違いますよ! 姫様が上達されたからです」

「でも、この前までは防げていたじゃない」

 アンジェは不思議そうに俺を見たが、


「あれは3年前でしょう。そもそもその時には俺はバルトからもらった宝剣を持っていましたから」

 アンジェの雷撃を跳ね返すには、普通の訓練用の剣ではソニックブレードをしてはじき返すくらいしないと無理だ。宝剣ならばはじき返すことも出来るが模造剣では普通は折れるのは確実だった。



「ソニックブレードで防いでくれたら良かったのに」

「そんな事できる訳ないでしょう」

 アンジェが言うが、こんなところでソニックブレードをアンジェに向けて出せる訳はなかった。例えアンジェが障壁で防げたとしても、おそらく訓練場がまた壊れていた。カンタローネや学園長に怒られること確実だった。昨日の今日でまた怒られる訳にはいかなかったのだ。

 

「もう、まさか、ラフィーが受けるとは思っていなかったから、本当に心臓に悪かったわよ」 

 アンジェが怒り出したが、

「本当ですか? あれっくらいではまだ俺は大丈夫ですよ」

 俺は笑って言い訳したが、

「本当に笑い事ではなかったんだからね」

 むっとしてアンジェが怒ってくれた。

「まあ、ラフィーが無事で本当に良かったわ」

 アンジェがほっとして少し笑ってくれた。


「ラフィー様、大丈夫でしたか?」

 俺達の声を聞いたのか、外に待っていたクラーラ達が入ってきてくれた。

「良かったですわ。ラフィー様がご無事で」

「本当に手加減という物をアンジェリーナさんは知らないといけませんわ」

 デリアがブツブツと文句を言っていた。


「皆にも心配かけたな」

 俺がそう言うと、

「まあ、剣聖ラフィー様がそう簡単に倒れられるとは思ってもいませんでしたか、ら驚いただけですわ」

「明日からちゃんと訓練できるようにしよう。もう時間もあまりないし。今日は俺が倒れて時間を無駄にしてしまったからな。明日からはちゃんと訓練するよ」

 俺はそう言うと立上がろうとした。


「ラフィー、私の肩につかまって」

 アンジェが俺の手をアンジェの肩に回す。

 俺はゆっくりと立ち上った。


「ラフィー様。私も肩をお貸ししますわ」

 クラーラが言いだしてくれたが、

「雷撃したのは私の責任だから私だけでいいわ」

 アンジェが他の女達から申し出を断ってくれた。

 ここはアンジェに任せる。


 本当は肩を借りるほどでもないんだが、せっかくアンジェがやってくれたので、ここはアンジェに任せることにしたのだ。



「先生、有難うございました」

 校医の先生に挨拶する。

「もう剣聖様も年なんですから無茶はしてはいけませんぞ」

 むっとすることを校医は言ってくれたが、こいつは昔からそうだ。


「モンテスキュー先生。おれはまだ現役ですよ」

「自分でそう言っておれば世話はないて」

 モンテスキューは俺の言うことを全く信じてくれなかった。

 仕方なしに俺は苦笑いして歩いた。現役を自任するならもっと訓練をつけねばならないような気がした。明日からまあ朝練をしよう。

 俺は心に決めたのだ。




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