58.今まで命がけで護ってきた王女から自分の護衛はいらないと言われてショックを受けました
「えっ!」
俺は前の壇上で、ダンジョン探索でアンジェが班長を立候補するって聞いた時に唖然とした。
「ちょっと待ってくれ! それじゃあ、俺が姫様の護衛を出来ないじゃないですか?」
俺は思わず叫んでいた。
「別にラフィーに護ってもらわなくても構いません」
「えっ!」
俺はアンジェの言葉に凄まじいショックを受けた。
壇上のアンジェを見たがこちらを見ようともしてくれない。
「いや、ちょっと待ってください! 俺は生まれた時から姫様をお守りしてきたんです。こんな危険なダンジョンに姫様一人を生かすわけにはいきません!」
俺は思わず立ち上がってアンジェに近付こうとした。
高々ハンネローレに胸を押しつけられただけで、なんでそこまで怒る必要があるか?
アンジェの言葉は俺には許せることではなかった。
「あの、ラフィー様。これはあくまでも班決めでダンジョン自体はそれほど危険ではないのでは」
俺の勢いに隣に立つオスカーは慌てたが、
「そんなのわからんだろう! 俺はどんなときも万全の体制でいたい! どこから刺客が襲ってくるか判らないし、今でもとても心配だ。出来たら姫様を抱き上げて運びたいくらいだ」
俺は叫んでいた。そうだ。アンジェは今まで王妃とか王妃の子供に命を狙われていたのだ。
それにここにはゲームのヒロインミーナもいる。
まあ、帝国まで王妃達は命を狙っては来ないと思うがそんなのは判ったことではない。
それにヒロインも何をしでかしてくるか判ったものではなかった。
俺の心の叫びに、
「キャー!」
「さすが剣聖様」
「私もそうやって護られたいですわ」
女達が騒ぎ出して、何故かアンジェが真っ赤になっていた。
「ラフィーとは絶対に一緒の班にはならないです」
でも、何故か真っ赤になったアンジェが俺を見て宣言してくれた。
「そ、そんな……」
俺は唖然としたのだ。
信じられなかった。
俺の目を見てはっきりと拒否してくれたのだ。
「ひ、姫様」
俺は棒立ちになってしまった。
ても、そんな……俺は今までアンジェが生まれてからこれまで、殆どアンジェから離れたことなど無かったのだ。別の班で行動するなど信じられなかった。
「ラファエルさん。ダンジョン探索の一年生は過去10年間、魔物に遭遇したことはありませんから問題はないと思われます」
結局マイヤーにもそう言われて俺は渋々従うしかなくなったのだ。
「ラファエルさん、貴方がアンジェリーナさん離れするのに丁度良いのではないですか?」
その後でマイヤーから言われた言葉も俺はショックだった。
俺はそんなにアンジェに負担になっていたんだろうか?
俺はドヨーンと落ち込んだのだ。
俺が自分の席にとぼとぼと戻った。
その後は希望者を聞いて班決めになった。
アンジェは大人気で男達の大半が応募してきたのだ。
俺はこれはまずいと思った。
「イリーナ。なんとか姫様の班に入ってくれ」
俺はイリーナに頼み込んだのだ。
「ええええ! そんな。私はクラーラ様からラフィー様の傍に変な女が近付かないように見張れって命じられているんです」
「クラーラの侍女の君なら判るだろう。俺が姫様が心配だというのが」
「いや、でも、私のご主人様はクラーラ様ですし」
「そこをなんとか頼む。判った、辺境伯に頼むからこの通りだ」
俺はイリーナを拝み倒したのだ。
「アンジェリーナさんが女一人というのは少しまずいですから」
マイヤーも俺の言葉を認めてくれて、イリーナは嫌々俺の頼みを聞いてくれた。
結局班決めは、アンジェの班は班長がアンジェで副班長が文官の子供のモーリッツが、イレーネの他は6名が男だった。
「良かった、アンジエリーナさんと同じ班になれて」
モーリッツがアンジェに話しかけているのが見えた。
それを悔しそうにオーガストが見ていた。
班の男達は皆、少しでもアンジェに気に入られようと色々話しかけているのが俺には気に入らなかった。俺の姫様に気安く話すなと注意したかった。
でも、別の班だから注意も出来ない。
それにそんなことすればあまりにも大人げないと周りからも思われるだろう。
俺は必死に自重したのだ。
一方の俺の班は俺以外はパウリーナを筆頭に皆女だった。
希望者が班長のアンジェとヒルデと無理矢理頼んだイリーナ以外の13名の女生徒が申し込んでくれたのだが、俺はアンジェの方を見ていたのでそんなのは全然気にしていなかった。
「やったわ。私、ラフイー様と同じ班です」
ハンネローレが俺に抱きつかんほどに喜んでくれた。
「くっそう、そのハンネローレの奴」
「許せないわ」
ヒルデとイレーネが悔しそうにしていた。
じゃんけんに勝った女性陣は勝ち誇って俺の周りに集まってきてくれた。
「皆さん、この後親睦会を開きましょうよ」
「どうするの。喫茶室にする?」
「それで良いと思いますわ」
女達が言いだしてくれた。
「いや、俺はちょっと」
俺が断ろうとした時だ。
「まあ、ラフイー様。同じ班になったのですから皆を知るためにも少しでも一緒に過ごした方が良いと思いますわ」
でも、ハンネローレが言いだしてくれた。
「そうですわラフイー様」
「是非ともそうしましょうよ」
他の女達も頷いてくれた。
「アンジェリーナさん。僕らもお近付きの印に喫茶室でお茶しましょうよ」
「えっ」
アンジェは戸惑ったみたいだが、
「やはりいざという時の為に親しくなっていた方が良いと思うんだけど」
モーリッツが当然のように言いだしてくれた。
おいおい、気安くアンジェを誘うんじゃねえ!
俺は叫びたかった。
「ラフイー様宜しいでしょう」
「「「「ねえ」」」」
「まあ、そういう事なら」
「まあ、そういう事なら」
俺はアンジェが頷くのを見て、仕方なしに頷いていた。








