表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/98

54.王女を怒らせて頬を思いっきり張り飛ばされてしまいました

 皆のサインを終えた頃はもう外は真っ暗になっていた。


「遅くまで付き合ってもらって悪かったな」

 俺は五人の一年生の副委員長にお礼を言った。


 ハンネローレやクラーラを先頭に五人は皆を整列させて順番に並べてくれて、サイン終わった後に追加の希望を言う我が儘な奴らにはサインが終わると同時に外に追い出してくれたし、サイン用のペンや紙まで用意してくれたのだ。


「そのような、ラフィー様をお手伝いするのは当然ではありませんか!」

 一年B組のデリア副委員長のデリアが言えば、

「感謝のお言葉まで頂けるなんて」

「とても嬉しいです」

 クラーラとハンネローレが喜んでくれた。


「ラフィー様、もしよろしければ、この後、我が家の馬車でラフィー様のお宅までお送りします」 

「ちょっと、エルネスタ、何を抜け駆けしようとしているのよ」

「そうよ。お送りするなら同じクラスの私がお送りしますわ」

「何言っているのよ。国境から学園までご一緒した私、辺境伯家の馬車でお送りしますわ」

 クラーラ達が俺を誰が送るかで争いだしてくれたが、


「ああああ! 忘れていた!」

 俺を待っているであろうアンジェのことを、俺はすっかり忘れていたのを思い出していた。


 俺が慌てて馬車の所に行こうとしたら、

「お待ちください、ラフィー様」

「せめて馬車の前まで一緒に参りましょうよ」

「そうですわ」

 俺は出来たら走って行こうとしたが、今まで付き合わせていた手前彼女らを置いていくことも出来ずに、全員で馬車止まりまで歩いて行った。


「ラフィー様、今日はご一緒できて楽しかったです」

「本当に」

「嬉しかったです」

「また、明日」

「よろしくお願いします」

 女達に見送られて、俺は鼻の下を決して伸ばしていたのではない!

 でも、少しくらい眉は垂れていたかも……

 だって、今までの俺の60年の人生の中では女にもてたことなど無かったのだ。

 五人もの美女に囲まれたら、少しくらい喜んでも良いだろう。


 でも、良くなかったみたいだ……


 俺が自分の馬車のドアを開けるとそこには怒髪天のアンジェの姿があった。

 なんか眉も釣り上がっているし、気分的には髪の毛も逆立っていた。

 怒り狂った猫みたいだ。

 これはやばい奴だ。


「姫様。遅くなってごめん」

 俺が謝ると、

「ラフィー、私がずっと寂しくここで待っていたのに、あなたはそちらの女性の皆様方と楽しいことをしていたのね」

 そう冷たくアンジェは言うと、


 ガチャン!


 俺の目の前で馬車の扉がしまったんだけど……


「えっ、ちょっと姫様!」

「さっさと馬車を出して!」

「はい。姫様」

 御者までも俺を無視して馬車は無情に動き出したのだ。

 俺は唖然とした。



 呆然と馬車を見送る俺を見て、女達が騒ぎ出した。

「まあ、ラフィー様。馬車が無いのならば我が家の馬車でおおくりしますわ」

「何を言っているのよ。当然我が家の馬車でお送りいたしますわ」

「ラフィー様をお送りするのは当然クラスメートの私ですわ」

「何を言っているの。帝都までご一緒した我が家の馬車に決まっているじゃない」

「ラフィー様。我が家の馬車は揺れが殆ど無い最新の設備を搭載しているのです。是非とも我が家の馬車にお乗りください」

 残った五人の女達が今度は俺を送っていくと喧嘩しだしてくれた。

 最悪、歩いて行く必要は無いかと、俺が少し安心したら、


「「「キャー!」」」

 俺を取り合いしていた女達は悲鳴を上げて俺から離れた。


 どうした?


ヒヒーン!

 慌てて見ると、俺の目の前に先ほど俺を置いていった我が家の馬車の馬の顔があった。

 鼻息が俺にかかる。


 そして、扉が開く。


 そこには氷のような雰囲気を漂わせたアンジェが見えた。


「姫様」

「どうしたの、さっさと乗りなさいよ」

 アンジェの氷のように冷たい声が落ちてきた。

「はい!」

 俺はそう言って慌てて乗るしかなかった。


「ラフィー様!」

「「「また、明日」」」

 女達が一斉に手を振ってくれた。

 俺はそれに手を振ろうとして途中でやめた。


 怒り狂っているアンジェの前で手を振る勇気は俺には無かったのだ。


「姫様」

「ふんっ!」

 俺がアンジェに話しかけようとしたらアンジェは頭を振りかざして明後日の方を見てくれた。


「いやあ、委員会の皆が何故か俺のサインをほしがってくれてですね。その相手を今までしていたのです」

 俺は必死に言い訳した。


「ふうん。それで五人の女達に囲まれて鼻の下を伸ばしていたのね」

「いや、決してそのようなことは……」

「本当に最低。エーベルみたいね」

 俺は婚約者のエーベル並みに最低のランクに落ちてしまったらしい。


 いや、待ってほしい。婚約者を最低レベルで見るのは良くないだろう。


 と言うか、俺はエーベルみたいに女に胸を押しつけられて喜んでいないぞ!

 俺はそう思ったら、

「ハンネローレさんに大きな胸押しつけられて喜んでいたし……」

「いや、そんなことは……」

 無いと言おうとして教室の前で胸を押しつけられたことを思い出していた。


「いや、ハンネローレが俺の意思とは関係なしに大きな胸を押しつけてくれて」

 俺はそう言えばアンジェの前で胸の話は禁句だったと思わずアンジェの平たい胸を見てしまったのだ。

 絶対にしてはいけないことだった。

 俺は本当に馬鹿だった。



パシーン

 次の瞬間俺の頬に怒り狂ったアンジェの平手が炸裂して俺は馬車の壁に激突していたのだ。




目は口ほど物を言う

下手な視線に注意しましょう…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『悪役令嬢に転生したのを知ったのは断罪されて婚約者に顔面を蹴られた時でした。ツンデレ兄と辺境で米作りして一からやり直します』https://ncode.syosetu.com/n5024mh/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話


前前前作

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ