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53.委員会で剣聖の俺がいるのがばれて全員にサインすることになってしまった。

 クラス委員の会議は生徒会が主体となってやってくれた。


 生徒会長はエーベルハルト、皇太子の第一皇子殿下、副会長が側近のヨーナス・ランツフート侯爵家の次男で殿下の側近、書記長が聖女のミーナだった。


 ゲームではミーナが生徒会なんてやっていなかったのに……

 他の人間に聞くとミーナは一年の時から入学して生徒会をしているみたいだった。

 アンジェを悪役令嬢と呼ぶ辺りからして、絶対に彼女は転生者だと思う。


 会議はすぐに終わると思ったのに、聖女が、色々と注文をつけて中々進まなかった。

 元々お前も生徒会に入っているだろう。

 打ち合わせを前もってやっておけよと言いたい事も多々あった。


 だらだらして俺はいい加減に帰りたくなってきた。


 その上、今日は顔合わせだけでなくて、1ヶ月後のダンジョン探索について具体的な話があった。


「今回のダンジョン探索だが、基本は私達三年生が中心になってすることになっている」

 エーベルがダンジョンの地図を指さして説明してくれた。


 三年生は各クラス8人を一チームにして各クラス5チーム、全25チーム。

 それが5つに分かれてダンジョンのコースをそれぞれ探索する。


 今回行くこの帝都から馬車で5時間の所にあるマネリスクダンジョンは、基本は初級者用だ。

 最深部に入らない限り中級以上の魔物は出てこない。

 学生が最深部まで行くことはないし、魔物がいても大半は慣れている3年生が退治してしまう。


 その後を2年生の計25チームが分かれて進むが、二年生は三年生が取りこぼした魔物を狩るだけだ。

 彼らは魔物に遭遇すればラッキーだ。


 一年生はそもそもダンジョンには潜らない。ダンジョンの周りを探索するだけだ。

 基本的に魔物に遭遇することはない。


「一年生が魔物に遭遇したらすぐに、非常用のベルを流して下さい。すぐに先生達が駆けつけますから。まあ、魔物に遭遇する可能性はほとんどゼロだと思います」

 生徒会長のエイベルが俺達一年生を見て話してくれた。


 なんだ。これなら本当に楽勝だ。

 まあ、例えサラマンダーが出ても俺が剣を一振りしたら問題ないだろう。

 完全なお貴族様のお遊びだな。

 俺はあくびがしたくなった。


「今年は魔物退治で名をなされた剣聖、ラファエルさんがいらっしゃいますが、ここは学生主体のダンジョン探索なので……」

 そんな俺を見て、エーベルが苦々しく首を振ると、俺を睨んで釘を刺そうとしてくれた時だ。


「えっ、剣聖様がいるの?」

「何を今頃言っているんだよ。有名だぞ!」

「陛下までわざわざ見に来られたそうだぞ!」

「それ私も聞いたわ」

「嘘、剣聖様はどこにいるんだ?」

 エーベルの話そっちのけで皆が俺を探してキョロキョロし出した。


「皆さん、静粛に!」

 ミーナが抑えようとしたが、皆ミーナの言う事なんて聞いていなかった。


「左端の年配の方だよ」

 おいおい、年配の方って何だよ!

 俺はそう言いたかったが、その言葉に全員が俺を見てくれた。


 仕方なしに俺が手を振ると、


「あっ本当だ!」

「銅像とそっくりの剣聖様だ」

「剣聖様、サイン下さい!」

「ええい、静粛に!」

 エイベルが皆を抑えようとしたが、


「嘘、俺も絶対に欲しいぞ」

「子孫に自慢できる」

 皆聞いていなかった。


「皆さん。こちら注目」

 聖女が叫んでくれたが、


「聖女よりも剣聖様だぞ」

「もう聖女のつまらない話は良いよ」

 このままでは皆が俺に殺到しそうだった。


 パシーン!


 仕方なく俺は大きく手を叩いた。

 皆ぎょっとする。


「皆、生徒会の皆がせっかく運営してくれているんだから、サインほしかったら後でいくらでも書くから取りあえず、話を聞いてくれ! 聞かない奴にはサインをやらないからな」

 俺がそう宣言すると、


「えっ、本当ですか」

「お願いしますよ」

「はい、だから前注目!」

 俺が大声で言うと、全員やっと前を向いた。


 そこからは皆、エーベルの話すことを聞いていた。


「長いんだよな」

「お早くしてほしいよ。俺達は去年と同じだからな」

 でも、二三年生が少しざわついてくれた。


さすがに、エーベルはむっとして、さっさと最後まで話してくれた。


「以上だ、何か質問あるか」

「「「ないです」」」

 男達がはっきりと否定してくれたんだが、おいおい、皇太子の第一皇子に対してそんな反応で良いのか?

 と俺は思わず別の心配をした。


「では解散」

エーベルがむっとして言うと、


「剣聖様。サイン下さい」

「おい、俺が先だぞ」

「俺だ!」

 皆俺に殺到してきた。

 俺はぎょっとしたが、

「はあい、皆さん。並んで下さい」

「そこの貴方も並んでね」

 ハンネローレとクラーラが中心になってあっという間に俺の前に一列に整列させてくれた。


「な、何なのよ。あの男。本来ゲームのヒロインは私なのに! 何故私よりも目立っているの? 絶対に許さないわ」

 聖女が目をつり上げて俺を見てくれるが、俺がわざとこうした訳じゃないし、元々打ち合わせもしていないでだらだらやってくれる生徒会が悪いんだと俺は思った。


 結局慣れないサインを全員にするのに結構な時間がかかってしまった。

 終わったときは、下校時間間際で外はもう真っ暗になっていた。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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