52.委員会に行ったら女達が出て来て、何故か俺を巡って争い出してくれました
ホームルームで委員を決めたのだが、その日の放課後にいきなり委員会が招集された。
顔合わせという事らしい。
俺のクラス委員を集めた学級委員会は会議室で、レクリエーション委員会は一年A組で、図書委員会、保健委員会、体育委員会はそれぞれ別教室で開かれることになった。
「それではアンジェリーナさん、レクリエーション委員会に参りましょう」
可愛いアンジェと一緒に行けるのが嬉しいのかオスカーがアンジェを誘いに来た。
「ええ、判ったわ、ふん!」
アンジェは俺から顔を逸らすと、スタスタと歩き出した。
「待って、アンジェリーナさん!」
その後をオスカーが慌てて追いかけた。
俺も可愛い子と一緒に委員になった記憶があったなと微笑ましく見送っていると、
「では、ラフィー様。参りましょう」
嬉しそうにハンネローレが俺を誘ってくれた。
「ああん、あと少しで私が一緒に行けたのに!」
「あなたは最下位だったでしょう。あと少しは私よ。本当に後一票差だったんだから」
ヒルデにイリーナが突っかかっていた。
「最下位も2位も同じよ」
それに対してヒルデが言い返していた。
「ハンネローレさん。顔色が少し白いですわ。気分が優れないのでは」
期待に満ちた目でヒルデがハンネローレを見たら、
「何をおっしゃっていらっしゃいますの? 私は肌が白いだけですわ。美白というのですわよ。誰かさんと違って焼けてませんわ!」
そう言うとハンネローレは高笑いした。
「「何ですって!」」
イレーネとヒルデが目を逆立てたが、ハンネローレは平然としていた。
「さあ、ラフィー様。参りましょう」
ハンネローレが俺に手を差し出してくれた。
「えっ?」
俺は目が点になった。
普通は男がエスコートのために手を差し出すのは知っていたが、女から手を出すなんてあったか?
でも、こうなったら仕方が無い。
俺はアンジェが気になったが、さっさと委員会を終わらせてアンジェと合流しようと思い、ハンネローレの手を取って共に会議室に向かったのだ。
俺は会議室が一年A組の隣だとは知らなかった。
俺がハンネローレをエスコートして会議室に行く途中で、窓から外を覗くアンジェリーナのきつい視線を感じた。
俺達をアンジェが睨んでいるんだけど、俺がそちらを見ると
「ふんっ!」
と大きく顔を逸らしてくれたのだ。
「ちょっとそこの騎士。何を無視してくれているのよ!」
アンジェリーナに言い訳しようとしたら、横からキンキン声が聞こえた。
この声はピンク頭のニーナだ。
横で何か言っているのが聞こえたが、俺はアンジェの方が気になって聞いていなかったのだ。
「今日は悪役令嬢のエスコートはしていないのね」
笑ってピンク頭が言ってくれたが、
「色々暗躍してくれているみたいだけれど、覚えていなさいよ。絶対に……」
「ちょっと、ハンネローレさん! あなた、何をラフィー様にエスコートしてもらっているの?」
ピンク頭の声をぶったぎって今度は会議室の前からクラーラの叫び声が聞こえてきた。
「ああら、これはこれはクラーラ・ハンニバル辺境伯令嬢様。私がラフィー様にエスコートされているのは同じ一年E組の副委員長だからですわ。お優しいラフィー様は私を会議室まで案内して頂けたのです」
「くーーーー。悔しい。こんな事なら、私もE組になるんだったわ」
クラーラが悔しがっているが、最低のEクラスになりたいなんて言うのはそれはおかしいと思うのだが……
「ラフィー様。私一年B組の副委員長のデリア・プレッテンベルク男爵令嬢と申します」
いきなり横から別の令嬢が挨拶してきた。
「ああ、プレッテンベルグには一度バルト達と行ったことがあるぞ」
「はい。父達にラフィー様達がいらっしゃった時の事を聞いたことがあります」
「ちょっと、何を勝手にラフィー様と話してくれているのよ。私が今ラフィー様と話をしようとしたんじゃない」
「いや、私よ!」
「ちょっと、貴方たち、聖女の私が……」
俺は唖然としている間に女達が凄まじい言い合いを始めてくれた。
アンジェの方を見たら怒ってこちらを向いてもくれないし……
「ラフィー様。今のうちにさっさと中に入りましょう」
ハンネローレが提案してくれたのだが、
「ちょっと、何抜け駆けしようとしているのよ」
「ハンネローレ、貴方判っているの?」
「判っているって、私達は同じクラスですから、席に着こうとしただけですし」
ぎゅっとハンネローレが俺にくっついてきた。
ハンネローレも胸は豊満らしい。
こちらを睨んでいるアンジェの視線が鋭くなった。
絶対にあれは怒っている……
「くーーーー、こんなんだったらEクラスに転籍してやるわ」
「おいおい、君はAクラスの副委員長だろう」
クラーラの声に今度はA組の委員長の窘めている声がしたが、
「そもそもなんで剣聖であるラフィー様がEクラスなのよ」
「神様のお導きなのよ」
「そんな訳ないでしょう」
俺は中々教室に入れなかった。
「ちよっとそこ、騒いでいないで早く教室に入りなさい」
結局、俺達はクラス委員会担当のマイヤー先生に怒られる羽目になってしまった。




