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47.とある元伯爵の独り言 剣聖様の邸宅に息子家族を連れて土下座して謝罪しました

「あなた、どうするつもりなのです。あのサンティー二子爵家を?」

 その声に俺は足を止めた。

 

 俺が帝都の屋敷の裏口に荷馬車を止めたとき、使用人以外は誰も迎えに来なかった。

 まあ、普通は元領主が、正面玄関から入らずに裏口から入るなどあり得ない。

 俺は使用人達に黙っているように伝えて、息子達を驚かせてやろうと、そのままタウンハウスのリビングルームに歩みを進めた。


 すると怒っている嫁の声が聞こえた。

 サンティーニ子爵?

 どこかで聞いた名前だ。

 どこだったか忘れたが……


「まあ、そうは言っても、前陛下の肝いりで作られた家なのだろう。その家とこれ以上揉めるのは良くないのではないか?」

 前陛下の肝いりで出来た家か!

 魔王関係の報奨で作られた家かもしれん。

 そう言えば剣聖ラファエル様も確か叙爵されていたような気がする。


「お母様。相手は悪役令嬢の護衛騎士なのです。ここはガツンとボルドー伯爵家の威厳を示してやらないと」

 孫が底意地悪い声を出していた。

 この声は嫁に似たのか?

 性格の悪さに俺は少しムッとした。


「しかし、ラファエルという名はどこがで聞いた気がするが……」

 俺はその息子の声ではっとした。


 サンティーニ子爵家は前陛下が剣聖ラファエル様を帝国に繋ぎ止めるために作り出した家だと思い出した。爵位は子爵家だが待遇は伯爵家並だと聞いたことがある。確か帝都の目抜き通りに面したところに豪邸を下賜されたと聞いていた。謙虚な剣聖ラファエル様はそれを受け取られずに帝国を去られたと聞いていたが……


 だが、俺は今はそんなことはどうでも良かった。それよりは話の中で我が家と剣聖様との間で何かあったらしい。俺に取って許せない何かが……


「あの男、元剣聖かなんだか知らないのですがとても態度がでかいのです。第一皇子殿下のエーベル様と聖女であるミーナ様の間を邪魔して……」


 バキン!


 俺は孫のその言葉を聞いた瞬間扉を蹴破っていた。


「ギャーーーー!」

 扉の破片がパトリツィアを直撃して、孫は顔を押えていた。

 パトリツィアの顔は血まみれになっていたが俺はそれどころではなかった。


「父上!」

 ロホスがは言ってきた俺に対して何か言おうとしたが、俺はそれどころではなかった。


「パトリツィア! 貴様、まさか、我が伯爵家の恩人である剣聖ラファエル様にどんな失礼な事をしたのだ!」

 俺は飛び組むや、パトリツィアの胸ぐらを掴んで叫んでいた。


「父上!」

「お父様!」

 慌てた、息子と嫁が何か叫んだが、俺はそれを無視した。


「お、お祖父様!」

 恐怖に震えた目でパトリツィアは俺を見たが、俺はパトリツィアが許せなかった。

「どうなのだ! 言え!」

 俺はパトリツィアの恐怖に震える顔を睨み付けた。


「父上!」

「お父様!」

 息子夫婦二人が俺にすがり付いてきたが、俺は許せるわけは無かった。


「あ、あの男はエーベルハルト様とミーナ様に失礼を働いたので」

「愚か者! 貴様らが、安穏とこの世に平和に生きていられるのは剣聖ラファエル様が、魔王を退治していただけであろうが! 皇太子殿下の第一皇子殿下や聖女崩れなどどうでも良いわ! 貴様がこの屋敷で安穏と生活できるているのも全てはあのラファエル様のお陰ぞ! 剣聖様がいらっしゃらねば、わが領地は蹂躙されて、今頃帝都も灰塵と化しておるわ! 我が家のいや、帝国の大恩人のラファエル様に無礼な事を働くなど命を持って贖え!」

 そう言うと俺は思いっきり、パトリツィアの頬を張り倒していた。


「キャー!」

 吹っ飛んだパトリツィアは横にいた嫁のオティーリエを直撃した。

「ギャッ」

 嫁の顔に激突したが、それどころではなかった。

「ち、父上、落ち着いて下さい」

 俺はロホスの言葉に更に激怒した。


「愚か者!」

 俺はそう叫ぶロホスを思いっきり殴り倒していた。

「ギャッ!」

 息子は起き上がろうとした嫁と娘に激突した。


「ロホス、貴様がついていながら、何と言う事をしでかしてくれたのだ。このような恥知らずのことをしおってからに、娘がそのようなことをしたら、何故貴様が平身低頭謝罪してこん!」

 俺はわが領地を救ってくれた剣聖様に孫娘が失礼な事をしたのが、許せなかった。


 話を聞くと、孫娘達は徒党を組んで剣聖様に逆らったそうだ。

 命の恩人の剣聖ラファエル様にそのような事をするなど言語道断だ。


 でも、まずは剣聖ラファエル様に謝罪することだ。

 息子夫婦や孫の処分はそれからだ。


 俺は直ちに息子家族を引き連れて剣聖ラファエル様の家に謝罪に向かった。


「貴様ら、誠心誠意謝って許していただかなかったときは両親の教育不足だったという事で貴様ら3人を斬って捨てて俺も後を追う」

 俺は三人に宣言した。

「父上、さすがにそれは」

 ロホスが絶句した。

「貴様らはそれだけのことをしてくれたのだ。魔王との戦いは本当に紙一重の勝負だったのだ。

 我がボルドー伯爵領が魔王軍に攻め落とさせていたら、今頃帝都も灰燼と化していたであろう。それを救って頂いた剣聖様に逆らうとはどういう精神をしておるのだ! 

 全ては貴様らに対する教育不足だ。

 貴様らはもう一度領地に連れ帰って一から徹底的に教育してやる」

 俺は握りこぶしを構えて孫達を睨み付けていた。


 息子達は俺が激怒しているのがさすがに判ったようでそれ以上は何も言わなかった。


「良いな。平身低頭して絶対に許してもらうまで謝り続けるのじゃぞ。もしそれが出来ぬ場合はその場で叩き斬るからな」

 俺の言葉に孫や嫁も俺が本気だと判ったみたいだ。真っ青になってコクコクと頷いてくれた。



 俺は剣聖ラファエル・サンティーニ様の正門の前で馬車を止めた。

 そして、その場に降り立つと門の前で土下座した。


「ち、父上、何をなされているのです!」

 ぎょっとして息子のロホスが俺を見た。

「何をしておる。貴様らも直ちに土下座をせんか!」

 俺が睨み付けると

「そ、そんな」

 パトリツィアが何か言いたそうにしていた。

「首を刎ねられたいのか!」

 俺が叫ぶと

「ヒィィィィ!」

 孫は慌ててその場に土下座した。

 それを見て慌てて息子夫婦も土下座をする。


「ど、どうされたのですか?」

 門番が慌てて、飛んで来た。


「元ボルドー伯爵、リヒャルトが剣聖ラファエル・サンティー二様に謝罪に参ったとお伝え下され」

 俺は大声で叫んでいた。

 人目があろうがなかろうが関係無かった。

 領地の恩人に対して失礼な事をしたのならばこうするしかあるまいと土下座したのだった。


ここまで読んで頂いて有難うございます。

ミーナのためになると浅はかに考えた孫娘は激怒した祖父によって土下座させられることになりました……

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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― 新着の感想 ―
私達も今ある平和が、先人達の血と涙の礎に成り立っている事を忘れてはいけません。 とてもいい話でした
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