表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/98

44.女達に嵌められました

 アンジェは帰る時も静かだった。


「何かあったのですか?」

 と聞いても、

「何も」

 ととりつく島もなかった。


 でも、反応が何か変なので絶対に何かあったのは確かだった。


 フランク王国にいるときはこういうことも多々あった。

 俺はどちらかというとがさつな男だから、アンジェの気分を害することも時たまあった。


 そんな時にはマイヤーになんとか二人の間を取り持ってもらったのだ。

 でも、この国ではマイヤーは伯爵家に帰っていた。

 どうすることもできない。

 やむを得ず、カミラにそれとなくアンジェの様子を確認したが、


「何かがあったのは確実ですね。皇宮に行かれてから少しおかしいです」

 ただ、その先は尋ねても教えてもらえなかったとのことだった。


 マイヤーなら原因まで探ってくれて判るのだが……まだカミラではそこまでは難しいらしい。

 どうしようか?

 俺は悩んだ。


 夕食の時も結局聞きそびれて、食後のお茶の時に聞こえとしたら


「ラフィー、今日は少し疲れたから早めに休むわ」

「ああ、お休み」 

 アンジェは俺が何か聞こうとする前に、あっさり寝室に入ってしまった。


 アンジェが寝てくれたので、俺もやることがなくてさっさと寝室に入った。


 俺の寝室に昔のように訪ねてくるかと思ったのだが、訪ねても来なかった。


 俺は気になって中々休めなかった。


 でも、年なのかその日も早朝に目が覚めた。


「ああ、もう、うじうじ悩んでも仕方が無い」

 俺はそう言うと日課の素振りを始めた。


 ビュンビュン


 何も考えずにただひたすら木刀を振った。


 なんか身も心も研ぎ澄まされていくようだ。


 無の境地とかいう奴だろう。


 俺は久々に素振りに浸っていた。



 でも、シャワーを浴びながら気付いたのだ。


 いつもなら必ずやってくるアンジェが来なかったことに……


 こんな事は初めてだった。


 絶対におかしい。



 俺は2時間目と3時間目の間の休憩時間に職員室にマイヤーを訪ねた。


「どうしたのです、ラフィー様?」

 訪ねてきた俺を見て驚いたマイヤーは俺を別室に連れて行った。


「実は姫様の様子が少しおかしいんだ」

 俺は昨日のことをマイヤーに話した。

 エーベルと二人で出て行って帰ってきたときからおかしい事を説明した。


「どうだろう? やはりエーベルハルト殿下に何か言われたんだろうか?」

 俺はマイヤーに尋ねてみた。


「さすがに、それだけでは判りませんね」

 マイヤーは首を振った。

「娘からも尋ねられましたから私も調べてみますが、そこはあまり気にされなくても良いのでは無いですか?」

 マイヤーは楽観的に言ってくれた。

「そうかな?」

「娘を育てているとこのような事は良くあることです。ラファエル様。アンジエリーナ様はもう16歳です。過保護すぎるような気もしますわ」

 そして、マイヤーに笑われてしまった。

 確かにそうかもしれない。

 過保護すぎると言われたそんな事は無いと言い返したかったが、俺はマイヤーの言葉に従ってもうしばらく様子をみることにした。



 そして、教室に帰ってきたときだ。

「あっ、ラファエル様。アンジェリーナ様が上級生の女どもに連れ去られました」 

 俺を見かけたオスカーが慌てて俺に報告してきた。

「何だと?」

 連れ出したのは令嬢達は3年生のA組のミーナの取り巻きらしい。


 昨日バルトを見かけたフッセン男爵はアンジエリーナが何かされないように見張るようにオスカーに命じていたらしい。

 さすがバルトだ。

 オスカーは昨日までの態度と180度変わっていた。


 でも、そのバルトの威力も上級生には通用しなかったらしい。


「ちょっと貴方たち、何故ついてくるの?」

「煩いわね。アンジェに何の用よ」

「貴方たちには用はないからさっさと帰りなさいよ」

「ふんっ、それを言うのはこっちの台詞よ。痛い目に合いたくなかったらさっさと消えな」

 空き教室の中から争う声が聞こえた。


 ガラッ

 俺は教室のドアを大きく開けた。

「姫様、大丈夫か!」

 俺はアンジエに駆け寄ろうとした。


「貴方、何者なの?」

 女達がアンジェ達と俺の間に入って俺が近付こうとするのを邪魔しようとしてきた。


 慌てた俺はアンジエ達を囲んでいた女達をかき分けて俺が近付こうとしたら


「キャッ」

 わざとらしく女の一人が大きく転けてくれた。


 心配した俺がアンジェに近付くとアンジェはイレーネとヒルデに囲まれて無事だった。


「私は大丈夫よ。この女達が集団で私を連れて行こうとしたけれど、イレーネ達が助けようとしてくれたのよ」

 アンジェの声を聞いて俺はほっとした。


 でも、俺はあまかったのだ。




「何をしているのです」

 その時叱責の声が響いた。

 何かと俺達に突っかかってくるカンタローネだ。


「カンタローネ先生。私達がアンジェリーナさんに注意しようとしていたらこの男がパトリツィアさんに乱暴を働いたのです」

 真ん中にいた偉そうな女がカンタローネに告げ口してくれた。


「まあ、なんて事なの? 貴方騎士のくせに令嬢に乱暴を働いたの?」

「いや、俺はちょっとかき分けただけで、大げさにその女が転けただけで」

 俺が指摘すると


「痛たたたたた。先生、腕がとても痛いです」

 パトリツィアと呼ばれた女が盛大に呻いてくれた。


「まあ、パトリツィアさん。ひょっとして腕が折れたかもしれませんわ」

 カンタローネが大げさに言ってくれた。

「まあ、酷い」

「なんて酷い事をしてくれますの」

「騎士が令嬢に手を上げるなんて本当に最悪の事ですわ」

 女達が大騒ぎしてくれた。


 俺は唖然とした。


 殴った訳でも思いっきり押した訳でもない。

 ほんの少し手が当たっただけだ。

 それで骨が折れるか?


 女は皆に見えないように俺を見てニタリと笑ってくれた。

 俺は女達に嵌められたのをやっと知ったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『悪役令嬢に転生したのを知ったのは断罪されて婚約者に顔面を蹴られた時でした。ツンデレ兄と辺境で米作りして一からやり直します』https://ncode.syosetu.com/n5024mh/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



このお話の前の話


前前前作

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ