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43.第一皇子視点 聖女が悪役令嬢を嵌めようと色々画策を始めました

 俺は可愛いミーナから悪役令嬢アンジェリーナは悪魔のような性格でとてもきつい性格の女だと聞いていた。


 しかし、実際に会った婚約者はそんな事はなかった。


 確かにミーナに比べたら俺におもねる出もないし気の強そうな顔をしていたが、見た目は結構可愛かった。帝国の第一皇子の婚約者としてはミーナのように胸が無い所を除けば十分に及第点だった。

 胸の無い所を除けば……


 ミーナと出会う一昔前なら、俺はアンジエリーナで満足していたと思う。


 もっとも俺様はもう聖女ミーナとの真実の愛に出会ってしまった。


 今更どうこうできるものではなかった。


 まあ、俺様に頭を下げてくればそのまま、妾にでもしてやらないでもなかったが……

 そうか、婚約はこのまま続けて、ミーナとは真実の愛を継続しアンジェリーナとはそのまま結婚してもよい……と一瞬思ってしまった。


 遊ぶのは真実の愛のミーナで、貴族の義務としてアンジェとの婚姻を結ぶのだ。


 こうすれば両手に花だ。


 でも、それはおそらく二人には認められないというのは俺も薄々判った。


 ミーナは俺にとても執着していた。


 愛人にするなんて言ったら絶対に許してくれないのは俺でも判った。


 その上、アンジエリーナは俺にほとんど関心がないみたいに思えるのは気のせいだろうか?


 ミーナが俺に胸を押しつけて俺の心を騒がせても、汚いゴキブリを見るように俺を見てくれるのだが……


 いや、俺様はこの帝国の皇太子である父の嫡男だ。


 いずれは皇帝になる男だ。


 そんな俺をゴキブリを見るような視線で見ることはなかろう。

 俺は必死に首を振った。


 俺にはあまり近付いてこないのに、いつも一緒にいるあの年老いた騎士にはくっついているのは何故だ?


 さすがの俺もむっとした。


 それに、あろうことか、オリエンテーションでも、俺に雷撃してきやがった。

 普通は婚約者に気があったら雷撃するか?

 俺は信じられなかった。


 俺は魔道具で反射していたが……さすがにアンジェリーナがそれで倒れたときにはぎょっとした。

 やり過ぎたか?

 でも、俺を攻撃してきたのはアンジェリーナが先だ。


 俺は正当防衛しただけだ。

 俺は自分に言い訳した。


「アンジェを傷つけた奴は叩き潰してやる」

 しかし、それでアンジェリーナ老人騎士が怒り狂ってくれた。


 老人騎士が何が出来ようと俺は高をくくっていたのだ。


 しかし、次の瞬間、凄まじい衝撃が俺達を襲って俺達は吹っ飛ばされていた。


 俺は完全に気を失っていたのだ。


 俺は夜半に目を覚ました。


「大丈夫ですか、殿下」 

 枕元にいた被害の少なかったユリウス・マインブルクがほっとしてくれた。

 

 俺はアンジェリーナの護衛騎士に重傷を負わされていたのだとか……


 老人だと気を抜いたのが間違いだった。



 翌日、俺は事態を重視した側近とミーナを連れてその騎士に文句を言いに行ったのだ。


 俺はその騎士の護衛対象のアンジェリーナの一応婚約者なのだ。


 主人の婚約者を傷つけてどうする気だ!


「貴方たちラフィーのソニックブレードを身に浴びたんでしょ? ラフィーが卑怯な手を使っていないことくらい見て判らないの?」

 しかし、アンジェリーナは婚約者の俺に謝るではなくて、護衛騎士を庇ってくれた。


「黙れ、悪役令嬢アンジェリーナ。貴様などミーナ様に比べて月とすっぽんだ。直にエーベル様に婚約破棄される身だろうが。口は慎め」

 それを側近のヨーナス・ランツフートが咎めてくれた。


 少しきつい言い回しになったが、それくらい言っても良いだろう。


 しかし、そこには我が祖父である皇帝がいたのだ。


 俺は側近もろともに叱責されてしまった。


 婚約者をもっと大切にしろと祖父は激怒していた。


 そして、祖父とこの騎士が友人だと俺は初めて知ったのだ。


 皇帝の祖父が友人だと言うのを初めて聞いた。


 俺はこの老いらくの騎士が祖父の部下の騎士だと思っていたのだ。


 まさか、本当にその騎士が祖父の友人だとは思ってもいなかった。

 何しろ祖父はその騎士にバルト呼びを許していたのだから……




 その日帰ってから俺は父共々呼ばれたのだ。


 祖父はミーナと別れて婚約者とちゃんと一からやり直せと命じてくれた。

 それが帝国のためだと。


 しかし、俺とミーナは真実の愛で結ばれているのだ。

 祖父の言うことを聞く訳には行かなかった。


 俺は適当に誤魔化した。


 時間を稼げばなんとかなると思ったのだ。


 なのに、祖父は早速翌日にそのアンジエリーナを皇宮に呼び出してくれた。


 俺はそのままアンジエリーナを庭に案内するように祖父に命じられた。


 仕方が無い。


 俺はアンジェリーナの前を庭に向かって歩いた。


「ふんっ、上手く祖父に取り入ったんだな」

 俺は皮肉をこめてアンジェリーナを見た。


「何を言っているのよ。皇帝陛下に取りいってなんていないわよ」

 アンジェリーナの奴は首を振ってくれた。


「何を言う。俺に庭を案内するようにさせたくせに」

「貴方馬鹿なの? 一応貴方は私の婚約者なのよ。陛下でなくてもそう言うわよ」

 アンジェリーナは完全に馬鹿にして俺を見てくれた。


「別に私は貴方と結婚したい訳ではないから婚約破棄したかったらしてくれていいのよ」

「そんなの出来る訳ないだろう。国と国の契約だぞ」

 俺が言うと、

「真実の愛で聖女と結ばれたから私とは婚約破棄したいって言えば良いじゃ無い」

 平然とアンジエリーナは言ってくれるが、そんなのは俺の口から祖父に言える訳はなかった。

 それでは婚約破棄は俺の責になるではないか!

 そんなの帝国の皇太子の第一皇子の俺ができる訳はかなかった。


 婚約破棄するにはアンジェリーナから婚約破棄を申し出るか、そうか、ミーナを実際に虐めてくれるか、あるいは虐めたように見せかけて断罪する方向に持っていかないと。

 俺がむっとしてアンジエリーナを睨んでいるところに側近のヨーナスがやってきた。


「殿下、ちょっと」

 俺はヨーナスに端に連れて行かれた。


「殿下、ミーナ様が皇宮にお越しです」

 俺はそれを聞いて驚いた。

 しばらくは二人で会うのは止めようと昨日二人で決めたところなのに、どういう事だ?


「お仕事なんでしょう。私は帰るからお仕事を優先してもらっていいわ」

 アンジェリーナの言葉に俺はほっとした。


 

 俺の離宮に行くとなんか怒った様子のミーナがいた。


「エーベル様。どういう事ですの? 悪役令嬢にお会いなさっていると教会にたれ込みがございましたけれど」

 むっとしてミーナが俺を見てきたが、


「なあに、祖父が煩くてね。俺の心はミーナだけだよ」

 俺は少しぐらついた気持ちを整理しつつミーナに微笑んだ。

「本当ですの、エーベル様?」

 ミーナは自慢の胸を俺の手に押しつけてきた。


 この柔らかい胸の感触こそ癒やされる。


 俺はほっとした。

 

「さすが悪役令嬢アンジェリーナ。今度は皇帝陛下をたぶらかしだしたのではございませんか?」

「うーん、それはどうかな」

 中々祖父は一筋縄ではいかない。まあ、しかし、あの祖父と友人の還暦騎士を通せばアンジェリーナの希望は通そうと思えば通せそうだった。


 もっともアンジェリーナはあまり俺には興味が無さそうだったが……

 俺はその事に一抹の不満もあったが……


「エーベル様。悪役令嬢の策に載せられてはいけませんわ。ここはこちらにお任せ下さい。絶対にあの悪役令嬢をギャフンと言わせてやるますから」

 ミーナがそう言うが、俺はアンジエリーナが俺に興味があるとはどうしても思えなかったのだが……

 ただ、ミーナを説得するのも難しいからミーナの好きなようにやらせてみた。


 それが間違いだったと俺が理解するのはもはや引き返せなくなってからのことだった。



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