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4.元弟子を吹っ飛ばして国王達の上に落としました

「次は、ブリス・レンヌ男爵令息様。よろしくお願いします」

 トゥールが声をかけた。


 男が一人出てくる。

 こいつも若い。先程のアドルフと同じくらいだろう。

 こいつはアドルフの取り巻きの一人で俺の稽古には顔を出したことがなかった。


「ふんっ、あんな卑怯な手で勝つとはさすが平民は違うな。しかし、次は通用せんぞ」

 ブリスはほざいてくれた。


 だが、俺は、まだ、全然剣がしっくりきていなかった。

 このままではまずい。

 もっと剣がなじむように訓練すれば良かった。

 俺は後悔してた。


「いくぞ!」

 しかし、ブリスは待ってくれなかった。

 そう叫ぶと俺に向かってきた。


 俺はいきなり向かってこられて少し焦った。


「ええい、ままよ!」

 俺は仕方なしに、前に出て迎え撃とうとた。

 でも、地面をよく見ていなかった。

 いきなり、地面の出っ張りに躓いていたのだ。


「えっ?」

 俺は転びかけた。


「ギャッ」

 その拍子に、平衡を保とうとして思わず剣を突き出していた。

 その剣が物の見事にブリスの胴に突きを決めていた。


 ブリスは吹っ飛んでいた。

 俺はそれを唖然として見ていた。

「ちっ!」

 俺はシャルロットが舌打ちしたなんて気付かなかった。


 ブリスは完全に気絶していた。


「勝者、ラファエル!」


「やったわ! ラフィー!」

 俺の所にアンジェが飛んで来て、抱きついてきた。

 女の子に抱きつかれるなんてなれない俺は真っ赤になっていた。


「どうしたの? ラフィー、真っ赤になって、また熱でも出て来たの?」

 違う! アンジェが抱きついてきたからだとはさすがに言えなかった。

 俺は前のラファエルと違って若い子に抱きつかれることに全くなれていないんだ!

 心の中で叫んでいた。


「アンジェリーナ、何をじじいに抱きついている!」

 しかし、それを見てダニエルが怒って立ち上ってくれた。


「お父様は黙っていて! ラフィーは絶対に連れて行くんだから」

 アンジェはそう反論して更にきつく俺に抱きついてくれたんだが……

 止めてくれ、本当になれないんだから……俺はもう真っ赤だった。


「何言っているのよ、お姉様。平民に抱きつくなんて破廉恥よ!」

 ここぞとばかりにシャルロットが嘲ってくれた。

「アンジェリーナ、貴方王家の人間なんでしょう! 平民風情に抱きつくなんて恥を知りなさい! 恥を!」

 王妃のベアトリスがアンジェを非難してくれた。

 この二人は国王と違って俺の方は無視だ。


「ふんっ、ラフィーは私の騎士なんだから、絶対に貴方たちには渡さないわ」

 ますます、俺をきつく抱き締めてくれたのだが、いや、胸が当たるから、止めてほしいんだが……

「そんな老人なんていらないわよ」

「本当に汚らわしいわ」

 アンジェの言葉にシャルロットと王妃が俺を汚い者を見るようにみてくれた。


 俺も貴様らなんぞ絶対に守ってやらねえよ!

 さすがにそこまで言われると俺もカチンときた。

 まあ、口に出しては言わなかったが……


 どのみち、俺が託されたアンジェは帝国に行って皇太子の第一皇子と結婚するのだ。元々ダニエルはいけすかなと思っていたしその妻と娘も最低の奴らだ。

 これなら帝国のバルトの方が余程ましだ。帝国で学園を卒業したら俺を騎士くらいにはしてくれるだろう。

 俺は完全に国を捨てる覚悟をした。



 それからも騎士達は出て来たが、腕は大したことはない奴ばかりだった。まあ、俺も剣が全然なじんでいなかったが……


 俺は斬りつけたら、相手が転けて俺の剣に頭を叩かれて気絶したり、相手の剣を避けようとして剣を振ったら相手に剣が当たって相手を気絶させたり、まともに戦えていないのに、俺は勝ち続けた。


 まあ、運も実力のうちだと俺は思うことにした。


 アンジェの騎士として準備された近衛は全員大したことは無かった。

 俺はあっという間に全員を倒していた。


 というか、大半は自滅してくれた。


 こんな弱い奴らをアンジェの騎士にするなんて、ダニエルは何を考えているんだ? 少なくとも今際の際にアンヌが俺に託したアンジェに対する仕打ちがこれか?

 俺はダニエルに対して切れかけた。


「お父様。これでラフィーを私の騎士として連れて行っていいですね」

 アンジェが念押ししてくれた。


「何を言っているアンジェリーナ。今までのは準備運動だ。ここから真打ちの登場だぞ!」

「何ですって! ラフィーに何回対戦させるのよ! フェアじゃないわ!」

 アンジェが怒り出したが、

「何を言っている。ラファエルは剣聖ぞ。これくらい大したことは無かろう」

 昨日は俺は年寄りすぎてさっさと引退しろと言ってくれたのに今日は剣聖と言い出してくれた。この都合の良い変わり身の早さに、俺はあきれ果てた。


「では次はオーギュスト・プリアール伯爵令息様」

 トゥールが呼んでくれた。俺が精魂込めて育てた騎士で、今はシャルロットの護衛騎士となっていた。


「ラファエルロ様。ラファエル様に恨みはありませんが、陛下のご命令です。ここは勝たせて頂きます」

 元弟子のオーギュストは自信満々に言いだしてくれた。


「ほう、言ってくれるなオーギュスト。俺はまだ貴様に一本取られたことはないぞ」

 完全にラファエルのように剣を上手く使えるようにはなっていなかったが、俺は何故かうまく出来るように思えた。


「いくぞ!」

 オーギュストは対峙するや否や、俺に向かって全力で斬りかかってきた。


 ガキン!

 俺はそれを受けた。


 まともに受ける事が出来た。


 少し危うかったが、受けられた。


「ほおおおお、少しはまだ出来るようですね」

 オーギュストが笑って挑発してくれた。


 俺の心の中で何かがぷっつん切れていた。


 おそらく、前の宿主の心が切れた……


「ほざけ!」

 俺は心の底から叫んでいた。


「とりゃーーーー!」

 俺は自然と声が出て、そこから怒涛の攻めに入ったのだ。


 ガキン!

 ガキン!

 ガキン!


「いけ! ラフィー! そこよ!」

 アンジェの応援の声と


「オーギュスト、何押されているのよ! 負けたら首よ!」

 シャルロットの罵声が聞こえた。


「くっそう!」

 オーギュストは歯を食いしばって俺の攻撃を耐えようとするが俺は攻撃を止める気はなかった。


 というか、まだまだ余裕があった。


 やっと剣が体になじんできた所だ。


「ラファエル様。昔はもっと凄かったのに、全然ですね。そうか、元々こうでしたか?」

 オーギュストは強がりを言ってくれた。


「オーギュスト、何をしている。さっさとそのじじいを倒してしまえ!」

 ダニエルの叱責の声が聞こえた。


 元々こいつは魔術師として一緒に戦った戦友だ。しかし、俺に対する態度は何だ?

 これなら帝国にいた方がよほど良かった。俺も一応、魔王を退治したパーティー一行の剣聖だったはずだが、この国に帰ってきてから、ろくな扱いは受けて来なかった。位がほしかったわけではないが、昇爵するわけでもなく、褒美も、出なかった。

 アンヌ亡き後、死に物狂いでアンジェの為に色々と我慢してきた。でも、アンジェも、これで帝国に行くのなら、これ以上、ダニエル等に媚びる事は無いだろう。


俺は今までの鬱憤を晴らすことにした。


「オーギュスト! 行くぞ!」

「えっ?」

俺の覚悟した顔を見て、オーギュストはぎょっとした顔をした。


俺は上段に構えると一気にオーギュストに詰めよった。そして、真横に剣をなぎ払った。

ドシン!

「ギヤー!」

オーギュストは俺の剣に弾き飛ばされていた。そのまま、フェンスを突き破ると天幕の上から落ちていた。


「「キャー!」」

「ギャー!」

国王夫妻とシャルロットを巻き込んで押し潰していた。

他の皆は唖然としていたが、

「やった、ラフィー、さすがだわ!」

アンジェがとても喜んでくれた。


「おのれ、ジジイ覚えていろよ!」

「許さないんだから!」

ダニエルと王妃達は何か言っていたが、俺はもうこの国に何も未練はなかった。




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