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25.数学で大きく転けて、編み物で更に遅れを取ってしまいました

 問題は全部で10問だ。

 3桁の足し算3門、引き算3門、かけ算3問、割り算1問だ。


 前世日本の計算社会にいた身にとってはどれも簡単な問題だ。


 最後の割り算なんて888/222で4なんて一瞬で答えが出た。かけ算なんて400掛ける123とか簡単な問題だし、難問は123掛ける321くらいだ。でも、これも最後は足し算の問題で楽勝だった。


「出来た!」

 俺が叫ぶと

「嘘! ラフィー、答えが合っていないともう一度やり直しよ。ちゃんと計算してよ」

 アンジェが全然信じていない声で言い出してくれた。


「えっ、こんなの楽勝だろう?」

「そんな訳ないでしょ」

 俺はちらっとアンジェの答えを見たらまだ半分も出来ていないんだが、どういう事だ?


「計算はおそらく合っていると思うぞ」

 俺はアンジェに首を振っていた。


「そこ、静粛に!」

 数学の先生が注意してきた。

 俺は話すのを止めて先生の前に答案用紙を持っていく。


「ラファエル君。全問正解しない限りはやり直しだよ」

 一年B組の担任で数学のバジル先生は俺が出来ているとは全く想定していなかった。


「合っていると思いますよ」

「まあ、そこまで言うのならば採点するが、何問かは間違っていると思うが……仕方が無い。見て上げよう」

 先生はそういうと鷹揚に俺の答案を受け取ってくれた。

 そして採点を始める。


「どれどれ……えっ」

 先生は驚いて俺と答案用紙を見比べた。


「こんな事が……ラファエル、君は人の答案を見てはいかんよ」

 先生は信じられないみたいで、俺が他の生徒の答案を写した物だと勘違いしてくれた。


「って先生、俺が一番早いんですけど、どうやって写すんですか?」

「それはそうだが、しかし、信じられん。君が全問正解下だなんて!」

 バジル先生は唖然としてくれた。


「嘘! 数学なんて数える事さえ出来れば良いから計算の練習なんかする必要は無いって豪語していたラフィーが満点なんて信じられない!」

 アンジェが叫んでくれた。


「凄い、ラフィー様は文武両道なんですね!」

 ニコが感激してくれた。


「信じられない!」

 そう首を振ったヒルデはまだ最初の問題をやっているんだが……

 3桁とはいえ簡単な足し算だぞ!

 一体何をしているんだ?


 俺のチームは教室に最初に到着して、俺が最初に全問正解したが、それから1分遅れでイレーネが全問正解をしたが、その後は全然だった。

 次々に他のチームが全員正解して出て行く中で、慌てたアンジェが10分後に2門間違えで差し戻された。ニコはかけ算を全部間違えてくれるし、ヒルデなんて割り算まで間違っているんだが、こいつら今までどういう教育を受けてきたんだ?


 最後まで合わなかったヒルデが、かんで書いたかけ算が何故か合っていて、俺達が数学部屋を出られたのは到着してから既に30分以上経った後だった。

 最初のチームの一群は全員出発した後で、2教室目の次の一群も大半が既に正解して出た後だった。

 俺達のチームは最初から大きく出遅れた。



 この次は一年B組の教室で歴史問題だった。


 歴史の問題10選だ。

 一年生には難しいと思われたのか選択式だ。

 これなら楽勝だろう。


 現皇帝の名前を選択するところもあって、結構楽しめた。

 さすがに皇帝の名前を間違えるような愚か者はいないだろうと思っていたら、ヒルデが皇太子と名前を間違えてくれた。


 俺はこの体の前の持ち主のラファエルの不確かな知識とカンで二問間違えたが、二回で全問正解した。

 善戦した方だと思う。


 選択式なのでここでは騎士のカンもあり、なんとか全員3回でクリアした。

 2教室目ではそんなに大きく遅れなかった。



 しかし、次の編み物教室は大変だった。

 一センチ編み物をする競技なのだが、中々上手く編めない。

 何しろイレーネを除いて、他の4人は全く編み物なんてしたことがないのだ。


 先生の見本を見てもよく判らない。


「もう、何をしているんですか?」

 これは侍女の特性を生かしてあっという間に合格したイレーネが皆に教えてくれる。


 でもなかなか一センチとはいえまっすぐに編めないのだ。


「あっ、切れた!」

 アンジェなんて力を入れすぎるからか、すぐに毛糸が切れるんだが……


「アンジェリーナさんは婚約者に毛糸の編み物をすれば良いですよ」

 見かねたイレーネが提案してくれたが、


「あんな男に何故私が編み物なんてしなければいけないのよ」

「じゃあ、護衛騎士のラフィー様にされたらどうですか?」

「あっ、私やります」

 そこで横からヒルデが手を上げてくれたんだが、

「何故、貴方がラフィーに編み物するのよ!」

 アンジェが怒り出した。

「だってこれから色々教えていただきますし……」

 ヒルデが言い訳したが、

「私の護衛騎士のラフィーに聞く事なんて無いでしょ。判らなければ貴方の親兄弟に聞きなさいよ」

「まあ、アンジェは心が狭いわ。王女様なんだからそこは心を広く持たないと」

 ヒルデがアンジェに言いだしたが、


「狭くて結構よ。絶対にラフィーへの編み物は禁止よ」

 アンジェは頑なだったが、

「ふん、貴方が反対する権利はないわよ」


「そこ煩い」

 編み物の先生に注意までされてしまった。


「もう、喧嘩は後で良いから早く編んで下さい」

 イレーネが催促してなんとか編み物をクリアしたときに、お昼のチャイムが鳴り響いた。

 まだ座学で3教室しか終わっていないんだが、これで果たして今日中に全部終えられるんだろうか?


 俺はとても心配になってきた。


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