24.オリエンテーションの最初は簡単な計算問題でしたが、能筋軍団は悲鳴をあげてくれました。
一時間目の学園の説明はマイヤーがいなくなって無くなり、いきなりオリエンテーションの時間になってしまった。
帰ってきたマイヤーは能面だったが、少し怒っているようにみえた。
職員室の聖女派の抵抗に遭って色々あったんだと思う。
何しろ腐ってもミーナはこのゲームのヒロインなのだから。
結局、アンジェの机は見つからずに、ニコラウスとヒルデが倉庫から机と椅子を持ってきてくれた。
その後、俺達は体操着に着替えて、講堂に集合した。
講堂は昨日と違って、椅子が全て撤去されて広々としていた。
一年生の五クラス合計二百名、各五人ずつ一チームだ。全40チーム。速さを競うゲームのようだった。
「剣聖様とご一緒できるなんて、両親に自慢できます」
嬉々としてニコラウス改めニコが話出した。
「ニコ、俺は剣聖ではなくてラフィーだぞ!」
「ああ、そうでした」
俺が訂正すると、慌ててニコは間違いを認めてくれた。
「私もラフィー様とご一緒できるなんて末代までの自慢にします」
笑うニコの横からヒルデも競うように言いだした。
「ちよっと、私のラフィーなんだからね」
その二人の前にアンジェが立ち塞がってくれたんだが……
「良いじゃない。減るものじゃないんだし」
「そうだよ。昨日のオスカーへの一撃でオスカーだけでなく、皇子様とあのいかれた聖女も一緒にやっつけるなんて本当にしびれました」
「良いからもう少し離れなさいよ」
俺の思惑等関係なしに三人で争いだした。
騎士志望のニコが、皇子と聖女に対してそんな言葉を口に出して良いのか? とも思わないでもなかったが……
俺は争う三人を見て、ため息をつきたくなった。
「はああああ、このチーム脳筋しかいないんだけど、大丈夫なのかな?」
俺の代わりにイレーネが大きなため息をついてくれたんだが、絶対にイレーネには俺も脳筋軍団の一人に見えているはずだ。
そう言えばオリエンテーションは何をやるんだろう? 詳しくはマイヤーがいなかったから聞いていなかった。
剣を使うところばかりではないような気がした。
このチームは3人の剣士がいる。後は魔術師のアンジェが……。頭の使えそうなのはイレーネくらいだ。
とても武に固まっているような気がするんだが……座学系が出てくると、大変不味いのではないか?
学園長の長い挨拶が始まった。
「まだ、学園が始まって1日しか経っていないのに、早くも反省文を書かされた生徒がいます。これは学園始まって以来の最短記録です」
言わなくても良いのに学園長が余計な事を言ってくれて、
「凄い!」
「さすがラフィー様は違いますね」
ヒルデとニコが感心してくれたが、そこは感心するところではないだろう!
「今日のオリエンテーションでは反省文を書くことがないようにくれぐれもよろしくお願いします」
そう言って学園長は俺を見るのは止めてほしかった。
その後、全員が位置に着いた。
各班の代表に紙が配られた。
俺達は最初は自分のクラス一年E組に行けば良いそうだ。何をやるかはそこの先生に聞くそうだ。
「これなら、楽勝だ」
自分の教室ならすぐに行ける。
俺はほっとした。
「では始め」
学年主任の先生の合図で皆一斉に駆け出した。
脳筋の俺達一行は
「ちょっと待ってよ!」
遅れるイレーネを置いて一気に走る。
「おい、イレーネ、早く来い」
俺が後ろを振り返るが、イレーネはとても遅い。
このまま、俺達だけが先に行っても仕方がないだろう!
「乗れ!」
仕方なしに俺はイレーネの前にしゃがんだ。
「ああああ! イレーネずるい」
アンジェが叫んだが、取りあえず無視だ。
「急げ、イレーネ!」
「いや、でも」
イレーネは躊躇してくれたが、
「良いから時間が無い」
イレーネは俺の言葉に仕方なしに俺の背におずおずと抱きついてきた。
「そんな!」
アンジェがショックを受けているが、今はそれどころではない。
「行くぞ!」
俺はイレーネを背負うと飛ぶように駆け出した。
「ちょっと、ラフィー!」
叫ぶアンジェを無視して俺は駆けたのだ。
教室の前でイレーネを下ろす。
イレーネは真っ赤になっていた。
「もう、ラフィーなんて知らない!」
アンジェは怒り狂っていたが、今は競技中だ。
着いたのは俺達が一番だった。
「はい、端から座って」
先生の指示のもと、端から座る。
「では、この問題をやってください」
先生が配ってくれたのは三桁までのの計算問題だった。
楽勝だ!
俺が思ったときだ。
「「「ええええ!」」」
アンジェ達の悲鳴が聞こえたのだった……




