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22.第一皇子視点 老騎士に恥をかかされたので仕返しをすることにしました

 悪役令嬢のアンジェリーナ達はなんと入学式の10日前に国境にやってきたらしい。


 それもなんと、我が帝国に無断入国してくれたらしい。

 一国の王女がやることか?

 これは絶対に怪しい。

 何か良からぬことを企んでいる証拠だ。

 俺はひっ捕まえて何を企んでいたか動かぬ証拠を聞き出せと伝令に来た騎士に命じたら、既に国境は通した後だというではないか!


 事情を聞くとせっかく国境の奴らに悪役令嬢が来たら追い返すように指示を出していたのに、ハンニバル辺境伯が邪魔したらしい。


 あやつは何を考えているんだ?


 何でも、同行者に辺境伯の知り合いがいたから強引に通したらしい。

 皇子の命令よりも辺境伯の命令を聞くのか?

 俺がむっとして報告に来た騎士を睨み付けると、

「申し訳ありません。王女達は剣聖様を連れていましたので」

 騎士が慌てて言い訳してくれた。


「剣聖?」

「はい。陛下と一緒に魔王退治に同行した騎士です」

 騎士は説明してくれた。

「そう言えば魔王を退治したパーティーに騎士がいたと聞いたことがある」

 俺は頷いた。

 まあ、魔王退治など俺が生まれる前のことで、俺はよく知らなかった。

 祖父が嬉々として当時のことを話すから聞いてはいたが、正直何度も聞いているので俺にとってはとても退屈な話でいつも話半分に聞いていたのだが、その話の中に騎士のラフィーなる者がいた記憶がある。


 確かフランク国王と前の聖女を巡って争って負けた負け犬だ。


 女をその国の国王と争っても勝てるわけはないではないか?

 本当に馬鹿な騎士だ。

 俺はその後にそんな奴の名前を聞いたことがないから、国王の怒りをかって閑職にでも追いやられたのだろう。


 しかしね待てよ。そのラフィーがアンジェリーナについてくるのはおかしいのではないか?


 何しろアンジェリーナはその負けた国王とそいつが愛した元聖女の娘のはずだ。

 何故恋敵の娘にそいつがついてくる。


 国王に体よく追い払われたのだろうか?

 今の国王は元聖女のことなど忘れて、他の女にうつつを抜かしているそうだ。

 邪魔になった娘と生意気な騎士を体よく厄介払いしたか?


 まあ、良かろう。

 落ちぶれた自分の振られた娘につけられてついてくるその老騎士など何ほどの事もないだろう。


 今はそれよりも悪役令嬢のアンジェリーナだ。

 俺は学園長にも絶対に悪役令嬢が来たら追い返すようにと命じておいた。

 そして、虎視眈々とアンジェリーナが来るのを待ち構えていたのだ。

 しかし、奴らは遅々して来なかった。

 二日前になっても来ないので、俺は入学式の前日は公務があって学園に詰めていなかった。


 その時を見計らったようにアンジェリーナは現れたのだというではないか。

 それも辺境伯を伴って。

 学園長も辺境伯には頭が上がらないみたいで、俺の命じたのを翻してあっさりとテストを受けさせたそうだ。

 なんたることだ。

 俺の命に反するとは!


 学園を訪れた俺は学園長に文句を言った。

「殿下申し訳ありません。元騎士団長の辺境伯に言われたら認めるしかありませんでした。ただ、刻限に遅れてきたのは事実ですので、貴族子弟につけるボーナス点はつけませんでしたので、アンジェリーナ様のクラス分けはEクラスになります」

「Eクラスだと!」

 俺は学園長の言葉に驚いた。

 Eクラスは平民の中でも落ちこぼれの連中が行くクラスだ。

 そんなクラス分けになればいくらアンジェリーナが図太くても嫌になってすぐに帰るだろう。


 だが俺は釘を刺すためにそのアンジエリーナに入学式の前に会いに行ったのだ。


 そこで俺は抱き合っている婚約者と思われる女と男を見て唖然とした。

 な、何なのだ、こいつは? 俺がミーナと付き合っているから対抗して男と抱き合っているのか?

 それも俺と違ってとても筋肉質な男と抱き合っているのだが……

 俺が目が点になったときだ。


「まあ、さすが悪役令嬢アンジェリーナ。いきなり初老の男を引っかけて抱き付いていますの?」

 ミーナが叫んでくれた。

 俺ははっとして正気に戻った。


「何を言っているのよ。あなたこそ婚約者のいる男に、でかい胸を押しつけて歩くなんて、本当に噂通りの破廉恥令嬢よね」

 自分のことをおいておいてよく言う。

「な、何ですって、誰が破廉恥令嬢なのよ」

「そうだ。貴様。ミーナに失礼だぞ」

 俺がやっと口をきけた。


「失礼な男ね。婚約者の前で他の女といちゃつくなんて、一体どういう教育を受けているのよ」

 それに対してアンジエリーナが反論してくれた。


「な、何だと、他の男とイチャイチャしてる貴様に言われたくないわ!」

 そこから俺とアンジエリーナは言い合いになった。

 予鈴が鳴ったからやむを得ず俺は止めたが、アンジェリーナにはとても腹が立った。

 それとアンジェリーナの横にいる男にも!


 俺はその男が60を超えていると聞いても俄には信じられなかった。どう見ても現役の騎士としか見えなかった。でも、そんな男が俺達と同じ制服を着ているというのがとてもシュールだったが……


 その男が一年Eクラスの男爵令息と決闘すると聞いて俺もその男爵を応援するために訓練場に行ったのだ。

 相手は騎士とはいえ、もう60越の老体だ。男爵令息のパワーの前に一撃で沈むだろうと。


 俺とミーナが入っていくと皆はいつもようにキャーキャーと黄色い声援を送ってくれた。


 でも、俺の視線は老騎士にリボンを巻いているアンジエリーナに釘付けになってしまった。

 何なんだ! あいつは俺の婚約者のはずだ。なのに、何故あんな老人に自分のリボンを巻くんだ!

 普通は自分の婚約者にする行為だろうか!


 俺は余程叫びたかった。

 そんな俺にミーナは自分の大きな胸を押し連れてくれた。


 そうだ。落ち着け! 胸だけはミーナの方が大きい。

 アンジェリーナはほとんど胸は無いみたいだ。


 そう考えて俺は落ち着けようとした。


 ミーナとアンジエリーナの胸を見比べていたときだ。


「ギャッ」

 という大きな声とともに、何かが飛んで来たのだ。

 俺は避ける間もなく、飛んで来た男爵の下敷きにされてしまった。

 俺の記憶のあったのはここまでだった。


 男爵は失禁していて、汚物まみれにされてしまった事は後から側近達から聞いて知った。


「おのれ、あの老騎士め! 絶対に許さん!」

俺は怒りまくった。


祖父と同じ年のじじいのくせに俺達と同じ制服を着て、決闘に俺の婚約者からリボンを結んでもらうなど絶対に許さん。


じじいが出て来たことを後悔させてやる。

俺はオリエンテーションでじじいに大恥をかかせてやることにした。


そのために俺は現役最強の騎士を呼んだのだ。








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