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シグナリア  作者: もへもへーぬ
第1部ー紋章の継承者ー
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第33章ー爆発ー

芳骨島外周。


海風が吹き抜ける平原でりゅーいちは白髪の男と向かい合っていた。


周囲にはいくつもの爆発跡。


地面は抉れ、黒く焼け焦げている。


男が笑う。


「いやぁ、ほんと化け物だな九識」


軽い口調。


だが目は笑っていない。


りゅーいちは刀を構えたまま、静かに言った。


「お前も十分危険だ」


男は嬉しそうに笑った。


「ハハッ。褒め言葉として受け取っとおくよ」


そして片手を上げる。


両目に赤橙色の紋章が浮かぶ。


「俺はバルク」


ニヤッと笑う。


「爆破の紋章を持ってる」


その瞬間。


バルクの足元が爆発した。


ドォォン!!


爆風と熱が襲い。


土砂や破片も飛んでくる。


りゅーいちは即座に跳ぶ。


着地するもバルクは止まらない。


「能力は単純だ」


指を鳴らすと空中爆発が起きる。


「触れたもの」


もう一度指を鳴らすと、地面爆破。


「衝撃を与えたもの」


さらに拳を握る。


「熱を持ったもの」


爆発が連鎖している。


「全部爆弾にできる」


ドゴォォン!!


広範囲爆発。


りゅーいちが後退する。


近づけない。


爆発範囲が広すぎる。


しかも、起爆条件が多い。


バルクが笑う。


「近接相手にはめちゃくちゃ相性いいんだよなぁ」


次の瞬間バルクは突撃してきた。


想像より速い。


りゅーいちが刀でバルクの拳を受ける。


その瞬間。


ドゴォッ!!


爆発。


身体ごと吹き飛ばされる。


「っ……!」


りゅーいちは空中で体勢を立て直す。


着地。


だが、腕が痺れる。


バルクが笑った。


「今のは“接触起爆”」


「触れた瞬間、爆破する」


さらに、バルクは地面を蹴る。


その軌道すら爆発。


「応用すれば移動にも使える」


爆風加速による高速接近。


りゅーいちが舌打ちする。


(厄介だな)


爆破と言ってもただの火力型じゃない。


機動力、牽制、近接拒否。


全部成立している。


バルクは戦い慣れていた。


「どうした九識!」


笑いながら突っ込む。


「来ないのか!?」


爆発が再び連鎖する。


りゅーいちは突撃技で距離を詰める。


一直線に向かう。


最短かつ最速。


だがバルクは笑った。


「読めるって」


地面が爆破した。


爆風が起き斬撃軌道がズレる。


さらに空中起爆。


りゅーいちの身体が弾かれる。


そこへ追撃を仕掛けてくる。


ドゴォッ!!


バルクの拳がりゅーいちに直撃した。


りゅーいちが吹き飛ばされる。


地面を滑る。


バルクが肩を回した。


「いいねぇ」


「硬ぇし速ぇ」


「でも」


ニヤッと笑う。


「近づけなきゃ意味ねぇよな?」


完全にバルクが優勢。


りゅーいちは静かに立ち上がる。


刀を握る。


そして小さく周囲を見る。


地面、風向き、土、焼け跡。


バルクが首を傾げた。


「まだやる気か?」


その瞬間。


りゅーいちが踏み込んだ。


再び一直線に突撃する。


バルクが笑う。


「またそれか!!」


地面爆破による連鎖。


だが、りゅーいちは止まらない。


爆風へ突っ込む。


熱や破片がりゅーいちに襲い掛かる。


しかし、りゅーいちは全部ギリギリで躱しながら進む。


バルクの笑みが少し消えた。


(なんだ……?)


距離が近い。


咄嗟に拳を振るう。


その瞬間。


りゅーいちが刀を地面へ突き刺した。


土砂を巻き上げ砂煙を起こす。


一気に舞い上がる。


バルクが目を見開く。


「――は?」


爆発。


……しない。


火花だけが散る。


不完全燃焼。


りゅーいちが低く言う。


「爆発には酸素が必要だ」


風向き、土煙、爆風。


今使えるものを全部利用した。


酸素濃度を乱した。


起爆威力低下。


バルクが舌打ちする。


「頭まで回るタイプかよ……!」


その瞬間、りゅーいちが踏み込む。


今度は届く。


一閃。


バルクがギリギリ避ける。


だが、遅い。りゅーいちは蹴りを入れようとする。


ドゴッ!!


身体が浮く。


追撃で柄打ち。


腹部に入る。


「がっ……!」


さらに斬撃。


肩から血が舞う。


バルクが後退する。


息が荒い。


りゅーいちは刀を肩へ担いだ。


「派手だな」


静かな声。


「だから読みやすい」


バルクは数秒黙ったあと、吹き出した。


「ははっ」


口元の血を拭う。


「めちゃくちゃ楽しくなってきた」

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