表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シグナリア  作者: もへもへーぬ
第1部ー紋章の継承者ー
28/29

第27章ー病棟ー

京慈、カナム、そら、らきの四人は施設奥へ進んでいた。


通路は入り組み始め、構造も複雑になっていく。


研究施設。


医療区画。


地下設備。


様々なものが無理矢理繋ぎ合わされているようだった。


その時。


「……ん」


らきが足を止めた。


そらが振り向く。


「どうした?」


らきは耳を澄ませるように目を細める。


「人の気配がする」


短く言う。


そして次の瞬間。


「お兄ちゃーん!!」


突然大声を出した。


「こっちから人の気配するから、そら兄ちゃんと見てくるー!」


前方を走るカナムへ向けて叫ぶ。


京慈が目を丸くする。


だが、カナムは振り返らない。


ただ、走りながら右手を軽く上げた。


許可。それだけ。


「じゃ、いこっか」


らきが方向を変える。


「えぇ……?」


そらが若干嫌そうな顔をする。


「いや絶対なんかあるでしょ……」


「あるだろうね〜」


軽い返しに、重たい予想。


だが、らきはもう走り出していた。


「ちょ、らき!待って!」


そらも慌てて追いかける。


通路を抜け、階段を降りる。


そして辿り着いた先を見て、二人は足を止めた。


「……は?」


そこは病院だった。


正確には、病院の入院フロアを、そのまま地下へ持ってきたような空間。


白いカーテン。


並ぶベッド。


点滴に薬品棚。


そして人。


老若男女が入り混じる異質な空間。


大人も、老人も、子供も。


ざっと見ただけでも50以上。


皆どこか虚ろな目をしている。


「……何これ」


そらが小さく呟く。


らきも流石に笑顔を消していた。


その時。


「あらあら」


声が聞こえる。


振り返ると、白衣姿のナースが現れる。


「ほら、抜けちゃダメでしょ?」


柔らかい笑顔。


まるで普通の病院。


「お部屋に戻りましょうね〜」


自然に2人へ近づいてくる。


そらとらきは一瞬だけ視線を交わす。


(中に入れる)


(情報取れる)


即座に切り替える。


「あ、はい〜」


らきが空気を変える。


いつもの軽い調子。


「ごめんなさいねぇ。迷っちゃって間違って出ちゃった。」


ナースが近づく。


その瞬間。


ヒュッ!!


「っ!」


らきが咄嗟に飛び退く。


同時そらも後方へ跳んだ。


直後2人がいた場所を鋭い何かが通過する。


確認すると床が裂けていた。


「おや」


男の声。


奥から現れたのは、

眼鏡を掛けたオールバックの男。


整った白衣に細い目。知的な雰囲気。


だが、目だけが冷たい。


男はナースへ向けて言う。


「その方たちは中へ行けませんよ」


静かな声。


「彼らは九識の人間です」


男は眼鏡を押し上げる。


「ここで始末するよう、彼から言われています。」


空気が変わる。


ナースが慌てたように頭を下げる。


「す、すみません……! ペパー様……!」


ペパー。


その名を聞き、そらが小さく息を吐く。


(…この男…幹部クラスか)


ペパーは軽く手を振る。


「とりあえず、スペアさんを呼んできてください」


「は、はい!」


ナースが急いで病棟奥へ戻ろうとする。


その瞬間。


「そう簡単に行かせるわけないよね」


そらの周囲に機械が展開された。


小型ドローンを複数展開する。


一斉に照準がナースへ向く。


「撃て」


ドドドドッ!!


小型ミサイル発射。


だがペパーが前へ出る。


「無駄ですよ」


空気が歪んだ。


次の瞬間ミサイル全てが停止する。


空中でピタリと。


「……は?」


そらが目を見開く。


直後。


バキィッ!!


ペパーが突撃していた。


速い。


「っ!?」


そらの腹へ拳。


同時にらきの脇腹へ蹴りを入れる。


二人が吹き飛ぶ。


「ぐっ……!」


壁へ叩きつけられる。


ペパーは静かに眼鏡を直す。


「九識と聞いて少し焦りましたが…こんなものですか」


オールバックをかき上げる。


余裕。


完全に格上の動きだった。


そらが息を整える。


らきもゆっくり立ち上がる。


「……なるほどねぇ」


らきが笑う。


だが目は笑っていない。


そらは小さく呟く。


「能力の種類……見ないと結構キツい」


2人は静かに思考を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ