表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シグナリア  作者: もへもへーぬ
第1部ー紋章の継承者ー
PR
26/54

第25章ー入口ー

芳骨島内部に湿った風が吹き抜ける。


島全体が不気味なほど静かだった。


聞こえるのは遠くで響く爆発音だけ。


りゅーいちと白髪の男が、今も戦っている。


その音を背に、京慈達8人は島内部を進んでいた。


「……気味悪いですね」


京慈が周囲を見回す。


廃墟に朽ちた施設、放棄された研究設備。


だが、妙に綺麗すぎる。


「あの男以外にも、人がいるのは間違いなさそうだもんね」


ぽたが静かに言った。


「最近まで使われていた痕跡もある」


その時、カナムが耳元へ手を当てる。


通信機器を使用していた。


「りすず」


『んー』


芳骨島の上空にある九識家のヘリコプターで後方支援中のりすずの声。


『なにー』


「上から見て怪しい場所はあるか」


少し間が空き、キーボード音が聞こえる。


『……あるね』


空中投影された簡易マップへ、赤い点が表示される。


『島中央付近』


『他と違って熱源が安定してる』


そらが反応する。


「地下設備かも」


『あとその熱源付近の周囲だけ妙に電波ノイズ強い』


「隠してるな」


カナムが短く言う。


「すまないが場所まで案内してくれ」


『りょーかい』


数分後、島中央区域、木々を抜けた先に建物があった。


コンクリート製で窓は少ない。


研究施設のような外観。


だが、明らかに異質だった。


「ここか」


京慈が呟く。


すると、らきが目を細めた。


「……なんかいる」


その瞬間。


ヒュンッ!!


背後から高速で何かが飛来した。


「伏せて!!」


アスノの声。


直後。


シュバッ!!


アスノが矢を放つ。


放たれた一矢が、飛来物を空中で撃ち落とす。


爆発が起き、火花が散る。


京慈が目を見開く。


「っ!?」


「反応速っ」


かぁりが驚く。


そして、施設入口上部。


二つの人影が現れた。


一人は長身の男。


細身で片目を隠した黒髪。


指先に小型ナイフを回している。


もう一人は小柄な女。


フード付きの服を着ており、退屈そうな目をしていた。


黒髪の男が軽く笑う。


「いやぁ…今のを避けると思わなかった」


フードの女も欠伸混じりに言う。


「面倒くさいな…」


「帰ってもいい?」


「ダメだろ」


軽い。


だが、2人とも、纏う空気が違う。


強い。アスノが静かに弓を構え直す。


「みんな」


「ここは任せて」


アスノはそう言うと、完全に戦闘態勢だった。


「早く中へ」


するとその横で、ぽたが一歩前へ出る。


「姉ちゃん」


穏やかな声。


「僕も残るよ」


アスノが少しだけ視線を向けた。


「大丈夫なのかい?」


「多分ね。紋章適合者2人相手だと、さすがの姉ちゃんでも1人じゃ厳しいでしょ。」


ぽたが微笑む。


「味方は多い方が良い」


その瞬間、ナイフの男が笑った。


「へぇ…余裕そうじゃん」


フードの女も小さく首を傾げる。


「私たち、舐められてる?」


だが、ぽたは否定しない。


静かに前へ出るだけ。


カナムが短く言った。


「アスノ、ぽたここは任せる」


「はいよ」「はーい」


その返事だけで十分だった。


そして京慈達は施設入口へ向かう。


すれ違いざま。


京慈は後ろを見る。


アスノが弓を構え。


ぽたが静かに立ち。


二人の敵と向き合っていた。


その空気に。


思わず息を飲む。


だが、立ち止まれない。


京慈はそのまま施設内部へ踏み込んだ。


直後、背後で矢と爆音が交差した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ