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シグナリア  作者: もへもへーぬ
第1部ー紋章の継承者ー
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第24章ー芳骨島ー

夜の海。


巨大なヘリコプターが、暗闇を裂くように芳骨島へと飛行していた。


機内では誰も無駄話をしない。


いつもの九識家とは思えないほど静かだった。


京慈は窓の外を見る。


遠くの方、海の中央に黒い島影が見え始めていた。


「……あれが」


「芳骨島」


アスノが答える。


「元々は研究施設用の管理島。80年ほど前には有人等だったが、現在は無人島。」


ぽたが静かに補足した。


「今はほぼ放棄扱い」


「だから隠れるには丁度いい」


そらが端末を閉じる。


その時、前方に立っていたカナムが口を開いた。


「アヤ達は予定通り海側から入る」


海上の別ルート。


セブンスター財団の大型船が進んでいるのが見える。


共同戦線はもう始まっていた。


そして、ヘリが高度を下げ始める。


芳骨島上空。


カナムが振り返った。


「行くぞ」


短い一言。


すると。


めいが少し顔を上げる。


「……え?」


カナムは視線を向ける。


「めいとりすずは残れ。後方支援を頼む」


りすずは普通に頷いた。


「りょーかい」


だが、めいは少し不安そうだった。


京慈がそれに気づく。


「大丈夫」


「ここが一番安全だから」


めいは少し迷った後、小さく頷いた。


その直後。


りゅーいちがヘリの扉を開ける。


轟音とともに風が吹き込む。


「じゃ、行くか」


最初に飛んだ。


続いて。


あきと。


そら。


かぁり。


らき。


京慈。


カナム。


ぽた。


最後にアスノ。


次々と地上へ降下していく。


芳骨島・地上付近。


地面が近づく。


その瞬間。


ドゴォォン!!


爆発。


地上から突き上げるような衝撃。


「っ!?」


京慈が目を見開く。


狙われていた。


爆風で無数の岩石が飛び散る。


だが


「邪魔だ」


りゅーいちが剣を振る。


斬撃。


空中の岩石が、一瞬で切り落とされた。


そのまま着地。


ドンッ!!


地面が揺れる。


京慈達も次々と降り立つ。


そして目の前には、一人の男が立っていた。


白髪で細身。


年齢不詳。


口元には軽い笑み。


妙に気怠そうな空気。


だが、直感で分かる。


強い。


その男が、降下してくる兄妹達を見上げた瞬間。


りゅーいちが踏み込んだ。


「退け。ここで退けば命は取らない。」


剣閃一直線。


だが、白髪の男は笑った。


「おっと」


次の瞬間。


爆発が起きる。


空中で炸裂した炎が、りゅーいちの斬撃を逸らす。


轟音とともに衝撃が走る。


京慈が着地した頃には、二人は既に間合いへ入っていた。


「へぇ」


白髪の男が少し感心したように言う。


「情報はあったけど、やっぱり速いねぇ」


りゅーいちは無言。


再度踏み込む。


今度は連撃。


だが、その度に小規模爆発が発生し、斬撃軌道をずらされる。


距離を取らされる。


「爆破系か……!」


京慈が構える。


すると、白髪の男が片手を軽く上げた。


「待って待って」


緩い声。


次第に全員が着地したことを確認すると。


男はズボンについた砂埃を、軽く払った。


「全員降りた?」


妙に軽い。


緊張感がない。


だが、逆に不気味だった。


白髪の男は笑う。


「いやぁ、これ以上先に行かせる訳にはいかないんだよね〜」


その瞬間、空気が張り詰める。


りゅーいちが剣を構え直した。


すると、カナムが静かに口を開く。


「りゅーいち」


「おう」


「ここは任せる」


りゅーいちがニヤッと笑う。


「了解」


そのやり取りだけで。


もう決まっていた。


白髪の男も察したらしい。


「え、マジ?キミ一人で俺の動きを止めるの?キツくない?」


軽い。本当に軽い。


だが、カナムは反応しない。


黄金の瞳が島奥を見る。


「残りは施設を探す。1秒でも早くモードを見つけろ」


その瞬間、全員が動いた。


かぁり。


らき。


そら。


ぽた。


アスノ。


京慈。


そしてカナム。


一斉に島内部へ走り出す。


その背後で白髪の男が爆炎を展開した。


だが


「お前の相手は俺だ」


りゅーいちが前へ出る。


剣を構える。


白髪の男は数秒沈黙し。


そして、楽しそうに笑った。


「……いいねぇ…殺しがいがありそうだ。」


次の瞬間、芳骨島に巨大な爆発音が響き渡った。

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