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第十三話 連携

 城門を開けた後、城門の開閉装置を守っていると親衛隊の皆と合流した。

 カミラに弱点看破の魔法で魔人の魔核の位置を暴きだしてもらい、魔人を滅ぼすと、突撃部隊に混じって、正門を目指した。正門では乱戦の上に混戦だったが、正門を何とかあけることに成功した。

 正門が開くと後は楽だった。本隊が正門から雪崩れ込むと、敵は瞬く間に駆逐されていった。本隊は街の各地区を制圧しながらアベラルドの中心部にある城を目指す。

 俺達は城の前で、翔流達と合流した。


「無事にミッションを果たしたみたいだね」

 翔流が微笑みかけてきた。

「ま、何とかね」

「やるじゃない!」

「さすがです~」

 葛葉と美琥斗も褒めてくれた。少し照れる。

「クロードならこれくらい簡単にやってもらわないとな」

 何故かエウフェミアが自慢げに答えた。ドロテアとカミラは地面に座って、休んでいる。突撃部隊は激戦を繰り返しているので、しょうがない。バルバラさんでも流石に少し疲れが見えている。

 城の門を本隊の兵が破るまで、俺達は少し休憩だ。翔流達は城に陣取るボスの相手をしなくてはならないので、力を温存している。

 ドオンドオンと門に攻城鎚が打ち付けられる轟音の中、休憩を続ける。


「斉藤君たちはしばらく休んでなよ。正門を開けるのに苦労したって聞いたよ」

「1000人で守備隊の真っ只中に突っ込んだからな。俺はまだいいが、突撃部隊の前衛はもうボロボロだよ」

「うん。彼らのためにも、ここを取り返さないとね」

「お前がちゃんとケリをつけてくれよ」

「任せて」

 翔流と話していると、城門が攻城鎚によって破壊された。兵たちが喚声を上げながら、城に突撃していく。

「じゃあ、僕達は行くから」

「ああ、俺達も後から行く」

 翔流達は城の中へと踏み込んでいった。翔流が城内に足を踏み入れると、その辺りにいた兵士達から歓声が上がる。


 それから、10分ほど立って、ようやく俺達も腰を上げ、城内に入っていった。

 城内は喚声と剣戟の音に満ち、まだ戦いの真っ最中のようであった。いくつかの部隊に別れ、城内の制圧を行っているようだ。

 俺達がやることは、翔流のフォローだ。目指すは城の天守閣部分。ここにはやや大きめな広間がある。ボスがいるとすればそこだろうと軍部のお偉いさん達が予測していた。

 戦闘は俺とバルバラさん、中衛にカミラとエウフェミアの魔術師ペア、後衛は感覚が鋭いドロテアが受け持つ。この体形で、城内を進んでいく。


 城内ではあちこちで戦闘が行われている。俺達も極力戦闘を避けようとしてはいるものの、やはり何度か避けられない場面も出てくる。

 俺がショットガンでフッ飛ばし、エウフェミアがキャストの短い精霊魔術でその他の敵を足止め、バルバラさんとカミラが止めを刺す。その間、ドロテアが周囲を警戒し、素早く敵を見つけ出す。

 役割分担で手早く敵を処理していく。

 城の2階、3階となると、敵の警戒も厳しくなるが、数や強さはさほどでもなかった。また、敵の死体も増えていきた。どうやら、翔流達が先行して、戦った後のようだ。




 俺達はどんどん進み、天守閣の広間へ着いた。

 そこでは翔流達がボスらしきモンスターと戦っていた。

 全長10メートルはありそうなキメラを翔流達が囲んでいる。

 キメラはほぼライオンの姿をしているが、背中からヤギの頭が生えており、尻尾は人の胴ほども太さのある大蛇だった。

 ライオンが鋭い牙と爪で斬りかかり、ヤギが魔法を唱え、蛇が毒霧を吐きながら胴体でなぎ払ってくる。


 対して翔流側は、重装の鎧を纏い大盾を構えた女騎士がキメラの正面に立ち、タンク役となって、ライオンの攻撃を一身に受けている。時々、ヘイト稼ぎにスキルを放っているが、それ以外はずっと防御している。

 さらに、背面に背の高く重武装の女戦士がサブタンクとして大蛇の攻撃を凌いでいた。

 翔流と葛葉が火力役で、剣技スキルと魔術でキメラを側面から攻撃している。

 美琥斗と王女がヒーラー役。エウフェミアと同じ部族のエルフで、女精霊術師がサポート役となっている。

 ヤギがほったらかしだ。しかも、ライオンも強く、女騎士は一撃一撃を必死で受けている。そこにヤギの魔術が降ってきたりするので、女騎士はさばき切れていない。

 それは後の女戦士も同じで、大蛇のトリッキーな動きや状態異常を引き起こす攻撃におされ気味になっている。

 そのため、ヒーラー役の二人が大忙しだ。MPだって無限じゃない。

 かなり危険な状態だ。

 翔流達はこちらに気付いてはいても、声を掛ける余裕すらないようだ。


「凄いプレッシャーなんだナー」

 ドロテアが怯える。

「魔力がぁ、強すぎるぅ」

「あれは、ただのキメラじゃない」

 カミラとエウフェミアもキメラから発せられている強者の雰囲気に飲まれていた。バルバラさんですら圧倒されているようだ。

 魔力を感じることが出来ず、パラメーターの体系も全く違うためだろうか、俺には何も感じられない。ブリトラやエクストラベヒモスよりも小さいので、やりやすそうだなとすら感じているぐらいだ。


「ちっちゃいじゃないか。俺達はもっと大きな獲物もしとめたろ」

「そう言う問題じゃないナー」

「いいから、行くぞ! ドロテアは戦士の人のサポート。バルバラさんは翔流の手伝い。カミラは葛葉の手伝い。エウフェミアは全体のサポート」

『わかった』

 俺達は駆け出し、それぞれに位置取りした。俺は側面からショットガンでライオンの胴を撃った。

 しかし、深い毛と厚い皮によって、ショットガンの12番ゲージが阻まれる。パラパラとライオンの胴に食い込んだ弾が零れ落ちた。打撃としては多少のダメージになったかもしれないが、これでは有効打にならない。


 貫通力が必要だ。そこで、ショットガンから、サブマシンガンに装備を変える。FN社製のP90だ。連射もさることながら貫通力にも優れている。ただし威力は他の武器と比べれば低めだ。

 さらにサブマシンガン系の武器は2丁拳銃が出来るのだ。P90を左右に持ち、右をライオンの頭に、左をヤギの頭に狙いをつけてフルオートで乱射する。

 貫通性の高い弾丸は厚い毛皮をぶち抜きキメラに突き刺さる。しかし、銃創はすぐに盛り上がり、体内に潜り込んだ弾丸を吐き出して回復していく。ダメージソースにはならないが、多少削ることは出来そうだ。

 その上、フルオートの連射だと、ヘイトが凄い勢いで溜まりそうだ。

 一旦はP90の2丁拳銃で行くか。


 俺はキメラの側面に陣取り、P90を二丁拳銃のフルオートでぶっ放した。

 ダララララララっと銃声を放ちながら、連続で瞬くマズルプラッシュと共に飛び出す銃弾の雨がライオンとヤギの頭に降り注ぐ。

 一発一発の威力は低いが、高い貫通力のお陰で、毛皮を突破り肉に食い込む。

 さしものキメラもひるんだ。

 そこに翔流が剣技スキルを叩き込み、カミラの魔術が炸裂する。

 ダメージを与えた二人にキメラのヘイトが行かないよう、さらにP90をキメラに撃ち続ける。

 ライオンの噛み付きとヤギの雷魔法が同時に襲い掛かってきた。しかし、俺にはぶっ壊れスキルの『ステップ&ローリングLv10』がある。ステップ回避で、難なく両方の攻撃を避けつつ、P90の引き金を引きっぱなしで連射する。

 俺が2頭をひきつけている間、翔流が剣で斬りつけ、葛葉とカミラが魔術を放った。真正面で対峙していた女騎士は王女の回復魔法で体勢を立て直す。ドロテアが大蛇を牽制している間に、大蛇を引き受けていた女戦士も、美琥斗に回復してもらい、立て直した。

 エウフェミアと女精霊術師の二人がバフを掛け直す。

 戦況は安定していき、徐々にこちらが有利になってきている。

 俺はとにかくライオンとヤギの2頭の相手をしていた。

 P90の威力が低いせいと敵の回復速度のせいで、キメラは撃たれるのも構わずに、俺に連続攻撃を仕掛けてくる。

 同時に攻撃してきたり、タイミングをずらしてきたりしたが、何とかステップ回避とローリング回避を組み合わせて対応する。

 避けて撃つ。避けて撃つ。

 威力が低いとはいえ、傷は負わせている。しかも、恐ろしく連続で。凄くウザッたいのだろうな。キメラの俺へのヘイトは上がりっぱなしだ。


 ライオンとヤギは俺が抑えているが、その分大蛇は大暴れだ。太い胴をブンブンと打ち振って、女戦士とドロテアに襲い掛かる。

 女戦士とドロテアは何とか連携して、その猛攻を凌いでいるが、かなりジリ貧だ。俺も手が回らない。

 そこに大蛇が毒霧を吐き出した。ドロテアに毒霧が吹きかかる。

「ギニャ!」

 毒を受け、ドロテアの動きが止まる。それを見逃す敵ではない。大蛇は胴をドロテアの腹にたたきつけた。

「グハッ……」

 ドロテアが膝を付く。さらに大蛇は追撃を加えようとする。

 このままではドロテアがやられる!

 大蛇がドロテアに噛み付かんとする。

 まずい!

 しかし、そこに翔流が横っ飛びにドロテアを抱き込み、大蛇の一撃を避けた。

 俺はライオンに向けていた銃口を大蛇に向け、引き金を引く。銃弾の雨が大蛇を襲い、肉を穿っていく。

 女戦士も二人をカバーした。

「た、助かったナー」

「大事がなくて、良かった」

 ドロテアと翔流が立ち上がる。ドロテアには、ヒーラー二人から回復魔法が飛び、瞬く間に回復させていく。


 一時は危なかったが、ドロテアと翔流の二人はすぐ戦線に復帰した。俺は、ヤギには撃ちっぱなしで、ライオンと大蛇を交互に攻撃する事にする。ライオンには女重騎士が付き、大蛇には女戦士とドロテアが付いているので、交互に撃つだけでも、効果はある。

 翔流、葛葉、カミラ、エウフェミアが攻撃に回り、だんだんとキメラにダメージを与えていく。しかし、ブリトラやエクストラベヒモスよりも小さいのに、かなりタフだ。まだ猛然とこちらを攻撃してくる。

 しかし、戦況はこちらの優位で安定している。このまま行けば、いずれ倒せる。


 そのとき、キメラの体が光りだした。

 キメラは動きを止め、発した光がドンドン強くなっていく。

「なんだこれ」

 俺は翔流に尋ねた。『クリムゾンロード』を知っているなら、敵が何をしてくるかわかるかもしれない。

「あ、まずい!」

 翔流が焦りを表情に出した。

 その瞬間、ライオンとヤギが鳴き声を上げた。

 光が爆発する。

 キメラの体から爆風のような衝撃波が発せられた。

 俺は衝撃波をモロに食らい、吹っ飛ばされる。だが、爆発耐性Lv10のお陰でダメージはない。

 しかし、俺の周りはそうはいかなかった。

 衝撃波が全体魔法のように仲間達をふっ飛ばしていた。葛葉、ドロテア、カミラ、エウフェミアと女精霊術師は壁に叩きつけられ、蹲っている。

 美琥斗と王女はバフのお陰で、吹っ飛ばされてはしても、膝を付いている程度で済んでいる。

 立っているのは、俺と翔流と女重騎士だけだ。


 一体何が起こった!?


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