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反転の錬金術師  作者: ルケア


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ベルンケラーに向けて

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 子供が生まれてから暫くが経った。子供は元気に育っていると思う。ただ、昼寝中も夜も、全く起きない。夜泣きも全然しない。何というか、この子は大物になるんじゃないかって思うんだよな。普通の子供って、夜中も関係なく泣くと思うんだけど、全然泣かないんだよ。まあ、ご飯が欲しいとか、おもらししましたとかでは普通に泣いてくれるので、それは良いんだけど。思った以上に楽をさせてもらっているってボリクラが話していた。


 ボリクラは、クレイナードに付きっぱなしだ。朝から晩まで付きっぱなし。それが普通なんだそうだ。レイトーン村では、子供が産まれた家は、色々と免除されるというか。出産をして、季節が2回変わるまでは、色んな事を免除されるらしい。……そもそも女性の会をどうするのかとか、そういうのもあるんだろうが、まずは子供の事を最優先に考えるんだそうだ。普通の家であれば、家事労働は2世帯で住んでいるんだから、自分の母親に任せて、子供の面倒をひたすらに見るって事を推奨させられるらしい。……俺たちの様に、1世帯で住んでいる場合は、手伝いにも来ることもあるらしい。現に獣人の肉屋たちの時には、色んな人が家事を手伝いに行ったらしいからな。そうやって村で支え合うんだと。女性社会が生きていると、こういうことが起きるんだ。子供が最優先で、後は出来る人がやるって考え方だな。それと、近所の人同士で子育てを並行する事で、休み時間も作れる。獣人の肉屋で考えると、3世帯が居る訳だ。そうしたら、1人で3人の子供の面倒を見れば、2人は休める。そういう時はしっかりと寝たり、自分の事をやったりするらしい。そういう風になっているって聞いて、女性社会ってあった方が良いよなって思い直した。あった方が色々と助かるんだから。


 そんな訳で、今はボリクラが子育ての真っ最中である。クラーク以外は参加している感じだな。クラークは赤ん坊の世話よりも、店番なんかを当てられている。……女性陣は、自分が子供を持った時に、どうやって対処すれば良いのかの勉強中とでも言えば良いのかな。自分の子供が出来た時にどうしたら良いのか。それをクレイナードで勉強中である。勿論だけど、店番を放置している訳でもないし、訓練をしていない訳でもない。あくまでもそれをしつつ、冒険者としての訓練もしているってだけだな。


 お店の方はそれで良いとしても、俺の方はそういう訳で休むわけにもいかない。秋になったので、準備していた計画を進めることにした。亡者の鉱山都市ベルンケラーまで行くためのレギオンである。約30人の獣人の冒険者を募り、死属性の領域を進む。前回はエビルレディがでて、幻覚系の魅了を大量にばら撒かれてしまったので、撤退してきたが、今度は対策もバッチリだ。まずは死属性の領域まで、1日で踏破する。


 火属性と闇属性の領域を突破する時は、最低限の動きで、最大の速度が出せるように動く。出来るだけ真っ直ぐに進んできた。前回と違うのは、武器がホーリーアイアンに変わっているという所だろう。死属性にもよく効く。今度は同じ様な轍を踏まない様にしないといけない。まずはじっくりと攻める。前回の魔物がどんなものだったのかも確認しながら進んでいった。


 デスラット、ボーンソルジャー、カースホーン、デスグール、カースドネイル、そしてエビルレディ。それらを順調に倒していき、更に奥に。ここまでは順調だ。森の中という条件だから、そこそこ辛いかもしれないとは思っていたんだけど、そんなにも苦にならない。というか、森に慣れすぎたんだ。今までが森での活動がメインだったからな。木が邪魔をしていようが関係ない。どんどんと奥の方に突き進んでいく。そして、新しい魔物が出てきた。


「……レッサーデーモンか。と言う事は、ここにはデーモン系の魔物が出てくるって事か?」


「飛んでいるのは厄介だな。だが、こいつの羽は素材になるのか?」


「翼膜は素材になるぞ。……空間属性では無いんだけどな。こいつの場合は死属性だ。空間属性ならもっと値段が跳ね上がるんだが、妖精系の魔物とは違って、デーモンは死属性だ。もしかしたら、弱い空間属性もあるのかもしれないが、引き出すには少しばかり面倒な事をしなければならないとは思う。まあ、本当に空間属性の力が籠っているのであれば、だけどな。無いと思って接した方がマシだ。死属性の素材でも、使い道は山の様にあるからな」


「そうか。……で? 進むのか?」


「勿論だ。レッサーデーモンには厄介な性質はない。多少強いくらいのものだ。魔石も大きくなる。その分は稼げると思ってくれればいいさ。……本格的に近くになって来たって事だろうな。このまま一気に踏破したいが、もう少し時間を掛けるか」


 レッサーデーモンは、死属性の大魔石が採取できる。それと、爪、眼球、翼膜が素材になるんだ。例によって、死属性の魔物は原則食べられない。……毒がある訳ではないんだけど、味覚が死ぬからな。それだけ不味い。毒ではないので、最悪はこれを食べることになるんだろうが、そんな事は死ぬくらい厳しい時じゃないとしたくない。それくらいには食べるのを忌避されている。まあ、食べられないと思っていた方が楽ではある。食べられるなら、何とかしてでも食べるんだろうけどな。まあ、難しいんだから、食べなくても良いんだ。不味いって解っていて食べる馬鹿は居ないと言う事だな。俺はそんな馬鹿な真似はしたくない。


 レッサーデーモンを倒しながら奥に進んでいくと、更に別の魔物が出てきた。デスボーンナイトだな。ボーンソルジャーの上位個体って感じか。だが、こいつが居ると言う事は、死属性の土地の価値が跳ね上がる。採取物は、死属性の大魔石に、骨、死属性の鉄の剣、そして、死者の魂魄だ。死属性の鉄の剣は、そのまま。鉄なんだけど、既に死属性が組み込まれている。それだけ価値が上がると言う事ではあるんだけど、問題はそっちじゃない。死者の魂魄が手に入る事。これが一番の収穫なんだ。これが無ければ、ホムンクルスが作れない。これが無ければ、ホムンクルスは時間経過で自壊する。ホムンクルスに必要な死属性の素材はこれなのだ。


 昔は、ホムンクルスは自壊する事が当たり前だったらしい。だから、使い捨てにするのが一般的だった。それを自壊しない様にするには、疑似的な魂が必要なんじゃないかという研究の結果、死者の魂魄が使われたという経緯がある。別に死んでいる人の魂が宿っている訳でもない。あくまでも素材なんだけどな。……昔は色々と試したらしいんだが、死者の魂魄を使ってから、ホムンクルスが自壊する事はなくなった。まあ、そんな経緯から、逆説的に、素材の名前が決まったみたいなんだけど。昔は別の名前で呼ばれていたらしい。まあ、ここでホムンクルスを量産できることは決まった。……するかどうかは別問題なんだけどな。軍としては、何が何でも死者の魂魄は欲しいだろう。ホムンクルスを使った死兵戦術が出来る様になるんだから。自壊するホムンクルスでは、学習に使うだけの時間が足りない。兵士として訓練するにしても、1年くらいは必要になってくる。自壊しないで居てくれるだけで、抑止力にも繋がるんだ。使わない手はない。


 それだけ価値ある素材があるんだから、何とかクレメンティア子爵家で管理できれば、話は変わってくるんだけどな。軍に寄与するとなったら、この土地を別の貴族家に渡して、徹底的に管理をするようになるかもしれない。……まあ、問題はサラマンドラが居ることなんだけどな。貴族女性としては、死者の魂魄よりも、サラマンドラを優先して欲しいと願うだろうし、その様に圧力を掛けてくるだろう。軍と女性貴族。どちらが強いのかと言われると、勢力的には圧倒的に女性貴族である。このままでは軍が介入する事は出来ない。ならば、クレメンティア子爵家に、働きかけるくらいしか出来ないはずなのだ。それほどまでに、女性貴族の勢力は強く、また、国が関わってくる事を差し止められるだけの権限を持つ。普通はあり得ないと思うだろう。まあ、それには全面的に同意をする訳なんだけどな。ここでクレメンティア子爵家が、必死になって死者の魂魄を集めることによって、軍を支援する事が出来れば、状況は一気に好転する。クレメンティア子爵家が存続するための条件が整うと言っていいんだよな。何としてでも、クレメンティア子爵家には残って貰わないといけない。せっかくここまで投資したんだから、なくなって貰っては困るんだ。変な貴族に来られても困る。だから、積極的にクレメンティア子爵家には亡者の鉱山都市ベルンケラーの開発を急いでもらわないといけないだろうな。


 俺たちは、そんな状況でも、前へと突き進む。得られるものは得ておきたい。亡者の鉱山都市ベルンケラーには到達しておきたい。たとえ、それが厳しい魔物が居たとしてもだ。どんどんと奥地へ。遺跡へと向かっていく。場所は木の上から確認が出来る。鉱山都市だからな。近くには山がある。そこを目指せば良いだけなんだ。そっちの方向へとどんどんと進んでいく。そして、次に出てきたのは、エビルデーモンだった。レッサーデーモンの進化個体だな。死属性の大魔石を始めとして、爪、眼球、心臓、翼膜が素材になる。エビルデーモンの強さは、サラマンドラやフェンリルと同等のレベル。この地が、今までの領域よりも強い場所だと言う事がよく解る。まだベルンケラーに到着していないのにも関わらず、それだけの魔物が出てきているんだ。攻略の難易度が全然違う。武器を錬金鉄で妥協せずに、ホーリーアイアンに仕上げてきて良かったと思う。それだけ素材は食ったが、それだけの価値がある。エビルデーモンにも苦戦していないのがその証拠だ。普通は苦戦して当然の魔物である。それが被害も無く、普通に倒せていると言う事で、この戦力がかなりのものだという証明に繋がる。Aランク冒険者で止まる事は間違いない。だが、Aランク冒険者でも中央値は越えたと思って良いだろう。平均値よりも大きく出ていると思って良いだろう。それだけの戦力が、ここには集まっている事になる。獣人の冒険者だけでだ。これが兵士団まで広がってくると、もっと凄い事になるんだろうとは思う。……そろそろレイトーン村に、兵士団の駐屯地を作る議論をしても良い頃合いだと思うんだよな。それくらいの事はしていいと思う。もっと魔物を狩って、強くなってもらわないといけないからな。


 兵士団が強くなって、楽勝でサラマンドラを倒せるようになったら、次は死属性の領域の手前に駐屯地を作る。そこで修行をして、最終的には亡者の鉱山都市ベルンケラーに駐屯地を作る。それで、鉱山開発が出来れば最高だな。どんな金属があるのかは知らないが、少なくともミスリルがあることは確定している。そうじゃないと鉱山都市なんて作らないからだな。もしかしたら、オリハルコンがあるかもしれない。下手をすれば、まだ未確認の金属もあるかもしれない。そんな感じである。


 未確認の金属が出てくれば、亡者の鉱山都市ベルンケラーの価値は無限に上がっていく。それだけの場所だと言う事だからな。鉱山は有限の資源だ。それをどうやって使うのかは、国が厳格に管理するだろうとは思うが、それだけの収入を得られることになる。そうなってくれば、獣人の奴隷を買い漁ってもお釣りがくる。……まあサラマンドラのせいで、十分にお釣りは来るんだが、全国的に集めても問題がなくなる。訓練を施し、植民地の開拓に向かわせれば、かなりの領地拡大が出来るようになる。気が付けば、獣人の貴族がかなりの幅を利かせることにもなるんだ。そんな事を許すのかと思うかもしれない。だが、じっくりと攻めれば良いんだ。ちょっとずつ増やしていけばいいんだ。少しの変化であれば、人間はそこまで気にしないものだからな。自分の代さえ良ければそれで良いという人間が大半だ。後世の事を考えて動くのであれば、既に植民地の開拓くらいは行っていてもおかしくないんだよ。それをしていないと言う事は、長期的な計画は、得意じゃないと言う事。そういうのは、寿命が長い種族の方が得意なんだ。獣人でも人間の5倍程度は生きる。300歳から500歳くらいまでは生きる。エルフはもっと生きるけどな。そういう長期的な見方が出来るのが、長寿種の長所だ。人間は代替わりが激しい。それも長所でもあるんだがな。暗黒期が短くなる傾向にある。長寿種で暗黒時代がやってくれば、数百年変わらないって事になりかねない。人間とは違って、その点がデメリットになり得る。どちらも善し悪しがあるんだ。それは仕方がない。


 奥へ奥へと向かっていく。まだまだ敵は強くなる一方だ。次に出てきたのが、デスカースカル。頭蓋骨のデカい魔物だ。頭蓋骨だけで空を飛んでいるとでも言えば良いのか。何とも奇妙な魔物である。生きているとは到底思えない。繁殖するとは思えない。だが、それでも魔物だ。これがどうやって繁殖するのかは知らないが、普通にあり得ないとは思う。繁殖する魔物もいれば、繁殖できない魔物も居るんじゃないか。そう思えてならないんだよな。ただの頭蓋骨が、どうやって繁殖するって言うんだよ。おかしいだろ。まあ、素材は美味しいから何とも言えないんだけどな。死属性の大魔石は良いとして、頭蓋骨、死者の魂魄、そして魍魎の炎が素材として手に入る。……魍魎の炎は、死属性の武器を作る際に、炉の中にぶち込めば、大幅に強化をしてくれる。聖属性特効の武器が出来上がるんだ。これを使って作った錬金鉄は、聖属性を相手にする場合、ホーリーアイアン以上の効果を叩きだしてくれる。これを使った専用の炉も作られているはずだ。青白く燃える炎が、炉でもの凄い死属性を引き出してくれる。……これを反転させると、大変な事になるんだけど、まあ、そんなものを扱える人なんてほんの一握りだからな。師匠は普通に扱っていたけど、俺は扱いきれなかった。聖属性の炎というよりは、疑似的な太陽になるんだよな。……そんなものをどう扱えと言うんだ。まあ、何故か知らないけど、その状態で保存瓶に保存できるんだから、謎なんだけどな。保存瓶って、どういうものなんだろうな? 素材の劣化を止めるのがメインの筈なんだけど。


 魔物としては、サラマンドラやフェンリルよりも強い。……死属性の領域で、ソウルカードを使えばいいんじゃないかって思っているかもしれないが、実は死属性の領域は、もの凄く臭い。今も臭いで困っている。というか、獣人の冒険者にとっては、かなりの臭いに感じているはずだ。エルフの嗅覚は人間よりも多少は優れているというレベルに過ぎない。じゃあ獣人は? とてもじゃないが厳しいはずだ。そんな獣人よりも嗅覚に優れたウルフ系統の魔物を召還しても、索敵はおろか、戦闘もまともに出来ない。こういう時に使いどころのはずなんだけどな。鼻が良すぎるために、逆に使えないという事態に陥っているんだ。

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