馬鹿な客と、運のいい客
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馬鹿な人間の冒険者を処分してからは、同じことは起きていない。単独犯と言う事で、処理しても良いとは思う。同じことが何度も起きたら問題なんだけどな。出来る限り、何とかしてやりたいとは思うけど、あれもこれもというのは不可能だ。絶対に何とか出来る物を作るのは不可能なんだよな。今の俺では。防犯グッズで精一杯である。他にも機能を付けた方が良いんじゃないかとは思うんだけど、どうすれば良いのかが解らないからなあ。これ以上、何を付け足せば良いのかが解らない。現状はこれで最良だとは思うんだけど、犯罪が起きてみるまでは解らないんだよな。
「うーん。これだと銅貨8枚だな。質が良くない。だから保存瓶に入れろとあれ程言っているだろう? 何故保存瓶に入れてこない?」
「とは言うが、嵩張るんだよ。荷物だってこれだけじゃないんだ。それを考えて買ってくれよ。もうちょっと値段は上がるだろ?」
「上がる訳がないだろ。そもそもこんな素材は買い取り拒否されて当然なんだ。それを買い取ってやるだけでも有難く思え。銅貨8枚が不服なら、そもそも保存瓶に入れれば良いだけの話だ。冒険者ギルドでも指導をしてもらっている筈だろう? 何故そんな簡単な事が出来ない?」
「だから嵩張るって言ってんだよ。素材が無きゃ、錬金術は出来ないんだろ? だったらもっと高く買ってくれても良いじゃないか」
「……じゃあ、具体的にはどの位で買えって言うんだ?」
「銅貨50枚で買ってくれよ。そのくらいには貴重なんだろ?」
「馬鹿な事を。これが保存瓶に入っていたとしても、銅貨20枚が関の山だ。それを銅貨50枚だ? そもそも銅貨20枚の価値しかないのに、どうしてそんなに支払わなければならないんだ。そもそもそこに値段を書いた素材入りの保存瓶を置いてあるんだから、自分で計算してみろ。そんな金額にはならんぞ」
「うるせえ! けちけちしないで高く買えって言っているんだ」
「馬鹿にも限度があるぞ? 銅貨8枚が不服なら、特別に銅貨5枚で買ってやる。それ以上は出せないぞ。それで良いだろ?」
「っち。しょうがねえな。今日はその辺で勘弁しておいてやるよ。次からはもっと高く買えよな。折角採取をしてやっているんだからよ」
だから、保存瓶に入れて持ってこいって言うんだ。そもそも金の価値を理解していない奴が、値段の交渉をするんじゃねえって言うんだよ。馬鹿しか居ないのかって思うよ?
「あの……。値段が下がったんですけど、良いんですか?」
「いいも何も、あっちが勝手に納得しただけだからな。馬鹿はそう言う事は理解しない。8と5がどちらが大きい数字なのかも解っていないんだ。50と5の違いも、解っていないんだろうな。そんな馬鹿だから、こんな馬鹿みたいな話に乗っかってくるんだ。この素材はこっちで良い感じに処理しておく。エレナちゃんはもう暫く店番をお願いね」
「解りました」
人間の冒険者って馬鹿だろう? こんな馬鹿の相手をしないといけないんだ。普通なら金額が下がって文句をいう所なのに、8と5の区別がつかないから、こう言う事になるんだ。教育って絶対に必要だとは思うぞ。知らないって損しているって思わないと。ここまで馬鹿な奴は少ないだろう、と思っているかもしれないが、人間の冒険者の8割以上がこんな感じである。今回は値段交渉をしてくるという馬鹿だったので、こうして遊んでやるくらいで丁度いいんだ。……まあ、そもそもではあるが、採取してきた殆どが素材ではないって時点でお察しである。ただの草を取って来ただけなんだよな。それを銅貨8枚で買うだけ、まだマシと思ってもらいたい所である。殆ど捨てないといけないものなんだよな。それを解っていないから困る。
自分が馬鹿だと理解していないと、こうなるんだよなって言う、典型例みたいな感じなんだよ。馬鹿も休み休み来てくれれば良いんだがなあ。毎日毎日、この時間帯に多く馬鹿が帰ってくるんだよ。稼げないから、ギリギリの時間まで粘るんだけど、宿代にもならない素材を持ってくるんだよな。責めて宿代くらいは稼いで見せろというね。普通に考えて、保存瓶をもって、ある程度の採取が出来れば、銀貨1枚なんて余裕なんだよ。というか、銀貨1枚なら、村の中でも稼げるんだけどな。今までの中で、子供が稼いだ金額ナンバーワンが、銀貨30枚である。それくらいは村の中で稼げてしまうんだ。それだけ闇属性が強い土地なんだよ。寧ろどうやったら銅貨で収まるんだって話である。最近は、村の子供たちも、要領を覚えてきて、普通に採取で銀貨数枚は稼いでいくからな。それ以下なんだ。人間の冒険者は。
「あのー。ちょっと来てもらっていいですか?」
「馬鹿の相手?」
「そうですね。……ちょっと予想以上ですけど」
「予想以上? 解った。今行く」
予想以上とは? まあ、ある程度は予想できるとは思うけどさ。それでも、以上なんだよな。何がどうなっているんだろうって興味がある。……で、行ってみたんだけど、予想以上だった。
「……これの何処が素材なんだ? ただのゴミを保存瓶に入れてきただけじゃないか」
「見て解らないのか? これだって立派な素材だぞ」
「……じゃあ、この素材が何て名前なのか言ってみろ」
「素材は素材じゃないか。錬金術師なのに、そんな事も解らないのか?」
「あのなあ。素材って名前の素材は無いんだ。全ての素材には名前が付いている。それはただの土だ。何の素材でもない。ただのゴミだ」
「そんな事はない! これだって立派な素材なんだ!」
「億歩譲って、その辺の草を入れてきて、素材だって言うならまだ解る。が、それは土だ。しかもよくある森の土だ。錬金術では、それはゴミだ。そんなものを素材と言うんだから、お前は冒険者じゃない。ただの詐欺師だ。いいか? 何度でも言ってやる。それはゴミだ。そんなもの、捨ててしまえば良いんだよ。……まあ、捨てるなら畑に捨ててやってくれ。その方がまだ有効活用できるから」
ここまで酷いのは初めてである。最近は多いんだよなあ。人間の冒険者の買い取りが。今までは殆どなかったんだけどな。最近になって増え始めている。……まあ、査定不可なものが大半を占めるんだけどな。今回のは、流石にどうかとは思う。その辺の草を素材と言い張るならまだしも、ただの土を入れてきて素材だと強弁するのはあり得ないだろう。……まさかだが、この馬鹿な発言が、他の錬金術師の店では通用していたのか? その可能性はあるよな。素人が買い取りをするんだ。こうやって強弁をされれば、何かの素材かと思って買ってしまうのか? あり得ないことが起きていたんじゃないだろうか。馬鹿にする方もそうだが、馬鹿にされる方もそうだぞ。詐欺師と詐欺師が戦い合っていたんじゃないのか? まあ、そんな事は知った事ではないが。
「あの、やっぱり素材じゃないですよね? 土の素材なんて知りませんし……」
「いや、土の素材はあるよ。この森には無いけどね。見て解るから。白い粘土だったり、赤い砂だったりするんだけど、そういうのは見て解る。そもそもエルフなんだから、魔力の流れが解るんだ。素材かどうかなんて、見れば解るんだよ」
「土にも素材ってあるんですね。知りませんでした」
「まあ、あるにはあるんだよ。……まさか、ここまで馬鹿な方法で、お金を稼ぎに来たのは初めてだな。何をどう考えたらそうなるんだよって話ではある。何というか、冒険者って言うよりは、詐欺師だな。今後もそういった馬鹿が増えるんだろうけど、仕方がないからね。馬鹿の相手もしないといけないし。大変だとは思うけど、そういう時は呼んでくれれば良いからね?」
「はい。ありがとうございます」
素材でも無い土に値段を付けろと言われるとは思わなかったな。保存瓶に入っていれば、何でも素材になると思ったら大間違いだ。保存瓶に入れても素材でなければ意味がない。保存瓶と言う事は知っているらしいが、それ以上にやば過ぎだろ。こっちを馬鹿にしているのかと言いたくなる。そもそも素材の名前を知らない時点で馬鹿である。素材としか認識していないのか、覚える気もそもそも無いのか、どっちかだからな。村の子供たちの方が採取が出来るぞ。冒険者って、馬鹿しかいないのか? 段々とそう思えてきた。あ、獣人の冒険者たちは、基本的にはしっかりと採取をしてくれているぞ。偶に間違えていることもあるが、滅多にない。彼らは匂いで識別しているからな。余程の事がないと間違えないんだ。まあ、匂いで解るのは獣人くらいしか居ないとは思うけど。流石に俺でも匂いでは解らないからな。エルフは魔力の流れで素材を見極める。人間は、知恵と知識で素材を見分ける。見分けられない奴らが、ああやって無様を晒すんだけど。
もうちょっと何かしら無いのかって言いたくはなる。人間の冒険者は本当に質が悪い。もうちょっと質を上げてくれないと困る。冒険者ギルドも、こんな事をしている冒険者が居るって、知らないんじゃないか? いくらなんでも馬鹿が過ぎるからな。普通にやっていれば、ある程度の金額になるっていうのにな。それも無視して素材じゃないものを持ち込むとか、正気じゃない。おかしいとしか思えない。
「あのー。見た事も無いものが持ち込まれたんですけど……」
「またか?」
「いえ、今度は獣人の冒険者さんでして」
「獣人の? 珍しいな。エレナちゃんが獣人の冒険者で俺を呼ぶのは」
何かあったんだろうか? 人間の冒険者と違って、獣人の冒険者が変なものを持ち込むことはそうそう無いんだが。何かあったのだろうか。
「いらっしゃい。それで、物は?」
「ああ、この石なんだが、いつもの素材の匂いがする。だが、石なんだ。いつもの素材よりもかなり強い匂いがするが、石にしか見えない。これはなんだ?」
「おお!? これは闇の真核じゃないか。外に落ちていたのか? ……ああ、そう言えばスタンピードが起きたからな。その時に出来たのかもしれない。それが見つからずに落ちていたんだろうか」
「闇の真核とは、なんだ?」
「基本的には錬金術で作るものなんだが、極稀に自然に作られることがある。これは闇属性の結晶なんだ。真っ黒な石にしか見えないが、これは立派な素材だ。……まあ、ここの場所はスタンピードが起きたからな。見つけたのは北の森だな?」
「ああ、そうだ。帰りに見つけた。いつもの匂いがするからな。何か良いものかもしれないと言う事で拾っておいたんだ」
「拾って正解だな。まあ、偶に落ちていることがあるとは思う。ここは闇属性が強いからな。それに、スタンピードが起きてから間もない。珍しい事ではあるが、ない訳ではない。……だが、これを探すのは難しい。基本的には石にしか見えないからだ。だから、これを狙って採取するのは止めておけ。こういう風に、偶然拾う事がある程度だ。金額としては金貨30枚だな。金額は高いが、それだけ良いものだって事だから。まあ、狙って採取する事は不可能に近いから、偶然見つかることを願う程度だな」
「そんなにも高いのか。この石が?」
「まあな。安く作ろうと思えば出来るんだが、自然に落ちているものとなると、そのくらいの金額はする。これがあれば、ダークギガポーションが作れる。ダークギガポーションは金貨40枚だ。殆どがこの闇の真核の値段だな。それくらいには珍しいものではあるんだ。まあ、闇の真核を使わないでも作る方法があるんだけど、そっちはそっちで値段が張るからな。闇の真核を作った方が楽だったりもする。そういうものではあるんだよ」
ダークギガポーションの次は、ダークフルポーションだ。それにも闇の真核は必要。だから値段が高いんだ。スタンピードが起きたから、思っても見ないものが落ちている可能性はあるんだよな。ある程度は採取したつもりだったけど、闇の真核は拾わなかったな。もしかしたら、まだ落ちているかもしれない。けど、そもそもそういうものと認識していなければ、拾わないだろうし、黒い石と間違えて拾いましたって事もあり得るからな。まあ、今回の獣人の冒険者たちは運が良かっただけだ。狙って拾えるものでもないしな。
「ありがとうございました」
「エレナちゃんもお疲れ。こう言う事も偶にはあるとは思う。けど、見た事無いものの殆どが何でもないものだからね。今回のは特別だ。俺もまさか闇の真核が落ちているなんて思わなかったし」
「こう言う事もあるんですね。ただの石かと思いました」
「まあ、普通はただの石にしか見えない。闇の真核なんてそんなに拾えるものでもないしね。その属性がもの凄く強くなった時にしか落ちないものなんだ。しかも落ちるかどうかも解らない偶然のものだからね。まあ、1年に1個見つかれば多い方なんじゃないかな。……人間の冒険者が真似をしないと良いけどな」
「……見られてませんでしたし、話を広める様な感じでも無いとは思います。多分ですけど、大丈夫じゃないですかね?」
「まあ、言いふらしたりはしないだろうな。……獣人仲間には教えるかもしれないが」
まあ、その時はその時である。でも、北の森に行けるのであれば、他の魔物の方が稼げるからな。わざわざ探したりはしないだろう。グレイズベアを綺麗に6体狩った方が楽だからな。グレイズベアは、丸々1体分で、金貨5枚って所だから。狂乱状態になっているなら、これが100倍以上に跳ね上がるんだけど、そこまで手間をかけるのかっていう、のが現状だな。狂乱状態にするには、ある程度の薬の知識も必要になってくるし、無茶苦茶強くないと、無理やり狂乱状態にするのは難しい。徹底的に拘束して、薬を使って、1時間くらい放置すれば、狂乱状態の眼球が手に入るんだけど、そこまでするのかって感じだし。
勿論だけど、それを専門にする冒険者は居る。狂乱状態の眼球でないと作れないものも存在するからな。そういうものを作るためには、絶対に必要になってくる。そういうものを専門に請け負う冒険者だって居るんだ。……まあ、そういう冒険者は、もっと別の狩りやすい魔物を普段は狩っているんだけどな。ここで言うと、サラマンドラとか。あれは普通に狩っても、白金貨からだしね。そっちの方がお得ではある。まあ、依頼を受けて、狂乱状態の眼球を手に入れれば、依頼料も込みで、白金貨100枚からのお値段になるんだけどさ。依頼が無ければ、もうちょっと安いので、割に合わないとは思う。サラマンドラを倒せるだけの冒険者なら、そっちを狙った方が得だからね。
その後も、色んな客が来たけど、概ね問題は無かった。特別に酷い奴らは少ないな。まだまだこれからだけど。もっと変なのが来るかもしれない。用心しておくに越したことはないけど、変なの来るなと思っていても来るからな。どうしようもないとは思う。冒険者ギルドでもっと躾けて貰えないものなのか。冒険者って馬鹿ばかりだと思われるぞ。実際の所はどうなのかの判断はしようがないんだけど。獣人の冒険者たちはまともだな。文字も数字も読めるんだし。人間の冒険者だよな。質が悪いのは。どうにかこうにか出来ないものなのかね?




