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反転の錬金術師  作者: ルケア


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暗い夜道で

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

「ありがとうございました」


 とりあえず、これでピークの客層は帰ったかな。後はこっちで捌くだけだから簡単だろう。今日もいい時間だしな。エレナちゃんには帰って貰うか。


「よし、今日はこれで終わりにしておこうか。エレナちゃんは帰って良いからね」


「はい。お疲れさまでした」


「わたしも料理作る」


「おう、店番はこっちでやっておくからな。まあ、大して人が来ることもないし、大丈夫だとは思うが」


 店番を交代して、エレナちゃんを見送る。店番はやって貰えるに限るよな。錬金術が出来なくなるし。店番を一番初めに雇ったのは、グッジョブと言わざるを得ない。素材もそうだし、時間もそうなんだけど、無いと何も出来ないからさ。店番をしてもらうだけでも、かなり有難い。今後もエレナちゃんとレジエナには負担を強いるけど、仕方がないよな。


「レジエナ。今日は何を作るんだ?」


「んー。パンとスープ。宿でパンは買ってある」


「そうか。肉を入れてくれると嬉しいな」


「解った」


 そんな感じで、レジエナにリクエストをしつつ、店番をと思っていたんだけど……。


「きゃー!?」


「エレナちゃんか!? 防犯グッズで対応できるんだろうな!? レジエナ、ちょっと出てくる!」


 声が大きく聞こえた。と言う事は、近くに居ると言う事でもある。何かあったのか、聞きに行かなければ。誘拐されているなら、何とかして取り戻さないと。


「エレナちゃん! 大丈夫……か?」


「はい。大丈夫なんですけど……」


 エレナちゃんは無事だ。無事なんだけど、無事じゃない死体が1つ転がっていた。……防犯グッズは、被害者と加害者を反転させるものだった。と言う事は、加害者は、エレナちゃんを殺す気で居たと言う事である。そうじゃないと死なないからな。死んだ理由は、転がっている剣を見れば明らかだな。剣で斬りかかったか。それを反転してしまったため、加害者が被害者に。結果、致命傷を与えたという判定が出てしまった訳だ。暴行くらいなら死なないからな。


「どうした!? 何があった!?」


「なんだなんだ!? 人が倒れてるぞ!?」


 民家からも人が集まってきた。人が1人殺されている状況だ。何というか、普通に見たら、こっちが加害者である。まあ、エレナちゃんは被害者な訳なんだけどな。


「状況を説明します。この人間の冒険者が、エレナちゃんに斬ってかかった感じですね。持たせていた魔道具が防衛してくれたので、エレナちゃんは無事ですけど、その反撃で人間の冒険者が死んだようですね。見た感じですが、剣で斬りかかってきたんでしょう。それに魔道具が反応したんじゃないかと思うんですよ」


「なんだと!? 人間の冒険者が?」


「襲われたのか。大丈夫だったか?」


「はい。あたしは大丈夫です」


「とりあえず、死体の処理ですね。冒険者ギルドには村長から苦情を入れて貰います。冒険者ギルドの所属なら、ギルド証があるはずですし……。これですね。こいつが住民を殺そうとしたので、生きていない方が良いとは思います。……死体の処理はどうしますか?」


「死体の処理か……。村人が死んだら、火葬して共同墓地に埋めるが……」


「冒険者というか、犯罪者だよな。そんな奴を共同墓地に入れるのか?」


「俺は嫌だぞ。俺の家族の所に犯罪者を入れるのは」


「……錬金術師殿、何かいい方法は無いか?」


「俺が決めても良いのか? ……決めても良いのであれば、森に捨てるのが一番じゃないか? 森にはスライムが居るし、ゴブリンも居る。そういう奴らが食べるとは思うが。犯罪者だから、そういう風に食べられても、心は痛まないし」


「ああ、そういう方法があるのか。……任せてしまってもいいか? 村長への報告も」


「まあ、一番状況が解っているのが俺ですからね。村長にも説明をしておきます」


 死者は出たが、加害者が死んだだけなので、別にどうでもいいというか、寧ろ犯罪者が死んでよかったみたいな空気になっている。短絡的な行動に出たのは、何でなんだろうか。恨みがあったとかでも、普通は殺そうとは思わないはずなんだけどな。……こいつに見覚えがある訳でもないし。この間、素材を盗もうとした奴とは別だ。何か恨みを買う様な事があったのか?


「エレナちゃん。怖い思いをしたのは解っているんだけど、この顔に見覚えはあるか?」


「えっと、あります。いつもポーションが高いって文句を言っている人です。いつもダークポーションと俊敏ポーションと暗視ポーションのセットを、銅貨12枚で買っている人ですね。これ以上は安くなりませんって、毎回言っているのに、安く売れって言ってくるんですよ」


「……限界まで安く売っているんだけどな。そもそも銅貨12枚の価値も解っていないんじゃないだろうか。正確に判断が出来れば、銅貨12枚なんて、討伐部位を1つでも確保していたら黒字になるはずなんだが」


 普通は、どんなに弱くても、討伐で出る報奨金は銅貨50枚である。それに魔石を足せば、まあまあの収入になるはずなんだ。……まあ、ここ最近は、入り口付近で戦う冒険者が増えてきたから、ゴブリンやコボルトを狩れない冒険者も出てきているんだろうけど。宿屋が結構いっぱいになってきているって知っているからな。稼ぐのは難しいだろうとは思う。宿屋も慈善事業って訳ではないからな。泊まるには、1泊と2回の食事込みで銀貨1枚は越える筈だ。そのくらいの値段設定になっているはず。採取もしていたら、余裕で賄えるだけの金額の筈なんだけどな。人間の冒険者は採取をしない人が多い。しても、保存瓶に入れてこないことが多くある。保存瓶に入れろとは言っているんだが、荷物が嵩張るからって理由で持っていかないんだよ。だから、素材は買い叩くしかないんだけど、それはエレナちゃんじゃなくて、俺がやるからな。俺に恨みを溜めているなら解るんだけど……。


「でも、この人、採取をしているかって言われても、していないとしか答えられないですよ? そもそも未だに人間の冒険者の8割くらいは採取をしませんし。保存瓶で出てきたことなんて数えるくらいしか無いですよ? しかも、仕分けもしていないので、こっちで仕分けをしないといけないですし、手間が増えて迷惑しかしていないんですよね。でも、適正価格で買うじゃないですか。それなのに、安いって文句を言いますし……」


「安いも何も、通貨の価値が解っていないんだからな。そもそもの話」


 碌に教育を受けていないはずなので、素材の価値も解っていないはずなんだが、それ以上に通貨の価値も解っていない。銅貨50枚がどの程度のものなのかも解っていない。銅貨100枚で銀貨1枚になることも解っていないんだ。だから、渡されたお金の数が少ないと、安いとしか認識しないんだよな。……まあ、そもそも素材の詰め合わせ状態にされていたら、2割引きで買ってくれとは言ってあるので、安い事には変わりがないんだけど。そうしないと、こっちで仕分けをしないといけないんだから、手間でしかないんだ。獣人の冒険者は、素材を間違えて入れることは少ないので、助かっているんだけどな。……まあ、そもそもこいつ自体は、採取もしていなかったらしいが。


「さて、とりあえず、送っていくよ。何かあっても困るからね。その後に、村長の所に行って、今回の事を報告しておかないといけないかな」


「すみません。私のせいで」


「いやいや、エレナちゃんのせいではないさ。悪いのは、この人間の冒険者なんだから。でも、しっかりと防犯グッズは動いてくれたわけだし、今後も1人で帰って貰う事になるとは思うけど、気を付けてね?」


「はい。出来るだけ気を付けます。今度は自分でやっつけられるように頑張ります」


「……それはそれでどうなんだろう。まあ、頑張ってくれ。努力は無駄にはならないからさ」


 そんな訳で、エレナちゃんを送り届けて、村長の家に。村長はまだ起きていた。……良かった。もう寝ているとか言われたら、面倒だなって思っていたんだけど。まあ、簡単にだけど、今回の顛末を話しておいた。


「……村人が襲われるなぞ、あってはならんことだ。冒険者だからと、なんでも好き勝手にしても良い訳ではない。それに、村人を害するのは犯罪行為だ。今回は何事も無く終えられたから良いものを。下手をすれば、村人が死んでいたんだ。抗議の10や20はさせてもらう。このギルド証が犯人のものなんだな?」


「そう言う事ですね。名前は書いてありますけど、それ以上の事は解りません。冒険者ギルドで、どういう処分にするのかは、解らないですね。既に死んでいるので。まあ、他の冒険者に周知徹底くらいはしてくれるとは思いますけど、あまり期待は出来ないですね。……ボッテンハイム子爵家が統治していたら、間違いなく握り潰されていましたけど、今はクレメンティア子爵家に変わりましたからね。もしかしたら、厳重注意と、何かしらの罰則があるかもしれないですが。こちらに保障は何も無いでしょうね。そもそもこちらの住民は死んでいない訳ですから」


「死んでから動くのでは遅いのだ。……クレメンティア子爵家が動き出すにしても、まだまだ先の話だろうからな。新しくできた貴族家だ。まだ準備や何かで動けんだろう。冒険者ギルドには、きつく抗議をしておく。死んでいては遅いからな。全く、冒険者の質も下がってきている。そんな事では駄目だと言う事を、知らないといけないはずなのだがな」


 全くだな。冒険者の質は、上げていかないといけないだろうとは思う。まあ、こういうのは、上げていく気が無ければ、上がらないんだけどな。一定数、馬鹿は必ず出てくるんだ。それを矯正し、更生させるのが冒険者ギルドの仕事なんだから。適当に冒険者を増やせば良いというものではない。馬鹿な事をやらかさない様に、ちゃんと面倒を見てやらないといけないだろう。冒険者ギルドが何処まで面倒を見ていられるのかは、疑問ではあるけどな。何をどうしても、馬鹿は一定数出てきてしまうものだから。


「とにかく、書面での抗議になる。何処まで聞き入れるのかは知らんが、由々しき事態だと思ってもらわなければ困るのだ。冒険者が増えているのは知っている。宿屋も新たに作ったのだからな。冒険者は増えていく傾向にあるんだろう。だが、増えてもいいが、問題を持ち込まれるのはどうにもならん。問題を起こすような奴を、冒険者にするなとは言わん。冒険者という生きる道が無くなれば、盗賊になり下がるかもしれん。こんな辺境に盗賊が来ることは少ないが、ない訳ではないんだ。現に、テッケルンの南では、盗賊が何組か居るという話を聞いている。この夏に新しく盗賊団も出てきたらしい。そういうのの処理は、今後はクレメンティア子爵家に頼ることになるんだ。動いてくれるとは思うが、こちらでも防衛しなければならない状況になるやもしれん」


「テッケルンの南で盗賊が? そういった情報は知りませんでした。……商人からですか?」


「そうだ。商人も多少の護衛を引き連れて行動しているからな。その情報をこっちにも寄こせと言ってある。その代わり宿代は免除してやっているんだ。ある程度の情報は置いて行ってもらわんと困る。村が危険に晒される情報もあるんだ。そういうのは気を付けておかないといけない。錬金術師も狙われん様にしておくことじゃな。盗賊団は見境が無いという。今はこちらには来ておらんらしいが、気を付けた方がいいぞ」


「気を付けておきます。冒険者に依頼という形で、滅ぼしてもらった方が良い時は、そうしてください。冒険者で無理なら、俺が行きますので。盗賊団相手には、遅れを取りませんから」


「そうなのか? まあ、余程の事があれば頼もうかの。今日はこんな所でお開きじゃな。今から抗議文を認める。厳重な処罰と言う事は、もう望めん。既に故人だからな」


「ああ、それで死体なんですけど、森に捨てても良いですか? 村の人からは、火葬して共同墓地に入れるのは反対だと言われているんですよ」


「ああ、好きに処分してくれ。流石に共同墓地に入れるのは、反対だからな」


 そう言う事なら、処分させてもらおうかな。……人体は、錬金術の素材にならないからな。なるのであれば、貰っておくことも考えたんだけど、人体では、錬金術は出来ない。……まあ、あることをすれば、素材になるらしいが、それでも、他人の体は必要ない。必要なのは自分の体だ。体の一部を強化するのに使う。錬金術師が、力を求めて禁忌に手を染めるというのは、ない訳ではないらしい。それは秘術よりも禁忌として扱われる。俺もやり方は知らない。けど、師匠が覚えておいた方が良いって事で、そういう事例があるって事は聞いている。一種の呪いらしいが。


 呪術師は存在している。そういった人には、人体は有益なのかもしれないけど、俺には必要ないので、今からでも森のある程度の場所に置いて来よう。死体をマジックバッグの中に仕舞っておくなんて、趣味が悪いからな。出来れば、そう言った事はしたくない。今回みたいな状況なら仕方がないけど。


 しかし、冒険者の質が下がるのが早いんじゃないか? 下がってくるなら、次の春くらいだと思っていたんだけどな。既にサラマンドラの噂は流れている。それで質の悪いのが入ってくるのは仕方がないんだけど、こう言う事が何度も起きたら面倒なんだよな。村人が武器を携帯しないといけない事態になったら、非常に不味いと思う訳で。それくらいに村人との開きが出来てしまうと、色々と問題が大きくなると思うんだよな。今は大した問題にはなっていないけど、今後はどうなるのかは解らないし、冒険者の質が落ちすぎるのも問題だなと言う事を、改めて思い直した。質の低下は仕方がない事ではある。それは解っているんだけどな。まさか、こちらを殺そうとしてくる馬鹿がこんなにも早くに出てくるとは。予想を遥かに超えてきているんだよな。春にはどうなっているんだろうか。稼げない冒険者が沢山来ても、困るだけなんだよな。


 最終的には、宿屋の値段が上がるとは思う。宿で泊まれない冒険者が増えていくだろうから。そうなってきたら、稼げない冒険者は、どんどんと帰って貰う方が良い。稼げる冒険者だけ、残ってくれれば良いんだ。今は銀貨1枚くらいでどうにかなっているだろうが、それが2枚、3枚と値上げをしていかないといけないとは思う。そうする事で、来る冒険者を少なくしていかないと。稼げない冒険者がいくら来ようが、こっちとしては関係ないからな。稼げる冒険者の邪魔をするんじゃねえって言いたい。


 まあ、気を付けておかないといけないな。出来る限り気を付けないと。出来る限りでしか出来ないけどな。別に村に盗賊団が攻め込んでくる訳でもないんだし。盗賊団を倒すのは、兵士の仕事なんだけどな。その為に兵士を巡回させるんだから。兵力はどの位になっているのかは解らないが、巡回の兵士を増やすなりして、盗賊団を潰してもらわないと困る。それが出来ないと、冒険者がどんどんと盗賊になられても困るんだよ。そういう可能性は、十分にあるとは思うぞ。

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