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反転の錬金術師  作者: ルケア


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異常な冬

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 冬は本当に寒い。この雪が降り積もる中、キャンプをやらされている兵士には頭が下がる思いだ。まあ、冒険者は歓迎していないが。狩場がもろ被りだからな。獣人の兵士たちも、漸く森の中の戦闘に慣れてきたのか、荷物にはグラングレイズベアが含まれている様になっているらしい。まあ、多くはジャックフロストなんだけどな。とにかくジャックフロストの数が半端じゃない。半端じゃないのにも関わらず、マジックバッグにしても売れていく不思議。作ったら作っただけ売れるんだ。兵士たちはどんな風に言われてきているんだろうか。マジックバッグの在庫が出来た瞬間からなくなるんだけど。雑貨屋さんが、マジックバッグ用の鞄を、大量に入荷してくれているんだけど、それでもなくなるからな。作ったその日にはなくなる。合計で300は買っていったんじゃないかな。資金は尽きないだろうけど、500で限度だとは思うんだが。まあ、エレミーさん曰く、俺のマジックバッグは白金貨130枚では安いらしいが。もっと支払おうか? って後で言われているけど、却下した。そんなに金を持っても仕方がないんだよな。使い道が無いから。もうね、幾らあるかも解らないくらいには白金貨があるんだよ。そんな状態だからさ。お金に関しては困っていないので、安いと解っていても、その値段で売っている。


 師匠ならどうするんだろうか。平民にはそれで売るが、貴族には吹っ掛ける気がするな。それでも買うからな。特に軍は。軍でマジックバッグは絶対に必要だ。兵站の維持に関わってくる。マジックバッグがあるのとないのとでは、輸送力に違いが出過ぎる。俺のマジックバッグですら1000倍は輸送できるって言うのに、師匠が作ったものに関しては、もっと酷い事になるぞ。秘術は教えてもらえたが、使いこなせるのかどうかはまた別の問題だ。これでも使いこなしている方だとは思うが、それでも師匠の熟練具合に比べたら、容量が10倍は変わる。それがもろに兵站に関わってくるんだから、マジックバッグは無くてはならない。だから高値でも売れる。軍部にどれだけ吹っ掛けたんだろうか。まあ、俺には関係のない事である。恨まれるのも師匠だからな。俺には関係ない。


 それはそうとして、寒いのはどうにもならないんだよ。家は温かいんだよ? エアコンがあるんだから。それがあるんだから、暑くもないし寒くもない。それは良いんだが、外が寒い。まあ、冬なんだから当たり前ではあるんだけど、外が寒いのはどうしようもないよな。冬だから。これで説明がついてしまう。……けど、寒すぎると思うんだ。今年の冬は、去年の冬に比べても、厳し過ぎると思うんだよ。何でこんなに寒いんだろうか。外で作業している人たちは大丈夫なのかね?


「なあ、寒すぎると思わないか? 主に外が。室内は俺のお陰で温かいんだけどさ。こう、去年よりも冬が激しくないか? 去年はもう少し雪が少なかったと思うんだよ。店の扉を開けても、雪がこぼれて入ってくるくらいには多いぞ? その所、どう思う?」


「あーしは去年しか知らないんだけど。けど、去年よりも雪が多いのは確定っしょ。寒いのも寒いとは思うけど、サラマンドラの外套があるから、外出するのもあんまり苦じゃないんだよねえ。こういうのはエレナの方が詳しいっしょ。ずっと村に住んでいるんだしさ」


「そうですね……。畑が雪で覆われて、今年は大変だって言ってました。いつも以上に冬野菜を育てるのが大変だって言ってましたね。けど、こう言う事って普通なんじゃないんですか? 去年よりも多い少ないは普通にあるものだと思っていたんですけど」


「にしては、倍以上降っているように感じるからね。……これは何かあるんじゃないかって思っているんだよ。今年はジャックフロストも豊作だからさ。兵士たちが来たお陰で、供給量が増えているんだろうとは思うんだけど、それにしても、去年の10倍以上納品されているからね。単純にジャックフロストの数が多いんじゃないかって思うんだけど」


「ジャックフロストの数が多い事は良い事っしょ? その方が素材は取れるんだしさあ。それとも何かあるっての? 別に何も無いんじゃない? 何かあるって言っても、何があるっていうのさ? そもそも魔物が出てくる出てこないの話っしょ? それで何か解る事なんてあるものなの?」


「別に普通だとは思いますけど……。父と母にも聞いてきましょうか? こんなに降ったことがあるのかって。多分あると思いますよ? あたしは経験が無いですけど」


「うーん。気のせいなのかな。雪が良く降るって言うと、水属性が活性化している時だと思うんだよね。しかも、おあつらえ向きの狩場が近くにあるからさ。それが影響しているんじゃないかって思っているんだけど……」


 不自然って程では無いんだけど、水属性が活性化しているんじゃないかってのはあるんだよ。前みたいに、魔物の大暴走が起きる前兆って訳でもないんだけど。その前兆なら、冒険者から異常な報告が上がってきていないとおかしいんだ。例えば、沼地にボールデンウルフが大群でやってきたとか。そういう異常が無ければおかしい。だから、魔物の大暴走って訳ではないとは思うんだよな。単純に水属性の魔力が活性化しているんじゃないかって、そう思うだけで。


 ……いや、普通にあり得るんじゃないか? 例えば、冬の間だけ、水属性の魔力が活性化して、魔物の分布が変わるなんてことはあり得る。それが、狼系の上位種だった場合、余計にあり得る。狼系の魔物は群れを作るからな。フェンリルの上位種、精霊と狼系の最上位がフェンリルって訳でもないはずなんだよ。俺が知っているのは、フェンリルまでなんだけど。それ以上ってなると、何がいるんだろうか。


「何か新しい魔物が出てきているかもしれないんだよ。冬の間だけ。だからこんなに雪が降っているんじゃないかって思うんだ。もしも、レアな魔物が出てきているなら、狩っておきたい所なんだけどな。確証が無いのが何とも……」


「それならあれっしょ。魔電話って言ったっけ? それでお師匠に連絡を取れば一発っしょ。お師匠の方が経験は豊富って話だし。そういう現象についても詳しく知ってるっしょ」


「それだ! その手があったか。師匠に聞いてくる」


 善は急げだ。師匠なら何かしら知っていてもおかしくない。こういう現象について、詳しく知っているかもしれない。確証がないから動けないじゃない。確定させなくても動いていい。問題は、確定させないと、俺が負けかねないって事くらいだ。一応、サラマンドラの装備一式は作ってあるが、それで足りるのかどうかだ。俺が出て行って、負けましたでは話にならん。逃げ帰ってくるのならまだいい。逃げ帰れない状況に追い込まれたら、どうにもならない。まあ、狼系のソウルカードも得られるのであれば、得ておきたいって欲もあるんだけどな。フェンリルの上位互換になるんだから、それはそれは強いんだろう。俺が負けかねないかどうかが心配なんだ。……冒険者であれば、突っ込むのかもしれないけど、俺は錬金術師だしな。錬金術師が出張っていかないといけないって事にならない方が良いんだよ。基本的には後方支援職である。


「なんだ? 珍しくもない魔電話だが」


「師匠、研究の方に関してはどうなっているんですか? 何か解りましたか?」


「一応、解ったことはある。どう足掻いても、属性の付いていない魔力の素材では、ポーションの類は作れなかった。だが、反転させた、謎の属性の方では、ポーションの類は作れる。そのくらいはお前も確認しているだろう?」


「そうですね。同じような事はしています。結果は全く同じですけど」


「だろうな。それと、この属性に関してだが、人も持ち合わせていることが確定した。具体的に言えば、ユニークスキルを使う時の属性がこれだ。恐らくだが、自然界には無いものだ。自然には発生しえない属性であることが判明している。定義上、謎の属性と言うのもあれだから、私は神属性と考えることにした。神が与えたユニークスキルを使う時に、体内で神属性の魔力に変換して、行使しているらしいことが解っている。そこは自分でも確認した。よって、仮定神属性の魔力を操ることが出来れば、理論上、どのようなユニークスキルでも使う事が出来ると判断している」


「どのようなユニークスキルでも使える、ですか?」


「ああ、体内でどのように変換されているのかは、まだまだ調べる余地はあるが、誰でもユニークスキルが使える様な時代が来るんだろう。それは確定している。私の方でもその辺の事は、研究しておくが、お前の方でも色々と研究してみてくれ。何が解るような事があれば教えて欲しい。そうだな、反転のユニークスキルを魔道具なんかに付与出来るのか、試してくれ」


「そういうのは師匠、自分のユニークスキルでやれば……あ」


「あ? なんだ?」


「いや、既にやってました。攻撃されたら、オートで反撃するタイプの魔道具です。そう言えば、それの魔力は確認したことが無かったですね」


「直ぐに確認しろ。それと、1つこっちにも送ってくれ」


「解りました」


 そうして、反転のユニークスキルを付与した魔道具を確認する。……確かに、謎の属性だ。何で気が付かなかったんだろうか。いや、そういう目で見ていなかったからか。作ったものの魔力を確認するなんて、余りやらないからな。効果なんかは調べるが、魔力そのものを確認する習慣なんて無い。そんな必要はこれっぽっちも無いからだ。だが、ここで見落としていたというのは事実。……師匠のユニークスキルってなんなんだろうな。付与に向かないユニークスキルだって事は解ったけど。


「師匠送りましたよ。後、確認したら、神属性でした」


「……ふむ。これは攻撃を単純に返す反転だな。起動は……神属性でなくとも起動するのか。……うーむ。そうなるとだな。反転の付与が出来ることは解った。これを素材を反転させている力を込めた魔道具を作れないか、研究してみてくれ。もしそれが出来れば、こっちでも素材を集めることが出来るからな。急がないから、研究してみてくれるとこちらも助かる」


「解りました。研究していることは、無い事は無いんですけど、急がないので、そっちを優先します。それが出来れば、俺が反転を使う理由が薄れますもんね?」


「いや、流石にそれはない。あくまでも限定的な反転を付与するだけだからな。お前の需要がもっと高まることは確定しているが。まあ、それもユニークスキルの秘密を解き明かせたら、お前の需要は減るだろう。反転の魔法を作ることが出来れば、誰でも反転が使える様になるんだからな」


「あーそうなりますか。では是非とも研究して、結果を出してもらえると助かります」


「ああ、任せておけ」


「あと、それとなんですけど、王都の方は、今年の冬はどうですか?」


「今年の冬か? 今年の冬は少しばかり水属性の魔力が活性化していて、王都でも雪が積もるくらいにはなっている。水属性の魔力が活性化するのは36年ぶりだからな。不定期ではあるが、無い訳ではない。珍しい現象ではあるが、過去には2年連続で引いた事もある。まあ、あるにはあるが、それがどうかしたのか?」


「いえ、こっちにはフェンリルが出てくる山地があるんですよ。なので、こういう時だから出てくる珍しい魔物も居るんじゃないかって思ったんですけど、どうなんですか? その辺の知識が足りていないので、教えて欲しいなと思って魔電話で話をしたんですよ。……ちょっとした世間話の方で進展があるとは思いませんでしたけど」


「お前は前からそうだな。本題がある時は、何かしらの話題を挟むという癖がある。そこは直した方がいいぞ。今回みたいに、本題をそっちのけで、話が進んでしまう恐れがある。本題を忘れてしまっては本末転倒だ。まずは最初に聞きたいことを聞いてから、雑談をした方が有意義だ。その辺りを自覚した方が良いだろうな。それで、フェンリルの上位種だな。ツンドラフェンリルという上位種が確認されている。フェンリルの3倍はデカい。その山地が狼系統が出てくるのであれば、出ている可能性があるのは、ツンドラフェンリルだ。まあ、別の魔物の可能性もあるんだが、それ以外は狼系統で統一されているか?」


「統一はされていないですね。山地に入るまでに、沼地があるんですけど、そこにはダストフロッグと氷雪コウモリが出てきます。後は狼系統で統一されてますけど」


「それなら可能性としてはツンドラフェンリルだけだろうな。ダストフロッグや氷雪コウモリは沼地にしか出現しない。沼地が続いているのであれば、それらの上位種の可能性もあるが、そうでないのであれば、狼系統のツンドラフェンリルで間違いないだろう。……まあ、水属性の魔力が活性化している地点であれば、だが。全国的な事なのか、王都周辺の局地的なものなのかの区別はつかないからな。そちらでも起きているのであれば、全国的なものと考えても良いのかもしれないが、判断は付かん。確定情報が2か所しか無いんだ。これに関しては、予言も占いも無かった。どうなっているのかは運次第だな」


「それで、俺で勝てると思いますか? 一応ですが、師匠の剣は使わせてもらってます。後はサラマンドラの装備が一式あります。それで狼系のソウルカードを何枚も持っています。タイマンでも良いのかもしれないんですが、ツンドラフェンリルが群れているとして、勝てる算段があるのかどうかを聞きたかったんですが」


「……狼系統のソウルカードか。テイマーとしての素質もあったのか。それで勝てるかどうかだな。1対20で来てもお前が勝つ。それだけ、お前の実力は高い。お前独自の身体能力強化魔法に加えて、通常の属性の身体能力強化魔法を使えるんだ。そろそろどちらともリミットブレイクした頃だろう? それなら余裕だ。ツンドラフェンリルの素材は珍しい。確保できるなら私の分も確保しておいてくれ。10体分くらいは欲しい」


「解りました。俺もソウルカードが欲しいので、行ってきます。勝てるって解ったら安心してきましたよ。ツンドラフェンリルはそこそこには強いんですよね?」


「そこそこにはな。フェンリルでは束になっても勝てないだけの実力はある。まあ、亡者の鉱山都市ベルンケラーに連れて行くには厳しいだろうが。狼系統は鼻が利きすぎる。死属性の臭いは耐えられないだろう」


「ああ、やっぱりそう判断しますよね……。解りました。お土産は素材で良いですよね?」


「問題ない。それと、研究の方も頼んだぞ」


「解ってます」


 よし。運が良ければ、フェンリルの上位種であるツンドラフェンリルが出ていることが解った。そして、実力的には勝てることが確定した。流石に師匠は知っていたのか。しかし、前は36年前だったのか。結構前の話なんだな。というか、よくもまあそんな事を覚えているものだ。俺なら忘れている自信がある。まあ、勝てると分かったのであれば、準備していこうか。ツンドラフェンリルがどんな魔物なのかは見てみない事には解らないからな。

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― 新着の感想 ―
ふと思ったんだが、匂いを反転出来ないのかな? もし可能ならマスク(鼻当て?)のフィルターに反転の付与出来れば死属性の領域の探索が楽にならないかな? もっとも、死臭を反転させたらどんな匂いになるか想像も…
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