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第2話:生への静寂

※本エピソードには、キャラクターによる自殺の試み(首吊りの準備描写)および、家族の事故死に関する直接的な表現が含まれます。

苦手な方や、精神的に不安を感じる方は閲覧をご遠慮いただくか、ご注意の上お読みください。

5時間。

体を動かせないまま、ただたくさんの未来を見た。

私に差し込む光から推測するしかないが、もう7時を過ぎている。

冷たかった指がようやく体温を取り戻していく。

あんなに痛みを抱えていた体からやっと感覚が戻る。

私の命令を聞かなかった体もようやく思い通りに動いてくれる。

ゆっくりと体を起こし、やたらと重く感じる頭を振り、時計を見る。

時刻は容易に8時を過ぎている。

今からどれだけ頑張っても遅刻だ。

━━私が見た未来と同じだった。

さっきまではまだ、どこか疑っていた。

信じたくなかった。

さっきまでの感覚は全て夢だと思いたかった。

10秒後、犬が吠え始める。

私が見た未来が、本当なら。

「・・・・・・」

外から犬が吠える音が聞こえる。

あは、やっぱり全部知ってる。

じゃあ、やっぱり。

南極派遣から帰ってくる両親は、あの飛行機事故に巻き込まれて死んじゃうんだ。

普通の人間なら、泣いて、悔やんで、絶望するんだろう。

私だって、両親が生きる未来を探した。

でも、そう足掻いても両親が死ぬ未来しかなかった。

悲しいはずなのに、私はすでにそれを『経験済みの過去』として処理しているせいで、涙は一滴も流れなかった。

私の心がどこまでも冷えていくのを感じながら、学校へ行く準備を始めた。

遅刻だとわかっていても、今は何かをしないと気が済まなかった。

その日の真っ白な通学路はどれだけ記憶を探っても見たことのない、つまらない景色だった。

「映画みたいに嘘に塗れて死んじゃおっかな。」

自殺をしようとする未来は自分から見ようとしていなかった。

人生がつまらなくなると思ったから。

だから今初めて見た。

私がこのあと自殺をしにいくために森へ行った場合の未来を。

見る必要はなかった。

森へ向かった時点で、私は自殺をする未来が確定していた。

「・・・・・・・」

気づけば、森に着いていた。

心がとても軽い。

足もとっても軽い。

気持ちがとても晴れやかだ。

「......あは、死ぬってとても面白い!」

大きな木の前に立つ。

友達に持ってくるよう言われていた縄跳びを鞄から取り出す。

そのまま、輪っかを作り、木に結ぶ。

「ねえ、お姉さん?死んじゃうの?」

え?今の声って何?

「私も一緒に死んでもいい?」

幻聴じゃない。下を向いたら確かにそこにいた。

小さな少女が。

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