【文字起こし】君たちは「魚宿三潴」の怪物・ギョッシーを知っているか?
【動画情報】
投稿チャンネル:ナラクノラク(登録者数2.2万人)
投稿日:2018/02/07
再生回数:9,412回(※現在は削除済み)
【文字起こし】
こんばんは。オカルトチャンネル「ナラクノラク」の管理人フギンである。
今日は君たちに、昭和テレビ史最大のタブーと呼ばれた伝説の生放送、『世紀の怪奇ナゾ地帯! 千葉県房総の深淵に幻の巨大怪獣「ギョッシー」を見た!!』について紹介しよう。
タイトルからしてもう、昭和の怪しさ全開だよね。
その通り、当時はこんなオカルト番組がゴールデンタイムに溢れかえっていた時代だったんだ。ユリ・ゲラーがスプーンを曲げれば日本中で子供たちが真似し、ノストラダムスが地球が滅びると言えば大真面目に特番が組まれる。
君たちの想像通り、それらの大半はやたらと大仰なナレーションや、意味深な目撃談で散々に引っ張った挙句、CMを挟んで出てくるのは「トドの死体」だの「ただの光の反射」だのという、今見れば完全に滑ってるような内容ばかりだった。
ところが、だ。
その「どうせテレビのヤラセだろ」という常識が、文字通りお茶の間の目の前で、最悪の形で覆された事件が存在する。
時は1974年3月。
まだ冬の底冷えが残る土曜の夜、日本中が熱狂の渦に包まれていた。
千葉の山奥に存在する謎の池「魚宿三潴」の怪物・ギョッシーを捕獲するため、選び抜かれた調査員が最新鋭の潜水艇に乗って調査に向かうという、前代未聞の完全生中継特番が強行されたんだ。
本来、水中での中継は電波が届かないからリスクが大きすぎる。だから事前に撮影したVTRを『生放送』と偽って流すのが業界の通例だったんだけど、この番組は違った。潜水艇と水上の母船を太い有線ケーブルで繋いで、リアルタイムの映像をそのままスタジオ、そして全国の家庭へ流し込むという、莫大な予算をかけた狂気のプロジェクトだったんだ。
狭い機内に乗り込んだのは計5人。
操縦士のほかに、オカルト系で有名な大学教授、ベテランコメディアン、番組スタッフ、そして、当時のトップアイドル。
「選び抜かれた調査員」とは名ばかりで、要するにテレビ局側としては「何も起きるわけがない」と高を括っていたんだよね。コメディアンの軽いトークと、アイドルの可愛い悲鳴でお茶を濁して、適当に番組を成立させる算段だったわけだ。
夜8時、番組スタート。当時の記録によれば、その瞬間の最高視聴率は46%を超えていたという。今じゃ有り得ない数字だよね。
ここで、潜水艇に搭乗させられた悲劇のヒロインを紹介しよう。
1970年代前半といえば、天地真理や花の中三トリオを筆頭に、現代に続く女性アイドル文化の土台が爆発的に形成された時期だ。当時のアイドルは、ただ歌って踊るだけじゃなく、バラエティの過酷なロケにも体当たりで応じるのがステータスになりつつあった。
そんな過酷な芸能界で死に物狂いで勝ち上がろうとしていた若手ソロアイドル……それが、沢井美智子(当時17歳)だった。
生放送当日、彼女は番組側の要求で、人魚姫をモチーフにした露出の高い水着姿で潜水艇に乗り込んだ。のちに彼女のマネージャーが暴露した手記によると、彼女は重度の水恐怖症で、閉所恐怖症でもあった。潜水艇に乗るのを泣いて嫌がったそうだが、大人の事情で無理やり押し込まれたんだ。
潜水艇が泥濁りの池に沈み始めると、モニターに映る沢井美智子は明らかに過呼吸気味で、隣のコメディアンにしがみついていた。コメディアンはそれを「おっ、職権乱用!」なんて茶化して笑いをとり、スタジオもドタバタ劇として盛り上がっていた。
だが、水深が30メートルを超えたあたりで、スタジオの司会者が悪ノリで「美智子ちゃん、ギョッシーを歌で誘い出してみてよ!」と無茶振りをする。
彼女は顔を硬直させながらも、そこはプロ根性だよね。マイクを握りしめ、自身のヒット曲「深海のディーバ」をアカペラで歌い始めた。
彼女の震える歌声が響いて、数小節が過ぎた時だった。
誰も想像しなかった……いや、起きてはならなかったことが起こる。
彼女の歌に、「それ」が応答したんだ。
最初、テレビのスピーカーから聞こえたのは、不快なキーンという高音の耳鳴りだった。それが次の瞬間、鼓膜を突き破らんばかりのハウリングに変わる。
機内の映像は激しく乱れ、砂嵐の向こうで、潜水艇の中は一瞬で地獄絵図と化した。
全員が狂ったように耳をむしり取らんばかりに押さえてのたうち回り、沢井美智子はカメラに向かって、人間とは思えない絶叫をあげた。次のカットでは、彼女の両目と鼻からタラリと黒い血が流れ落ちているのがハッキリ映っていたんだ。
だが、恐ろしいのはここからだ。ふいに、その狂乱の絶叫がピタッと止まる。
画面の向こうの5人が、一斉に大人しく席に座り直した。そして、全員が「見たこともないような、不気味な満面の笑顔」を浮かべたんだ。この世の終わりみたいな多幸感に包まれた顔で、全員が虚空を見つめながら、楽しそうにフフフ、フフフと鼻歌を歌い始めた。
スタジオの司会者は完全に凍りつき、お茶の間は静まり返る。
画面のインジケーターに映る水深カウンターは、その時、あり得ない速度で回転していた。
用意された有線ケーブルは500メートル。でも当時の常識では、魚宿三潴の深さはせいぜい30メートル。地質学的に、房総半島の山奥にそれ以上の深海が存在するはずがなかった。
なのに、ケーブルはドラムのブレーキを引きちぎって、猛烈な勢いで池の底へと引きずり込まれていく。
100m……200m……300m……。
そして、450メートルを超えたところで、ようやくガツンと停止した。
450メートル。日本で一番深い田沢湖の423mをも超える、漆黒の深淵だ。
スタジオも、テレビの前の視聴者も、完全に言葉を失っていた。
静まり返ったスピーカーから、ビキ、バキ、と鉄板がひずむ絶望の音が鳴り響く。水圧46気圧。1平方センチメートルに46キロの圧力がかかる世界だ。機体が限界を迎えている音だった。
その時、画面の奥で、血まみれの沢井美智子がゆっくりと立ち上がった。
そして、カメラのレンズをじっと見つめながら、再び歌を歌い始めたんだ。「深海のディーバ」を。
でもそれは、音程もリズムも完全に狂った、この世のものとは思えない不気味なノイズだった。なぜなら、彼女の耳はさっきの怪音と、機内に侵入し始めた異常な気圧によって、内耳も三半規管も完全に破壊し尽くされていたからだ。立っていることさえ奇跡だった。
彼女は、目や耳から血を流し、血の泡を吐きながら、それでもトランス状態の笑顔で歌い続け……。
――そして、映像はふいに途切れた。
潜水艇の耐圧殻が水圧に耐え切れず、一瞬で「圧壊」したんだ。
これが、昭和49年に日本中が目撃した、今なおYouTubeでも「見てはいけない動画」として都市伝説化している生放送事故の全貌だ。
悲惨なのはね、圧壊したはずのその池の底から、後日引き揚げられた有線ケーブルは、なぜか「1000メートル以上」に伸び切っていたという噂があること……。
さて、君たちはこの事件をどう見る?
信じるか信じないかは、君次第だ。




