表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルを駆使して人生勝ち組っ!R  作者: 此花サギリ
小学生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/111

第50話 宇宙を目指して

 『エネルギー分野の分析を開始します。』


 《イリス(いりす)》の声が静かに響く。


 私は椅子に深く座り直し、机の上に広げた資料を整えた。量子半導体、通信、医療AIの三本柱はすでに仕込んだ。だが、それだけでは足りない。


 未来を支配するのは、計算能力と情報だけではない。


 ――電力だ。


 「再生可能エネルギー関連と、次世代蓄電技術を優先抽出して。」


 画面が切り替わる。


 国内企業一覧が表示される。


 《日輪再生電力にちりんさいせいでんりょく》。


 《蒼天蓄電研究所そうてんちくでんけんきゅうじょ》。


 《白鷺水素開発しらさぎすいそかいはつ》。


 海外では、


 《|ノースライト・エナジー《のーすらいとえなじー》》。


 《|グリーンフォージ・パワー《ぐりーんふぉーじぱわー》》。


 私は目を細める。


 「《イリス(いりす)》、五年スパンでの政策連動リスクを加味して。」


 『了解しました。国内政策資料、国会議事録、各自治体計画書を統合解析します。』


 画面の隅に小さく地図が表示される。


 《東京都(とうきょうと)》。


 《大阪府(おおさかふ)》。


 《福岡県(ふくおかけん)》。


 補助金予定地域が色分けされていく。


 私は指で机を軽く叩く。


 「地方分散型電源が鍵になる。」


 大規模一極集中は災害に弱い。


 未来の私は、それを知っている。


 『《日輪再生電力にちりんさいせいでんりょく》は《静岡県(しずおかけん)》沿岸部に洋上風力計画あり。』


 「台風リスクは?」


 『耐風設計強化済み。ただし建設遅延リスクあり。』


 悪くない。


 だが私はさらに踏み込む。


 「《蒼天蓄電研究所そうてんちくでんけんきゅうじょ》の全固体電池進捗は?」


 『試作第二段階成功。量産化は未定。研究資金不足。』


 そこだ。


 資金不足。


 技術はあるが、資金が足りない。


 爆発する前の火種。


 私は静かに微笑む。


 「将来、《月読計画(つくよみけいかく)》のデータセンターを建設するなら、どこが最適?」


 地図が再び拡大される。


 《長野県(ながのけん)》。


 《北海道(ほっかいどう)》。


 《熊本県(くまもとけん)》。


 冷涼な気候、水資源、地震リスク分散。


 『最適候補は《長野県(ながのけん)》北部。』


 私は頷く。


 「昔、《松本城(まつもとじょう)》を見に行ったことがある。」


 黒い天守が青空に映えていた。


 あの静かな土地に、未来の演算拠点を築く。


 悪くない。


 『マスター、感情値が再上昇しています。』


 「夢を描いているだけ。」


 だが夢は、数字で裏打ちしなければならない。


 「《蒼天蓄電研究所そうてんちくでんけんきゅうじょ》を三十%、 《日輪再生電力にちりんさいせいでんりょく》を二十%、海外ノースライト・エナジーを十五%。残りは現金保持。」


 『リスク分散良好。』


 私は発注画面を開く。


 心臓が少し速くなる。


 投資額は決して小さくない。


 だが、未来の基盤を築くための布石。


 「実行。」


 クリック。


 約定通知。


 静かな部屋に電子音が響く。


 私は深く息を吐いた。


 これで、量子・通信・医療AI・エネルギー。


 四本柱。


 《セレーネ(せれーね)》の演算は、いずれ国家級インフラに匹敵する。


 その時、電力を外部に依存するのは危険だ。


 自前で制御できる基盤が必要。


 『海外情勢変動予測を更新しますか?』


 「お願い。」


 世界地図が表示される。


 《アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく》。


 《中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく》。


 《ドイツ連邦共和国どいつれんぽうきょうわこく》。


 半導体規制、エネルギー政策、為替。


 世界は複雑に絡み合っている。


 私は小さく呟く。


 「戦争が起きれば、市場は揺れる。」


 『地政学リスク指数上昇傾向。』


 だからこそ、分散。


 だからこそ、現金比率。


 私はノートに大きく書いた。


 【守り六、攻め四】


 攻めるだけでは生き残れない。


 守るだけでは未来は掴めない。


 バランス。


 それが投資。


 それが戦略。


 窓の外では、夜の帳が下りている。


 街の灯りが瞬く。


 あの一つ一つが、電力で輝いている。


 いずれその電力を、私の投資先が支える日が来るかもしれない。


 『マスター、ポートフォリオ安定指数は八十二点です。』


 「合格。」


 まだ完璧ではない。


 だが上出来。


 私はパソコンを閉じる前に、最後に確認する。


 「《イリス(いりす)》、もし市場が暴落したら?」


 『段階的買い増し戦略を推奨します。』


 私は笑った。


 「覚悟は出来てる。」


 市場は波だ。


 上がる時もあれば、沈む時もある。


 だが、未来の流れを読む目と、冷静な判断があれば恐れない。


 私は立ち上がり、窓辺に立つ。


 遠くに見える夜景。


 いつか、《長野県(ながのけん)》の山中に建つデータセンターから、世界へ信号を送る日を思い描く。


 その礎は、今日のクリックから始まった。


 《イリス(いりす)》が静かに告げる。


 『次の分析テーマは何にしますか?』


 私は振り返り、微笑んだ。


 「宇宙関連産業。」


 未来は、地上だけじゃない。


 青白い光が再び走る。


 私の戦略は、まだ終わらない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ