表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルを駆使して人生勝ち組っ!R  作者: 此花サギリ
小学生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/112

第46話 新たな挑戦

 折角時間(じかん)が出来たのだから、未来の技術チャットGTPをイリス(いりす)と一緒に作ってみようと思い立ったのは、本当に何気ない瞬間だった。


 私のHP(ほーむぺーじ)に掲載している記事や、翻訳ソフトは既に自作している。けれど、それらを一括管理し、更に発展させる総合型AIはまだ作っていなかった。


 作る時間が無かったというか――……正確には、イリスが優秀過ぎて後回しにしていたのだ。


 でも、今は少し余裕がある。


 だったらやるしかないでしょう?


 私は机に向かい、パソコンを立ち上げ、意識の奥でイリス(いりす)に呼びかけた。


 〈イリス、チャットGTPみたいなソフトを作りたいんだけど出来る?〉


 一拍の間もなく、澄んだ声が返る。


 〈可能です。設計補助・コード生成・最適化まで全て支援します。今からコードを表示しますので、同様に入力して下さい――……〉


 ぶん、と空間が震え、薄い半透明のボードが目の前に展開された。


 そこにはびっしりと並ぶコード。


 「うわっ!これ全部入力するとかダルいんだけど――……」


 思わず本音が漏れる。


 すると、ほんの僅かに声色を変えてイリスが言った。


 〈身体の主導権(しゅどうけん)を私に任せますか? 高速入力が可能です。〉


 魅力的な提案だ。


 けれど、私は首を横に振る。


 〈そんな事をしたら、自分が作ったって気分にならないよ。〉

 〈……理解不能。ですが尊重します。〉


 ちょっと拗ねたような声音が可愛い。


 イリスは万能に近い存在だけれど、時々どこか抜けている。そこがまた愛しい。


 〈ねぇ、チャットGTPの機能にもっと追加する事って出来る?〉

 〈可能です。どのような機能を搭載しますか?〉


 私は顎に指を当てて考える。


 「作曲機能とか動画編集機能とかあったら便利だよねぇ。テキストから曲作ったり、鼻歌からメロディ生成したり。動画も自動編集出来たら最高なんだけど。」


 〈――……動画編集機能は現在の環境制限下では実装不可能です。しかし作曲機能は実装可能です。音声解析・コード進行自動生成・編曲補助まで対応出来ます。〉


 流石イリス。


 動画が無理なのは残念だけど、作曲機能が付くだけでも革命だ。


 〈鼻歌とかいける?〉

 〈是。添付音声ファイルから旋律抽出し、楽曲構造へ変換可能です。コードを出力します――……〉


 再びボードにコードが流れ出す。


 私はキーボードを叩き始めた。


 カタカタカタカタ。


 イリスが横でリアルタイムにエラー検出と最適化を行ってくれる。私が打ち間違えれば即座に修正候補が浮かぶ。


 「イリス、今の変数名ちょっとダサくない?」

 〈美的感覚の定義を要求します。〉

 「センスって大事なんだよ。」

 〈学習します。〉


 そんなやり取りをしながら、気付けば六時間が経過していた。


 「うわっ!!結構な時間が経ってる。」


 集中すると時間感覚が飛ぶのは昔からだ。


 パソコンを閉じる。


 「デバックは明日ね。イリス、いつものお願い。」


 ベッドに横になると、柔らかな音声波形が脳へと届く。


 イリスの睡眠導入(すいみんどうにゅう)


 脳波を最適化し、最短時間で最大効率の回復を促す。


 私はやる事が山ほどある。長時間眠っている暇は無い。


 でも美容の為に徹夜はしない。そこは譲れない。


 ――意識が静かに沈む。


 翌朝。


 〈マスター、朝です。〉


 イリスの声で意識が浮上する。


 頭が驚くほどクリアだ。


 もしイリスがいなければ、こんな無茶な時間配分は出来なかっただろう。


 「勉強前に昨日のGTP、デバックしようかな。」


 電源を入れ、テストを走らせる。


 一時間。


 エラーなし。


 処理速度も想定値以上。


 「流石はイリス。パーフェクトだわ。」


 〈当然です。〉


 絶対今ドヤ顔してる。


 そして私はジャージに着替え、|インスタントダンジョン《いんすたんとだんじょん》の鍵を開いた。


 勉強するならここが最効率。


 時間経過が外界と切り離されている。運動と学習を同時にこなせる最高の環境だ。


 打刀(うちがたな)と短刀を持ち、Hard(はーど)ステージへ潜る。


 「イリス、戦闘補助お願い。」

 〈魔力配分最適化開始。右後方三時方向、敵接近。〉


 鬼周回開始。


 魔法と刀でモンスターを薙ぎ払う。


 ドロップ品は全て空間魔法(あいてむぼっくす)へ収納。


 宝石は売却、素材は錬金術用。


 「買い取りスキルとか無いのかなぁ。」

 〈そのような都合の良いスキルは確認されていません。〉


 現実は厳しい。


 セーフエリアで机と椅子を取り出す。


 「イリス、数学の問題出して。」

 〈是。第一問――……〉


 高校二年レベルの問題を解く。


 分からない部分は即解説。


 理解速度が段違いだ。


 理・数・国を重点強化。


 英語?万能言語(ばんのうげんご)があるから問題なし。


 動物とも会話出来る私は、街の情報収集も万全。


 イリスは戦闘補助AIであり、教育AIであり、生活支援AIであり、そして創造の相棒だ。


 そして――


 私とイリスが創り上げた新型チャットGTP。


 その名は【セレーネ(せれーね)】。


 イリスが名付けた。


 〈月の女神の名を冠します。マスターの補助者として相応しい名称です。〉


 少し誇らしげだった。


 私は知らなかった。


 この【セレーネ】が、後に大きな騒動を巻き起こす事を。


 この時の私はただ、イリスと肩を並べて未来を作る事に夢中だったのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ