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スキルを駆使して人生勝ち組っ!R  作者: 此花サギリ
小学生

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第40話 インスタントダンジョン

神様ガチャの新たな恩恵(ギフト)――インスタントダンジョン。


最初は「勉強ブースト装置では?」なんて甘い期待を抱いたけれど、現実はゼリー状のスライムとの戦闘から始まった。



「イリス、今日も行くよ」


〈難易度:表Normalを推奨します。Easyは経験値効率が低下しています〉


効率厨め。


でも事実、私はもうEasyでは物足りなくなっていた。


地面に魔法陣が浮かび、視界が白く反転する。


次の瞬間、別次元。


湿った空気。

苔むした石壁。

遠くで響く魔物の唸り声。


そして――時間停止。


地球側の私は蔵の中で静止しているらしい。

便利すぎる。



Normalに入った瞬間、スライムはもう雑魚だった。


代わりに現れたのは角の生えたウルフ型モンスター。


「イリス、ステータス表示」


〈敵個体:フォレストウルフ。敏捷性高〉


突進。


速い。


私は結界を“斜め”に展開した。


ドンッ!!


ウルフが自分の勢いで弾かれる。


「結界は壁じゃなくて、面で殴る!」


圧縮。


縮小。


ギチギチと音を立てて拘束。


そこへ――


「Waterball・改!」


以前は魔力30で雑に撃っていた。


今は違う。


魔力3。


だが内部圧縮率を10倍に。


ピンポイント射出。


水弾がウルフの額を撃ち抜いた。


魔石ドロップ。


〈魔力効率:前回比92%改善〉


「よし!」



ダンジョン生活で一番変わったのは、思考速度だった。


戦闘中に同時並行で勉強。


〈問題:二次関数の最大値〉


「x=-b/2a」


斬る。


〈正解〉


蹴る。


結界展開。


暗記。


詠唱省略。


私はもはや“ながら学習の化身”だった。



そして、ある日。


〈スキル獲得:剣術Lv1〉


「え、ヒョコって生えた!」


スキルって本当に生えるんだ。


剣を振るう感覚が変わる。


無駄な力が抜ける。


刃筋が通る。


祖母の蔵にあった打刀が、やっと“武器”になった。



Hardに挑戦した時は流石に死ぬかと思った。


巨大なオーガ。


棍棒一撃で地面が陥没。


HPは減らないとはいえ、痛覚はある。


痛いものは痛い。


「結界・多層展開!」


三重。


圧縮。


反発力を攻撃に転用。


オーガの腕が弾かれる。


そこへ足場結界。


空中へ跳躍。


「雷槍!」


素粒子構築。

電位差生成。

一点集中。


ドゴォッ!!


焦げた匂い。


巨体が崩れる。


〈スキル獲得:雷魔法Lv1〉


「やったぁ!!」


アニメで見た理論を再現しただけだけど、成功すると脳汁が出る。



そして私は気付いた。


「これ、日本で生きるのに必要?」


冷静な疑問。


〈ダンジョン報酬を確認します〉


宝箱出現。


中身は――


【錬金術スキル】


「……必要かもしれない」


ポーションを作れば怪我治せる。

素材売れば資金増える。


既に資産50億超えだけど。


でも“選択肢”が増えるのは強い。



私は錬金術を習得し、ポーション生成を試みた。


魔石粉末。

薬草エキス。

魔力攪拌。


淡い青の液体。


〈品質:上級〉


「売ったらいくら?」


〈非合法市場推定価格:数百万〉


「やめとこ」


日本は法治国家です。



一番ハマったのは結界魔法だった。


某結界バトル漫画を参考に、立体構築。


「圧縮・立方封印!」


スライムをキューブ状に閉じ込める。


ぎゅう。


……ちょっとグロい。


でも強い。


足場にもなる。

盾にもなる。

刃にもなる。


汎用性S。



Extraはまだ手を出していない。


イリスが止める。


〈現在の総合戦闘力では推奨できません〉


「いつなら行けるの?」


〈剣術・体術・主要魔法がLv5以上〉


遠い。


でもワクワクする。



現実世界では私は受験生。


芸能活動もある。


映画も、歌も、勉強も。


その裏で――


ダンジョン攻略。


誰も知らない私の第二の人生。


時間停止空間で、私は何年分も戦っている。


老いない。

死なない。

失敗してもやり直せる。


反則級の環境。



ある日、隠し通路を発見した。


〈隠しダンジョン条件達成〉


壁の奥に転移門。


紫の光。


心臓が跳ねる。


「イリス、入る?」


〈リスク高。報酬も高〉


私は笑った。


「面白そうじゃん」


怖さより好奇心が勝つ。


昔からそうだ。



インスタントダンジョンは、ただの修行場じゃない。


私の可能性を拡張する場所。


完全記憶。

素粒子構築。

魔法創造。


現実では使えない力かもしれない。


でも。


強さは心を変える。


「魔法戦士、悪くないよね?」


〈近接・遠距離・支援の三系統習得を推奨します〉


「欲張りだなぁ」


〈マスターもです〉


否定できない。


こうして私のライフワークに、


・受験勉強

・芸能活動

・資産運用

・そしてダンジョン攻略


が加わった。


蔵の中で静止している私を、誰も知らない。


でも別次元で私は今日も戦う。


次はVery Hard。


その先にある“Extra”。


そして隠しダンジョンの最奥。


――希少な恩恵。


どんなスキルが待っているのか。


想像するだけで、心が躍る。


「よし、今日もレベル上げだ!」


私の異次元ライフは、まだ始まったばかりだ。


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