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スキルを駆使して人生勝ち組っ!R  作者: 此花サギリ
小学生

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第99話 S旋風到来

 医療ドラマ【ドクターS】第一話の放送翌日。


 東京(とうきょう)の朝は、いつもと変わらぬ通勤ラッシュ――のはずだったが、その空気はどこか違っていた。


 ◇


 「昨日のドクターS見た?」


 ◇


 駅構内のあちこちで、同じ会話が聞こえてくる。


 ◇


 「見た見た!あの手術シーンやばくない?」


 「ていうか主役の人、演技すごすぎた」


 ◇


 ◇


 テレビ局の控室。


 ◇


 「……話題になっていますね」


 ◇


 ソファに座る燈由(ひより)は、静かにスマートフォンの画面を見ていた。


 ◇


 画面にはニュース記事。


 ◇


 『ドクターS、初回視聴率驚異の数字』


 『主演交代が大成功と話題に』


 ◇


 「……予想以上です」


 ◇


 ◇


 さらにSNS。


 ◇


 「篠宮紗良役の人、完全に本物」


 「演技っていうか、医者そのものだった」


 「泣いた」


 ◇


 ◇


 「……評価は安定していますね」


 ◇


 落ち着いた声。


 ◇


 しかし、スタッフの反応は違った。


 ◇


 「燈由(ひより)ちゃん!すごいよこれ!」


 ◇


 マネージャーの容子(まさこ)が、興奮気味に駆け寄る。


 ◇


 「朝から電話鳴りっぱなし!」


 「取材!出演オファー!全部一気に来てる!」


 ◇


 「……そうですか」


 ◇


 対して、燈由(ひより)は冷静だった。


 ◇


 ◇


 「落ち着きすぎでしょ!?」


 ◇


 「事実の確認ですので」


 ◇


 ◇


 容子は頭を抱える。


 ◇


 「普通もっと喜ぶとこでしょ!?」


 ◇


 「……嬉しくないわけではありません」


 ◇


 「じゃあもっと表情に出して!?」


 ◇


 ◇


 「……では」


 ◇


 ほんの少しだけ微笑む。


 ◇


 「嬉しいです」


 ◇


 ◇


 「控えめ!!」


 ◇


 ◇


 ◇


 その頃、星城学園(せいじょうがくえん)


 ◇


 校内もまた騒然としていた。


 ◇


 「え、あれって燈由(ひより)だよね!?」


 ◇


 「同じ学校とかやばくない!?」


 ◇


 ◇


 教室の前。


 ◇


 燈由(ひより)が入ってくると――


 ◇


 一瞬で静まり返る。


 ◇


 ◇


 「……おはようございます」


 ◇


 ◇


 「お、おはようございます!!」


 ◇


 反応がぎこちない。


 ◇


 (距離ができていますね)


 ◇


 ◇


 席に座る。


 ◇


 するとすぐに人だかり。


 ◇


 「ドラマ見た!」


 「すごかった!」


 ◇


 ◇


 「ありがとうございます」


 ◇


 淡々と返す。


 ◇


 ◇


 そのとき。


 ◇


 「……騒がしいな」


 ◇


 聞き慣れた声。


 ◇


 振り向くと――


 ◇


 綾小路 英隆あやのこうじひでたかと、近衛 樹(このえ たつき)


 ◇


 ◇


 「有名人は大変だな」


 ◇


 「朝から囲まれてるし」


 ◇


 ◇


 「……通常範囲内です」


 ◇


 「いや通常じゃない」


 ◇


 「完全に芸能人のそれ」


 ◇


 ◇


 「……芸能人ですので」


 ◇


 ◇


 「それもそうか」


 ◇


 ◇


 軽く笑う二人。


 ◇


 ◇


 「で、主演様」


 ◇


 「感想は?」


 ◇


 ◇


 「……反省点は多いです」


 ◇


 即答。


 ◇


 ◇


 「ストイックすぎるだろ」


 ◇


 「普通は“最高でした”とか言うとこだぞ」


 ◇


 ◇


 「改善は必要です」


 ◇


 ◇


 「いやもう完成してるだろ」


 ◇


 ◇


 ◇


 昼休み。


 ◇


 学食でも話題はドクターS一色。


 ◇


 「手術シーンリアルすぎたよね」


 「医療監修ガチなんだろうな」


 ◇


 ◇


 (リアル、ですか)


 ◇


 燈由(ひより)は静かに聞いている。


 ◇


 ◇


 (それなら、成功です)


 ◇


 ◇


 ◇


 放課後。


 ◇


 再び撮影現場、都内撮影所(とないさつえいじょ)


 ◇


 ◇


 「おはようございます!」


 ◇


 スタッフの声がいつもより明るい。


 ◇


 ◇


 「視聴率見た!?」


 「やばいよこれ!」


 ◇


 ◇


 「……確認済みです」


 ◇


 ◇


 「やっぱり主役交代正解だったな!」


 ◇


 ◇


 監督が笑いながら近づく。


 ◇


 「ここからさらに上げるぞ」


 ◇


 「……はい」


 ◇


 ◇


 台本を受け取る。


 ◇


 次の話数。


 ◇


 さらに重い内容。


 ◇


 (難易度が上がっています)


 ◇


 ◇


 「……やります」


 ◇


 ◇


 ◇


 その夜。


 ◇


 再びSNS。


 ◇


 トレンド一位。


 ◇


 『ドクターS』


 ◇


 ◇


 「社会現象レベルじゃない?」


 「今期トップ確定でしょ」


 ◇


 ◇


 記事も次々と更新される。


 ◇


 『若手実力派女優、完全覚醒』


 『子役出身の底力が話題』


 ◇


 ◇


 「……」


 ◇


 燈由(ひより)はそれを静かに閉じる。


 ◇


 ◇


 「……評価は、結果です」


 ◇


 小さく呟く。


 ◇


 ◇


 大切なのは、次。


 ◇


 次も、その次も。


 ◇


 ◇


 「……継続します」


 ◇


 ◇


 ベッドに横になり、目を閉じる。


 ◇


 今日の撮影。


 観客の反応。


 ◇


 すべてを整理する。


 ◇


 ◇


 医療ドラマ【ドクターS】。


 ◇


 それは今、単なる作品ではなく――


 ◇


 “現象”になりつつあった。


 ◇


 そしてその中心にいるのは、


 ◇


 燈由(ひより)


 ◇


 静かに、しかし確実に。


 ◇


 その存在は広がっていく。


 ◇


 ◇


 「……まだ、途中です」


 ◇


 ◇


 物語は終わらない。


 ◇


 むしろ、ここからが本番。


 ◇


 ドクターSの旋風は、


 さらに大きく――


 世界へと広がっていくのだった。

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