地下鉄の駅
地下鉄の駅
深夜0時に近づく
私は痛む頭を押さえながら、
重い足を引きずるように歩いていた
心なしか
視野に霞がかかるようだった
胸のあたりが苦しい
息もよく吸えていない
頭がさっきから
ガンガンと痛んでいる
今日、私は限界だった
突然の命令の変更
理不尽な上司の叱責
些細なミスからのクレーム
何かをしていると
何かが起きて
その何かに対応していると
何かが抜けてしまう
その抜けた何かで
また怒られる
罵声、侮辱、失笑、
休みたいと言ったのはいつだったか
休みたいという思いを諦めたのはいつだったか
気が付けば
私はホームの端に立っていた
ココカラトビオリレバ
アシタオキナクテイインジャナイカ…?
ふらりとホームの端に吸い寄せられる
電車が到着する知らせが
鐘のように鳴り響く
ふわりと 一瞬 体が宙に浮く
ああ…これで…
やっと休める…
思ったとき、
ぐいっと、引き寄せられた
現実に
いや、違う
黒いスーツ、かろうじて黒ではない紺色のネクタイをしめた青年が
息を切らして
私の腕をつかんで、私をホームに引き戻していたのだ
電車が目の前を轟音とともに過ぎる
窓の灯がチラチラとフラッシュのように瞬く
尻餅をついている青年を見て
やっと、私は理解した
今、自分は死のうとしていた…
仕事に殺されようとしていた
会社に殺されようとしていた
怖くて 体が震えた
震えて 泣いていた
眼の前で終電が出発した
私はみっともないくらい泣いていた
そんな私の腕を
青年はずっと掴んでいた




