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【リアル生成AIスキル】を得たので、あらゆる物を学習&出力しまくる件/ リアル・ジェネレーター  作者: AoisoraKumori
第一章(1/3) 『起動』

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第3話 ディープ・ラーニング能力ー2

 悠人はあれからしばらく深層学習機能を活用して、”学習”に徹していた。


 知識コストの保有量が上限に達するまで、手当たり次第に今その場にある本を読み漁る。

 その結果、保有量が上限に達する前に疲れ果て、眠りに落ちた。


 翌日、学校を休み、さらに”スキル”の研究に徹することに決める。


 自身のスキル、リアル生成AIの核心は”生成能力”ではなく、それを支える知識と経験、データにあった。


 早速自室を秘密の実験室に変えていく。

 窓には遮光カーテンを二重に引き、扉には自作の効果があるか分からない簡単な音響遮断材を貼り付けた。


 万が一、生成物が暴走した時のための最低限の対策。

 心臓は鼓動を速めていた。

 現在の知識コストの保有量は"112/200"、精神コストは、”16/20"。


(本当ならもっと知識を詰め込んでからの方が良いと思うが、ここら辺で試してみてもいいよな。

 ずっと学習は、退屈だし。

 何より、また寝落ちなんてことになって1日を無駄にしたくない!)


 悠人は生成スキルを発動させ、早速実験を開始する。


 ・実験1:ネットで見つけた曖昧な設計図に基づき、「簡易ドローン」を生成。


「生成……

『高性能ドローン』!」


 ネットで見つけた、ある自作ドローンコミュニティで公開されている”曖昧な設計図”をもとに、生成を行う。

 そのデータは、詳細な専門知識というよりは、趣味レベルの断片的な情報だった。


 《知識コスト:”不足(ドローン工学・電磁気学:初級以下)”》

 《物理コスト:”自宅にある電子部品、プラスチック、少量の金属を検出”》

 《精神コスト:”中程度を要求”》


 悠人は覚悟を決め、精神力を集中させる。

 全身に走る疲労感。

 右手の平から青白い光が溢れ、机の上に放置されていたジャンク部品を包み込む。


 結果として現れたのは、プロペラが四つ付いた、一見ドローンらしき物体だった。

 しかし、その見た目は歪で、継ぎ目が粗い。


「うまくいってくれよ……」


 慎重に起動を試みた。


 ・実験結果:プロペラが一瞬「ブイーン!」と悲鳴のような音を上げて回った直後、黒い煙と共に停止。

 知識コスト不足により、プロペラの回転バランスが取れず、内部回路が完全に焼損した。


「くそっ……」


 この失敗により、悠人は重大な事実を確信する。


 ”生成物のクオリティは、知識の深度に完全に依存する。”


 浅い、または誤った知識データは、不完全で、危険な失敗作しか生み出さない。

 このスキルは、少なくとも知識コスト面において、不確実な入力を”補完”するのではなく、そのまま”忠実に出力”するツールであることが判明した。

 悠人は、失敗したドローンを分解しながら、知識の必要性を改めて痛感する。


 それと同時に一時期SNSでよく見かけた、生成AI製の奇妙な指の形をしたイラストを思い出していった。

 不完全な生成物、あれと自分のドローンの失敗は、同じようなものと言えるのではないのだろうか。

 悠人は実験を再開する。


 ・実験2:専門書を読み込んだ後、その知識をもとに「特殊合金製のボルト」を生成。


 次に、成功例を得るために行動した。

 最も確実なデータ源である”専門書”のデータをもとに、生成を行うことにする。

 昨夜の学習の際に父の書斎から引っ張り出してきた、”『材料工学と特殊合金の基礎理論』”という分厚い専門書を広げた。

 眠気に襲われるも、我慢して途中から読み始める。


 それから数時間、悠人はその難解な数式と金属の構造を、訳もわからぬまま、とにかく全て目を通して”ラーニング”させていった。

 ”リアル生成AIのディープ・ラーニング機能”が、専門書の情報を無意識のうちにデータとして処理、登録していくのを感じる。


 それは、数年かけて大学で学ぶような知識を、数時間で圧縮ファイルのように脳内にインストールしていくような感覚だった。

 悠人自身が本の内容を理解できていなくても、スキルの学習自体は、やはり可能なようだ。


 何度も何度も眠気に襲われながら、全てのページに目を通し、とうとう悠人は、専門書丸々一冊をスキルに読み込ませる事に成功する。

 その後、立ち上がり、ほっぺたを叩く。

 眠気を払ったあと、再び悠人は生成を開始した。

 日は沈み始めている。


 ・実験結果:今回は精神コストの要求も低く、一瞬の青い光の後に、机の上に極めて高精度な”「超硬度チタン合金製のボルト」”が完成した。ネジ山は完璧で、指で触れた感触は滑らかで冷たい。


「は、はは……

 成功だ…!

 成功でいいんだよな!?

 これだ!

 上質なデータがあれば、上質な生成ができる!」


 この成功により、改めて悠人はスキル運用における”知識の深度”の絶対的な重要性を確信した。


 (──このスキルは単なる生成スキルじゃない。

 ”知識”を取り込んで、自ら強化していくスキルなんだ。

 この”深層学習ディープ・ラーニング機能”を用いれば、そう遠くないうちにさまざまなものを生成できるようになるだろう。

 逆を言えば、学習しなくては、うんこみたいなものしか生成できねぇ……)


 何十時間も勉強して、知識を頭に定着させる必要はない。

 ”学習”はあくまでスキルが勝手に行ってくれる。

 色々と欠点はあるものの、非常に強力で、可能性を秘めたスキルだ。

 結果として数時間かかってしまったが、もっと効率の良い学習方法はこれから模索していけばいい。


 ・実験3:生成物の完全分解と隠蔽


 生成物は極めて高精度であるため、その存在自体が異常だ。

 悠人は最後に、生成物をコストから再構成するのと同じ原理で、生成物を元の材料に”分解”できないか試すことにした。

 一昨日生成したポーションを机に置き、手をかざす。


 思えばこのポーションも悠人の知識が不完全なため、まともな効果がない不完全なポーションなのかも知れないが、とにかく材料を使用して生成したものに間違いない。

 なので、今は分解することに集中する。


「『ポーション』を、『水、糖分、微量の無機塩類』に分解!」


 緑色の光が発生し、ポーションは元の水、糖分、微量の無機塩類と、わずかな熱に変わった。


「や、やった。これも成功だな!」


 これで痕跡は残らない。

 変な生成物をそのまま処分すると、色々と面倒なことになると予感できたため、その解決策が見つかり、悠人は安堵した。


「……だが、精神コストは回復したりはしないみたいだな。」


 悠人は精神コストの欄が変化するどころか、むしろわずかに減少している事に気づく。


(──生成物を分解することで精神コストも取り戻せるのなら、良いものができるまで生成と分解を繰り返し、半永久的に生成を続けられるのではないか──?)


 そう希望を抱いていたものの、それは淡い幻で終わった。

 三つの実験を終え、カーテンを開ける。

 すでに日は沈みかけているところだった。


 先ほどからお腹はなり、空腹を知らせている。

 今日の実験はやはりこれで終えることに決めた。

 自室から出て、階段を降りる中、悠人は、改めて誰にも知られずに、この力を強化させていくことを改めて決意する。


(誰かに見つかれば、俺の日常は終わりだ。

 俺自身の安全を確保するためにも、俺が”最強のデータ収集者”になるしかない。)


 誰もいないリビングまで来ると、悠人は埃の被った料理本を手にとった。

 かつて母親が使用していた、色褪せた料理本。


(どれ、これも読み込ませてみるか……

 もしかすると、”スキル”と食材を用意するだけで色々な料理を生成できるかもしれない……)


 自分のスキルの可能性に胸を高鳴らせる。

 悠人の「ラーニング」は、本格的に加速していくのだった。




 ◇




 リアル生成AIスキルの真価が”深層学習機能”にあると確信した翌日。


 その日から悠人は、自宅の自室、加えて人目のない深夜の河川敷を実験場に変え、無謀とも言える”ラーニング”の毎日を開始する。

 その学習サイクルは単純だった。


 簡単にいうと、失敗したデータをラーニングしていき、正解を形作っていくという、”消去法”のような学習サイクルだ。


 失敗からしか真の”ラーニング”は得られないという、非効率で痛みを伴うが、確実に基礎を固めていく結論に天野悠人はたどり着いた。


 (……もっと効率の良い方法があるかもしれない。

 けど、人にも増団なんてできない以上、やるしかない。

 これ以上悩むのは時間の無駄だ。

 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶって言うけど、俺は愚者バカだから、経験で学ぶしかねぇ。

 ──実験、再会だ。)


 ・失敗その1:高性能銃の暴発 ──

 知識の網羅性の限界

「目標:”高性能拳銃(自衛用)”の生成。データソース:

 軍事マニアのブログと映画の知識。」


 悠人は、ネットの裏掲示板で見た軍事マニアによる銃の構造解説や、映画で見た精密機械の画像を脳裏に再現しようと試みた。

 しかし、インプットした知識には

 ”「火薬の燃焼速度、チャンバーの耐圧計算、リコイル制御機構」”

 といった、

 ”実用に必要な工学的・物理的な網羅性”

 が決定的に欠けていることが後々判明する。


 悠人は多くの精神コストを注ぎ込み、手元にあった工具や金属くずをコストとして投じた。


 《生成開始:【高性能拳銃(自衛用)】。予測精度:”C-(危険域)”》

 《知識コスト:”中等(原理は理解。構造設計・安全基準は欠落)”、材料コスト:高》


 結果、手のひらに生成されたのは、一見するとそれらしい形状をした拳銃だった。

 だが、銃身は設計図のイメージよりも著しく短く、金属部品の接合部には粗雑で歪な溶接痕が残っている。

 それは、”表面的な見た目の知識”だけが具現化された張り子の虎だった。


「よし、見た目は──

 まずまず、か?」


 悠人は深夜の河川敷の、土手に向かって試し撃ちを試みる。


「いけ!

 うおっ!?」


 銃口から轟音と共に火花が噴き出すのと同時に、銃は彼の掌中で激しく暴発した。

 銃身が破裂し、金属片と高温のガスが周囲に飛び散る。

 幸い、咄嗟に手を離し、自身への直撃は避けたものの、悠人の手は煤だらけになった。

 全身を衝撃波が襲う。


「っ……

 あち!」


 床に散らばった熱を持つ残骸を呆然と見つめる。


「銃の知識が足りないんじゃない。

 ”安全に作動させるための物理法則”

 の知識が欠落していたのか……?」


 悠人は失敗を受け、すぐさま”失敗の学習”に入った。


 《”ラーニング・フィードバック:”》


 《 > リアル生成AI:深層学習機能が、新たな『失敗パターン:耐圧限界の未達』をデータ化。

 火薬の組成、合金の熱力学に関するデータモデルを更新しました。》

 《> ”知覚範囲が1.05%向上しました。”》


 身体を張った実験によって、スキルの練度が少しだが確実に、上昇してはいるようだ。

 この激しい痛みと失敗こそが、このスキルの”経験値”であり、するべき”努力”。


 (──色々と危険だけど、これしかない。

 頑張るしか──ないよな。)


「──なんだ悠人、こんなとこにいたのか。」


 懐かしい声が聞こえた。

 悠人は思わず振り返る。

 一人の数少ない友人が立っていた。

 下痢のような汚い金髪が風に揺れている。

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