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【リアル生成AIスキル】を得たので、あらゆる物を学習&出力しまくる件/ Real Generators  作者: AoisoraKumori


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第28話 刺客ー2

「カメラよ。」


「──てことは、ずっと俺のこと、そのカメラで撮ってたってことか……!?」


 思わず声を上げる悠人に対し、零華は淡々と頷く。


「えぇ、そうよ。

 なんだ、気づいているかと思ったが──

 まぁいい。

 今からこのカメラは、

 ”ダンジョン深層に潜ったことで故障した”

 ことにする。」


 あまりにもあっさりとした言い方に、悠人は一瞬、冗談なのか本気なのか判断がつかず、次第に警戒心が表情に浮かぶ。

 思わず身構えた。


「落ち着きなさい。

 別にお前を襲ったりするわけじゃないわ。

 むしろ逆よ。

 カメラをつけていると、私も余計なことができない。

 これから、お前のデータの採取に私も積極的に協力する。

 さぁ、いくわよ。」


 その声には、監視者としてではなく、指導者としての決意が滲んでいた。


「は、はぁ。」


 状況を飲み込みきれないまま、曖昧に返事をする。

 思考の整理が追いつかないまま、悠人は前を行く背中を追いかけた。

 零華はすでに周囲の闇を射抜くような視線で、滑らかな足取りを刻んでいる。


「油断するな。

 ここから先、解析データだけでは対応できない複合型の敵が出てくる。

 五感を研ぎ澄ませておけ。

 お前はデータの採取を最優先。

 私が基本、前線に出て戦おう。」


 零華の心中では、焦燥が渦を巻いていた。

 本来なら時間をかけ、悠人の感覚を実戦の中で磨き上げたい。

 だが、残された時間は少なかった。

 今はとにかく学習させて”手札”を増やす、その一点に集中する。


「て、おい、あまり前に出るな!」

「俺にもいかせてくれ。

 アウトプットは大事だろっ?」


 零華が分析に専念するように言ったのも束の間、悠人は彼女の前に出て駆け出していった。

 前方にはモンスターがいる。

 零華よりも先にスキルで感知して発見したようだ。

 零華式・応用剣術を駆使し、襲い来る魔物を悠人は無駄なく処理していった。


「へへっ、どんなもんだい。」


 その動きには迷いがなく、戦闘データに基づいた合理性がある。

 零華自身も、その成長速度には目を見張らざるを得なかった。


(本当に異常な生成スキルだ。

 このまま成長すれば、ネクロスが危惧するトリガーに触れる前に、機構ですら手を出せない領域に達するかもしれない……)


 安堵と焦燥が入り混じった思考が、零華の胸をよぎる。

 その瞬間だった。


「……ん?

 なんだ、解析ができない──?」


 回廊の奥から、静かでありながら空間そのものを歪ませるような、異質な気配が迫ってくる。


「目標を確認。

 天野悠人。

 抵抗は無意味だ」


「!?

  に、人間……?

  モンスターじゃないのか……?」


 岩壁の陰から、漆黒の装束をまとった二人の人物が、空間を縫うように姿を現した。

 その胸元には、探索者統制機構の特務部隊だけに許される銀色の蛇の紋章が刻まれている。

 ネクロス直属の、最高機密任務専用の特殊エージェント、”ラーニング・ワン”と、”ラーニング・ツー”だった。

 零華は即座に異変を察知し、悠人の隣に並んで構えを取る。


「誰だ。

 統制機構の人間か?

 なぜここにいる」


「ラーニング・ゼロ、君の任務はここまでだ。」


 零華の問いに、長身で無表情な男──

 ラーニング・ワンが、感情のない声で答えた。


「我々は上官ネクロスの極秘命令により、実験体

 ”ラーニング・ドッグ(ワンワン)”

 を確保しに来た。

 邪魔をするなら、君も捕獲対象になる。」


「なんだと?

 それに何だ、その何のセンスもない名前は。」


 零華の全身から、抑えきれない殺気が立ち上る。

 ネクロスの言葉が脳裏をよぎった。


 ”──トリガーが発動した場合、直ちに捕獲せよ。”


「まだだ。

 彼はまだ生命体なんて生成していないぞっ」

「そんなことどうでもいい。

 このダンジョンで起きたことを、外の世界の人間が知る術はないのだから。」

「……なるほど。

 私を呼び出して意味不明な忠告をしたのは、全部警戒を緩めるためのハッタリか!」

「知りません。

 我々はただ、ネクロス様の指令でここにつながっている別のダンジョンゲートからこっそり潜入し、待機していたのですから。」


「──お前の行動はわかりやすいということだよ、ラーニング・ゼロ。」


 ラーニング・ツーも口を開いて補足する。


(くそ……

 やはり私は、アイツの手のひらで踊るしかないのか……)


 動揺を押し殺し、零華は剣を構えた。

 今の零華の装備は、そこまで万全を期したものではない。

 あくまで対モンスター用の装備だ。


「天野、私から離れるな。

 生成スキルで援護しろ」

「お、おい、一体どうなってるんだよ。

 何だよラーニング・ゼロって!」

「お前も勘付いていたとは思うが、私も機構側の人間ということだ!

  さぁ、来るぞ!」

「っ──!

  せ、生成!

 ”高硬度チタンシールド”!」


 悠人は即座に防御用の超硬度チタン合金製シールドをイメージし、生成スキルを最大出力で起動する。

 これまでのデータを活かした、最強クラスの防御策だった。

 零華に関して色々と疑念を抱く。

 しかし、彼女は悠人に背を向けて剣を構えていた。

 裏切る様子など皆無。

 今は目の前の怪しげな男二人を無力化することに集中する。


 だが、ラーニング・ワンが静かに手のひらを掲げた次の瞬間、周囲の空間が青白く歪んだ。


「──スキル発動。」


 淡々とした宣告。

 それと同時に、生成されかけた悠人のチタンシールドは、完成する前に跡形もなく消え去った。

 魔力が収束し、形を成そうとしたその途中で、存在そのものがボロボロと消失していく。


 《エラー:生成に失敗しました。》


「……え?」


 脳内に、生成不能を示す無数のエラーが流れ込んでくる。

 冷たいものが背筋を走り、全身が総毛立った。


「くそっ……

 なら、神崎の動きを補助する加速魔法石を!」


 訳も分からないまま、今度は瞬発力を高める特殊物質の生成を試みる。


 《エラー:生成に失敗しました。》


 だが、結果は同じだった。

 生成が始まろうとした瞬間、その物質は空間に飲み込まれるように消滅する。


「我々の『Xx_アンチ・クリエイト_xX』は、君の生成物を全て否定する。」


 ラーニング・ワンは、解析するような口調で淡々と告げた。

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