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わたくしの婚約者となる方が全く予想外の人物だった件。  作者: あめとおと


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第9話 婚約が本物になってしまったようです


王城・大広間


 朝から異様な空気でした。


 貴族が集まりすぎています。


「何かございますの?」


 侍女に尋ねると、困った顔で答えました。


「……本日、王命が下ります」


 嫌な予感しかしません。


 やがて。


 王太子殿下が壇上へ立ちました。


「王命を伝える」


 静寂。


「王位継承者カイル・グレイの安全確保のため」


 嫌な予感、的中。


「レティシア・フォン・アルヴェインとの婚約を――」


 一拍。


「国家正式婚約として認定する」




 ……はい?




 広間が爆発しました。


「正式!?」


「偽装ではなかったのか!?」


「アルヴェイン公爵家が後ろ盾に!?」


 違います。


 わたくしも今知りました。




「異議あり!」


 貴族の一人が叫ぶ。


「平民出身との婚姻など前例が!」


 王太子が淡々と言う。


「王族同士の婚約だ。問題ない」


 終了。


 議論、即死。




 視線がカイル様へ。


 彼は固まっていました。


「……事前相談、ありました?」


「ございませんわ」


 小声で会話。


「逃げます?」


「無理ですわね」


 完全包囲。




 王太子殿下が微笑みました。


 絶対楽しんでいます。




――王城回廊


「申し訳ありません」


 人払い後、彼が頭を下げました。


「なぜ謝りますの」


「あなたの人生を縛った」


 真剣すぎる声。


 だから。


「では解消なさいます?」


 少し意地悪に聞く。


 彼は即答しました。


「しません」


 ……早すぎます。




 沈黙。


 彼自身も驚いた顔。


「……あ」


 気づいたらしい。


 わたくしは笑ってしまいました。




 その瞬間。


 爆音。


 窓ガラスが砕け散りました。




「襲撃!!」


 鐘が乱打されます。


 今までで最大規模。


 中庭から煙。


 兵士の叫び。


「内通者多数!」


 つまり。


 王城そのものが戦場。




 カイル様の顔が完全に騎士へ変わる。


「離れないでください」


 手を取られる。


 強く。


 迷いなく。




 回廊を進む途中。


 倒れた兵士。


 毒。


 十年前と同じ手口。


「狙いは継承者だけじゃない」


 彼が呟く。


「……あなたもだ」




 暗殺者が現れる。


 数が多い。


 囲まれました。


「後ろへ」


 彼が前に出る。


 ですが次の瞬間。


 背後から刃。


 死角。


 間に合わない。




 気づけば。


 わたくしが動いていました。


「危ない!」


 彼を押す。


 刃が肩をかすめる。


 熱。


 痛み。


 床が近づく。




「レティシア!」


 初めて名前を叫ばれました。


 敬称なし。


 余裕ゼロの声。




 空気が変わる。


 彼の瞳。


 灰色が、淡く光りました。




 一歩。


 踏み出した瞬間。


 圧力。


 暗殺者たちが動けなくなる。


「……下がれ」


 低い声。


 普段の彼ではない。


 王族特有の魔力圧。


 剣が一閃。


 一瞬で制圧。


 誰も近づけない。




 彼が膝をつきました。


「大丈夫ですか」


 震える手。


 今度は守る側ではない。


 必死な人の手。


「少し痛いだけですわ」


 強がると。


 彼の表情が崩れました。


「……もう、守らせてください」


 かすれる声。


「護衛としてじゃない」


 視線が真っ直ぐ。


「婚約者として」




 一方その頃。


 地下通路。


 王弟は報告を受けていました。


「襲撃、進行中です」


「そうか」


 穏やかな声。


「彼は覚醒したかな?」


「……覚醒?」


 王弟は微笑む。


「王とは血ではない」


 静かな確信。


「選択だ」


 窓の外を見上げる。


「守るために力を使う者か」


 一拍。


「守るものを捨てて国を救う者か」


 目を細める。


「彼がどちらを選ぶかで、この国の未来が決まる」




王城医務室、治療後。


 静かな部屋。


 彼が椅子に座ったまま動きません。


「カイル様」


「はい」


「そんな顔をなさらないで」


 少し迷って。


「婚約、嫌ではありませんわ」


 沈黙。


 彼の呼吸が止まる。


「……それは」


「国家命令だからではなく」


 視線を合わせる。


「わたくし自身の意思として」




 彼がゆっくり立ち上がる。


 距離が縮まる。


「では」


 静かな声。


「俺も訂正します」


 手を取られる。


「もう偽装ではありません」






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