第二十二話 幸せ空間にはならない
「君たちは中々素質があると私は思っている。」
「それは嬉しい言葉だな。」
なんて会話をしているが絶賛チョコ狂いの暴走の途中である。
中々止まってくれないが逆にここでチョコを追加すれば止められるんじゃないか。
「いけチョコレート。」
チョコをマルスの足元に串刺す。
マルスはチョコに目を奪われ地面に足を捕られた。
つまり僕は吹っ飛んだ。
ガシッ
地面に叩きつけられると思っていたが着地は硬いものではなく柔らかいものだった。
「勇敢か無謀か、考え無しかは分からないが中々に変わっているな君は。」
「ナ、ナイスキャッチ・・・。」
いつの間にか前を行っていたキーラに受け止められた。
とてもいい匂いがする。
ありがとうマルス。
だが少しくらい落ち着いてくれ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なるほど、ただ振り回されていただけ・・・か。マルスらしいな。」
「やる気に満ち溢れていることには変わりないと思うけど。」
溢れすぎている気がしないでもない。
「そしてレイメイの能力でさらに暴れると。まずはその所を訓練しないとな。」
「何でそこまでしてくれるんだ?ありがたいことには変わらないけどさ。」
言ってしまえば僕たちは敵同士。
情報の探り合いをするのはあるかもしれないが、ぶっちゃけ僕はドの素人だ。
「ただ気に入っただけだよ。そのマルスに乗ってしかも飛ばせるなんて大口叩ける奴は君くらいだ。」
正直まだ思い入れが無いから簡単に言っているだけだ。
明日にもなれば考えは変わっているだろう。
僕はそういう人間だ。
「正直具体的なことは何もわからない状態なんだけどな。」
「あぁわかっている。だから君を一人の選手になるまでぐらいまでは手伝おうと思ってね。」
ありがたいことこの上ない。
聖人なんだろうかこの人は。
この世界は優しい人で溢れているな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ほらっ!もっとしっかり手綱を握って!」
「お、おっす。」
めちゃくちゃスパルタだ。
だがハチャメチャでは無い。
正直きつい訳だがシュリットさんの時よりは遥かにマシな気がする。
「はぁぁ!」
「うわっ!」
キーラのグァーグリュに思い切り突進された。
マルスはなんともないようだが僕は衝撃に耐えられず落っこちる。
「この通りグァーグリュのぶつかり合いも試合になれば起きることだ。それに・・・。」
キーラがこっちに手を向ける。
当然何かしてくるのだろう。
十中八九能力に決まっているが。
「はぁ!」
「うげぇっ。」
手から何かが発射された。
その何かは僕の体に当たって砕けて消えた。
土のようなものか、いやそれにしては痛くはない。
驚きはするけど。
「今のは道具屋で売っているモンスターなどに使う罠の一部だ。本番ならこんな弱々しい攻撃なんて飛んでこないと思った方がいい。」
それはそうだ。
じゃなきゃただの鳥のレースだ。
僕達は乗る必要なんてないからな。
実は結構このグァーグリュレース、それなりに自信がある。
というより僕の能力が最大限に発揮できる場がこれだと考えている。
撃ってよし守ってよしの変幻自在のチョコレートなら対応の仕方は色々あるはずだ。
「能力に関しては冒険者のレイメイの方が詳しそうだ。ならやはりマルスを徹底的に乗りこなさなくては行けないな。」
「もちろんだ。」
僕は大会までの間にこのマルスを乗りこなさなくては行けない。
お読みいただきありがとうございます。




