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第二十三話 そして冒険

「で、そんなこんなで今その状態なんだね。」

「まあそういうことだな。」


 再び研究部のみんなと合流する。

 皆僕がマルスに乗って特訓している間依頼を受けているようだった。


「結局操れるようになったんすか。」

「そう簡単じゃないんだよ、と言いたいけどまあそこそこは行けるんじゃないか?」

「まったくそうは見えないけど。」


 出会った当初に比べれば大分マシになっているはずだ。


「まあとりあえず上達してきてるってことで霊明くんも依頼・・・行く?」


 部長が一枚の紙を見せてくる。


「何々、ほうモンスター狩りか。僕らにしては珍しい依頼でのモンスター狩りになるな。」

「その通り、そして報酬の高さからして相当えげつなさそうだよ。」

「え?」


 もう一度依頼の紙を見る。

 そこには今までの依頼で得ていた報酬の倍以上のものが用意されていた。


「まあ元々そこまで難しい依頼は取らなかったからそれだけ高く見えるだけかもね。」

「部長さんは相変わらずポジティブシンキングね。」

「ピンチの時こそ成長できるチャンスだよ。」


 どっかの誰かが同じような言葉は言っていたような気がする。


「初めてだけど何とかなるような気がするし、行こう久々に。」

「決まりだね。じゃあ早速行こう。」

「そうと決まれば早速マルスに乗っていこうぜ。」


 自信満々に発破をかけるように叩いて見せる。

 当然暴れるが僕もそれにつられるように暴れてしまえばいい。


「その心配はないわ。はあああ!じゃあっ。」

「え?うっ。」


 虚子が自分を強化して憂妃那を抱えて猛ダッシュした。

 その様を遠くから見ていたら完全に人間の動きじゃない。


「恐ろしい・・・。」

「本人に行ったらキレそうだよ霊明くん。私は乗せてもらおうかな。」

「部長が言わなかったら良いんだよ。よしじゃあしっかり捕まってくれ。」


 部長を背中に乗せていざ出発!


 と行きたいがマルスをそこまで操れていない僕には出来そうもない。

 なので無理やりやる気を出してもらうことにする。


「部長、本当にしっかり捕まっていてくれよ。」

「そんなにやばいの?今からでも降りようかな・・・・・。」


 もう遅い。


「うおおおおおおおおおおおおおおおお。」

「うひいいいいいいいいいいいいいいい。」

「なっ?」


 あっという間に虚子たちに追いついてしまった。

 というよりもう接敵していたようだった。


「ちょっとどこまで行くの?」

「簡単に止めさせてもらえると思ったら大間違いだな。」

「じゃあこのまま一騎当千スタイルでモンスター討伐だねっ。」

「あぁ。」


 部長と僕を乗せたままただただ走り抜けるマルスをチョコでうまく誘導する。

 そしてマルスや僕自身もチョコで武装する。


 ここは謂わばレース前哨戦だ。

 しっかり作戦を練る。


「よっしゃ行くぞおおおお。」


 当然そんな脳みそを持ち合わせてるはずもない。


 僕たちは冒険者の中でも脳筋集団だ!


 目標はモンスターただ一体。

 マルスもそれを感じ取ったのかチョコレートハイの影響かはわからないがモンスターの方へ向かう。

 モンスターを見て物怖じしない分やはりこのグァーグリュは優秀だ!

 やはり選んで正解だったな。


「このまま突き進めえ。」

「ってこのままだと真正面すぎるよ!」


 部長の言葉も聞こえないぐらいに風を切ってモンスターに突撃する。


「うおおおおおおお・・・・・どああああああああ。」

「やっぱりいいいいいい。」


 当然ふっ飛ばされた。


「何やってるのよ・・・・・。」

「うっ、な・・・謎の衝撃が頭を駆け巡るっす・・・・・。」


 倒れ転がされながら虚子の冷ややかな目を垣間見る。

 そして憂妃那の方はどんな力で抱えられていたんだろうか。


「私だけテレポートで脱出できたけど大丈夫?」

「まったく問題しかないな。」


 吹っ飛ばされたマルスはとっくに準備万端だ。

 どこまでも直球すぎる性格らしい、脳筋プレイにぴったりだ。


「神雨、次右からの攻撃の気がするっす。」

「分かったわ。今の私の左腕はどんなチョコレートでもぶち壊せるわ。」


 どんな腕だそれは。

 比較対象が僕のチョコレートなのか普通のチョコレートなのか分からない。

 いや現実逃避はよそう。

 これは思いもよらない場所からの衝撃も考えなくては。


 パンッ


 顔をたたいて気合を入れなおす。

 マルスの上に跨り再びモンスターを見据える。

 もういっそのことマルスに任せて補助に回ってしまおう。


「チョコレートを展開・・・マルスを守りつつ強化する。」


 チョコの匂いで完全にマルスがハイになっている。

 このままもう一度突っ込んでもらう。


「虚子!部長!とりあえず突っ込むんでそれまで任せた。」

「無茶言うなあもう。」

「部長さん。」

「何?」

「全力で投げるわね。」

「え、ちょ・・・うひいいいいいいいいい。」


 今日の部長は散々だな。


「さて・・・マルス、行こうぜ。」


 言葉が通じているかは分からないがマルスもモンスターを見据えて助走をする。

 そして一気に加速する。


「うおっ。いきなりこのスピードか。」


 チョコ武装が勢いで剥がれていきそうになる。

 急いで補充する。


「ちょうどいいタイミングなんて用意できないっすね。恐れず突っ込むしかないっす禍々士。」

「部長さんが飛び回ってるんだから早めにね。」


 飛び回ってるというより振り回されているようにしか見えない。

 部長が空気で擦り切れる前にモンスターを狩らないと。


 ザッ・・・

 モンスターの目の前に来た。

 当然マルスは突っ込む。


「前方にチョコレートだ。」


 一羽の鳥がチョコで戦車になっていく。

 これにマルスの突進力を加えれば・・・。


 バキイィィン


 見事にチョコが吹っ飛ぶ。

 そして僕も吹っ飛ぶ。


「おっと。ナイスマルス。」


 着地地点にマルスがいてくれた。

 確かな友情を感じる。


 だったらそれに答えないとな。


 もう一度チョコを作り出す。

 積み重ねてミルフィーユのように固くしていく。


「今度はバッチリだ。」


「行こう。」


 マルスが声にこたえるように走り出す。

 軽く羽ばたいているような気がしないでもない。


「今度は壊しきることは出来ないチョコだ。」


 マルスが突撃する。


 ガキイイイン


 マルスはただ走っていく。

 目の前にあるチョコに釣られながら。


「ちょちょっと霊明くん。どこ行く気!?モンスター倒したんだよ。


 僕たちは勝利に酔いしれながらただ真っ直ぐに走っていく。


「・・・思ったんすけど、禍々士の能力使った後めちゃくちゃチョコの匂いするっすね。」

「そのうち慣れるわ。・・・いややっぱり甘ったるいわ!!!」


 チョコレートの匂いに包まれながら僕とマルスの初戦闘が終わる。

お読みいただきありがとうございます

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