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crown taker  作者: 九JACK
慌てない慌てない、一休み一休み
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118/125

第118話「情報量!!」

 合唱曲ってことは……

「まさかあなたがHITOKATAeyesのayさん!?」

「あれ、ローと同じ制服……っていうか、よく知ってるね。黒輝山にはayの名義でしか送ってないのに」

「そもそもHITOKATAeyesの曲なんだからそれは気づくでしょうよ」

「ま、ニーノが通したんなら隠すこともないか。HITOKATAeyesのayです。ローとは友達で……ああ、きみがローの友達の超能力者くん? あたしも超能力者なの。[超律者(フェイト)]って能力でね。あ、HITOKATAeyes知ってるんなら、他メンバーも紹介しようか? HITOMIもReiもカタタも[空の街]に住んでるよ」

「いや、情報量!!」

 ここにいたのが佐竹だったら気絶しているレベルの情報過多。HITOKATAeyesって全員が訳アリなわけ!?

 それに情報屋リーンズと親しげなのもなんか怪しいし。

 っていうか[超律者(フェイト)]って初めて聞いたな。HITOKATAeyesのスタンスと何か関係あるのだろうか。まさか四人全員が超能力者ってわけじゃ……

 ええと、それよりもまず……

「サインください」

 俺は鞄に謎に入っていたスケッチブックを出してお辞儀をしていた。


 閑話休題。

 俺たちは[空の街]の喫茶店に来ていた。異空間隔離街にお店あるんだってびっくりしていた。

 リーンズによると、さすがに異空間創造能力でも食べ物は作れないらしい。水がぎりぎりできるのだとか。水が出せるだけでもすごいとは思うけどね。

 で、夢先生から許可証をもらっている人は[空の街]出入り自由なので、外から食べ物を仕入れて、こうして店を出して振る舞っているのだという。

 ちなみに、おしゃんな街灯とかあるな、と思ったら、電力はカーネーション女史現役時代の発明で、余剰波長や強制力(フォーシング)を電力に変えて電気にしてるんだと。すごい発明だ。

 だが、これを世に広めると、超能力者がエネルギー源として狩られる可能性があるため、[空の街]の中でだけ使っているらしい。

 そんなことを部外者の俺に話していいのか? と聞いたら、リーンズと倉伊がにっこにこで「信じてるからね」と言ってきたので怖かった。変な気を起こしたりしないから、マジで圧かけるのヤメテ。特に倉伊の圧やべーから。

「それにしたって、まさか夢先生が全部の電力賄ってるわけじゃないでしょう?」

 俺が聞くと、全員がすーっと視線を外す。わかりやすい反応だけれど、ま、マジか……

「カナエは波長量、密度、強制力(フォーシング)、効果範囲が安定して広いらしい。元々の夢を操る能力が強いのと、カナエの才能もあるが」

 葬儀屋が説明してくれた。この人、片目隠してるから全然目が合わないんだけど、要所要所で話に解説入れてくれる。ここ住んで長いんだろうな。

 波長の量と密度か。知実さんにはなかった視点だ。イメージとしては点描が近いのか? 細かい点がたくさん犇めいている感じ。点描って途方のない量の点で描き込むらしいからな。

 それが大きな絵だとしたら、とても小さな点が膨大な量をもって繊細な作品に仕立てているみたいな感じだろう。改めて考えると恐ろしい人だな。同調能力と強制力(フォーシング)だけで超能力を捉えていたけど、これは深そうだ。

 さて、話を戻そう。何故喫茶店に移動したのかというと、リーンズの家だと手狭になるからだった。

「ひゃっひゃじめみゃしちぇっ……HITOKATAeyesのHITOMIれしゅ……っ」

 超人見知り合法ロリ。HITOMIさん。

「あははー、HITOMI緊張しすぎー。どもー、HITOKATAeyesのReiこと澪鈴(レイリン)でーっす」

 ゆるふわ黒ギャル。Reiさん。

「Reiは緩すぎだよ。もっと緊張感持ってよ。本名まで教えることないでしょ! HITOKATAeyesのカタタです」

 ファッションセンス0の眼鏡っ娘。HITOMIさんほどじゃないけどロリ顔かな。ロリ顔だとファッションセンスが絶望的でも許せるもんだな。

 リーンズが肩を竦める。

「相変わらず凸凹してんね。っていうかカタタはどこで服買ってんの? ポップタッチのヤシの木に目玉がついてるの、怖いんだけど」

「目玉がこっち見てるみたいで怖いですね」

「咲原さんもそう思いますよね!?」

 俺の発言にHITOMIさんがテーブルを越えて俺の手を掴んでくる。あれ、人見知りは気のせいか? と思った一秒後に、HITOMIさんはびゃーっと跳び上がった。

「すすす、すびばぜん!! 会って間もない殿方の手に軽々しく触れるなど!!」

「あ、いえ、全然気にしないので」

「責任取って結婚します!!」

「待って待って」

「あ、咲原さん、まだ結婚できる年齢じゃないですよね」

「そこじゃないです」

「脈アリですか!?」

「ないですって!!」

 人見知りとは一体!? こら、倉伊まで笑うな。

「はいはい、HITOMI、その辺にしときな。咲原が困ってるだろ。すまんね、いつもこんな感じなんだ」

 いやはや……HITOMIさんだけでも面白いんだけど、これに謎ファッションセンスの眼鏡っ娘と黒ギャルか……濃いな。

 ayさんが取り纏めてようやく整合性が取れるというのも納得である。

「それにしてもウチらにファンとかマジでいたんね。ウケるー」

 ウケるではない。仮にも社会現象を起こしたアーティストがファンいなくてどうするんだ。

 まあ、そのファンってのも俺じゃないけど。

「咲原くんのお友達? くんのために私たちのサイン欲しいって、咲原くんは友達思いなんですね」

「あ、いえ、そいつとは腐れ縁なだけで。めっちゃ今回の合唱コンクールも張り切ってるんですよ」

「嬉しいです。ありがとうとお伝えくださいね」

 カタタさんはファッションセンス以外はまともそうだな。と思ったら[カタタ]の[タ]を魔改造して人間の目にしてるよ……情報量……

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