笑顔の裏側
放課後。
葉月は昇降口で悠真を待っていた。
「ごめん、待った?」
「ううん」
悠真はいつものように笑っている。
「ちょっと聞きたいことがあってさ」
「何?」
「葉月って、蓮といつも一緒にいるよね」
「うん。幼馴染だから」
「そっか」
悠真は笑った。
「……仲いいんだね」
「まあ、小さい頃から一緒だし」
葉月が何気なく答える。
そのとき。
少し離れたところから蓮が歩いてきた。
「葉月」
「あ、蓮!」
葉月が駆け寄る。
「帰るぞ」
「うん!」
その様子を見た悠真は、黙って二人を見つめていた。
「……なるほど」
小さく呟く。
* * *
帰り道。
「蓮、今日待っててくれたの?」
「別に」
「じゃあ偶然?」
「……そう」
「ふーん」
葉月は嬉しそうに笑った。
蓮はそんな葉月を横目で見る。
「……悠真と何話してた」
「え?」
「放課後」
「蓮のこと聞かれた」
「俺?」
「うん。昔から一緒なのかって」
蓮の表情が少し変わる。
「……何で」
「知らない」
「そっか」
それ以上は聞かなかった。
けれど。
蓮は何となく嫌な予感がしていた。
* * *
その頃。
一人になった悠真は、スマホを取り出した。
画面には、葉月とのメッセージ。
「……蓮が一番嫌がることって、何だろうな」
笑顔が消える。
そして。
「葉月を取られたら……さすがに余裕なくなるよな」
悠真は小さく笑った。
まだ葉月は知らない。
自分が近づいた理由も。
その笑顔の裏側にあるものも。
そして蓮もまだ知らない。
この出会いが。
自分と葉月の関係を、大きく変えることになることを。




