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【聖獣機神ガオガオン】特A級AIエンジニア、最強メカをテイムする〜 ワケありヒロイン達と同乗し、飯テロ無双で無敗の村づくり〜  作者: 月神世一


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EP 3

空戦チューニングと、再びの「純金」の呪い

深夜のポポロ村。

虫の音だけが響く静寂の中、村長宅の庭先では、カタカタカタ……という異常な速度のタイピング音だけが鳴り続けていた。

「くそっ、朱雀スザクウイングの揚力係数が合わない。魔力推進のベクトル制御に0.02秒のラグがある。これじゃあ、ワイバーンの三次元機動ドッグファイトについていけないぞ」

俺は白衣のポケットからハニーかぼちゃのシロップ漬けを取り出し、そのまま口に放り込んで脳に糖分を強制注入した。

目の前には、スリープモードに入っているガオンと、空中に展開された数十枚のホログラムウィンドウ。そこにびっしりと羅列されたのは、航空力学と魔力流体力学を融合させた前人未到の『空戦プログラム(フライト・コントロール・システム)』のソースコードだ。

『……マスター。あまり無茶をするな。我の朱雀ウイングは、本来であれば神の直感で飛ぶもの。人間の論理式で無理やり飛ばそうとするからエラーを吐くのだ』

スリープ状態のまま、ガオンが通信回線越しに気遣う(?)ような言葉をかけてくる。

「神の直感なんて曖昧なブラックボックスで、飛竜500騎と浮遊要塞の弾幕を避けきれるか。俺の演算アルゴリズムですべてを完璧に制御してやる。……よし、メインスラスターの出力調整、完了。次は機体重量と空気抵抗の再計算だ」

順調にコーディングが進んでいた、その時だった。

「あらあら、玲王様。こんな夜更けまでお仕事ですか? 夜風が冷え込みますわよ」

ふわりと、甘い花の香りが漂ってきた。

振り返ると、ネグリジェの上にショールを羽織ったルナが、お盆に温かい『陽薬草茶』と世界樹の果物を乗せて立っていた。

「ルナか。悪いな、差し入れ。でも、もう少しで空力計算が終わるからそこに置いといてくれ」

「ふふっ、本当に熱心ですのね。……でも、鉄のライオンさんも冷たい夜露に濡れて、なんだか寒そうですわ」

ルナが、小首を傾げてガオンの背中に装備された巨大な『朱雀ウイング』を見つめた。

嫌な予感がした。俺のAI的直感が、けたたましいアラートを鳴らす。

「待てルナ。お前、まさか……」

「わたくし、ちょっとだけお手伝いさせていただきますわ♪ 暖かく、そして神々しくして差し上げますわね! 【黄金錬成ゴールド・コンバージョン】!!」

ルナが優雅に世界樹の杖を振るった瞬間——ピカァァァァンッ!!

深夜の村を真昼のように照らす神々しい光が弾け、ガオンの背中に装着されていた朱雀ウイングが、眩いばかりの『純度100%の純金』へと変換された。

ズガァァァァァァンッ!!!

「ぎゃあっ!?」

『グ、ガァァ!? ま、またかァァァッ!! 翼が……重ォォォい!!』

圧倒的な質量増。純金の塊と化した巨大な翼が、ガオンの機体を押し潰すように地面へとめり込ませる。庭の土が深くえぐれ、ガオンは腹這いの状態でピクピクと痙攣していた。

「バカ野郎ォォォッ!! 航空機で一番やっちゃいけないのが重量増ペイロード・オーバーだろ!! ただでさえ揚力計算がシビアなのに、純金仕様の翼で飛べるわけねえだろうが!!」

俺は頭を抱え、文字通り血の涙を流さんばかりの絶叫を上げた。

「えっ? でも、ピカピカでとっても綺麗ですし、純金なら保温効果も……」

「飛ばなきゃ意味ねえんだよ!! お前の善意は、いつだって致命的なシステムクラッシュを引き起こすんだ!!」

俺の怒声に、ルナは「うふふ、照れますわ♪」と的外れな笑顔を返してくる。

終わった。徹夜で組んだ空力パラメーターが、すべてゴミ箱行き(デリート)になった。

「……クソが。こうなったら意地でも飛ばしてやる。推力偏向ノズルの出力を限界突破させて、純金の自重ごと無理やり空に押し上げてやる!!」

俺は白目を剥きながら、キーボードを破壊する勢いでタイピングを再開した。

航空力学を完全に無視した、魔力による『暴力的な力技(ゴリ押し)』のプログラミング。特A級エンジニアの真夜中のデスマーチは、さらに過酷なステージへと突入した。

翌朝。

ポポロ村は、決戦を前にして奇妙な静けさに包まれていた。

一方、ルナミス帝国との国境付近にある小さな交番の前では、信じられない光景が繰り広げられていた。

「シュッ! シュッ! シュッ! シュッ!」

人魚姫リーザが、凄まじいスピードで交番の入り口前を反復横跳びしているのだ。

「お、おい君! さっきからそこで何をしている! 不審だぞ!」

当直の警備兵が、顔を引きつらせて声をかける。

「シュッ! 私は! シュッ! 絶対無敵の! シュッ! アイドルですぅ!! シュッ!」

「いや、アイドルが交番の前で反復横跳びなんかしないだろ! いい加減にしろ、中に入って事情を聴くぞ!」

「計画通りですぅ!!」

リーザはガッツポーズをして、意気揚々と取調室へ連行されていった。

数分後。彼女の前には、ホカホカの湯気を立てる『カツ丼』が置かれていた。

「……君、お腹空いてるのか?」

「はいですぅ! 交番で粘ればカツ丼が出てくると、ルナミスの先輩ホームレスに聞きましたぅ! いただきますぅ!!」

リーザは涙を流しながらカツ丼をかき込んでいる。

(※彼女なりの、決戦前の『タダ活』によるスタミナチャージである。交番の兵士はあまりの不憫さに自腹を切っていた)

「ぷはぁっ! ごちそうさまでしたぅ! これで今日も元気に歌えますぅ!」

リーザが満面の笑みで交番から出てきた時——ふと、空の異変に気がついた。

「……あれ? さっきまで晴れてたのに、雲が……黒い?」

ポポロ村の方角、その遥か上空。

太陽の光を遮るように、巨大な真っ黒い雲が広がってきていた。

いや、それは雲ではない。

バサバサバサバサ……!!

空を覆い尽くすほどの、無数の翼。

ルナミス帝国が誇る『飛竜ワイバーン騎士団』500騎。

そして、その後方には——雲を突き破るようにして、巨大な岩と鋼鉄が組み合わさった、城ほどの大きさを持つ要塞が浮かび上がってきていた。

邪神の遺物、浮遊要塞魔将機『バベル』。

「……え、エンジニア様ぁーっ!! アンチが来ちゃいましたぅぅ!!」

リーザの悲鳴が、国境の荒野にこだまする。

傲慢な腐敗貴族の怒りと欲望を乗せた絶望の軍団が、ついにポポロ村へとその巨大な影を落とし始めた。

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