↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫の花  作者: トムとゼリーwith五目御飯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/30

第28話 本当の決戦

「足利流星、お前は私にとっても厄介な奴だった。私の社会を崩壊させる計画を邪魔するんだもん。」

「当然だ、俺自身邪魔しているつもりだったからな。」

「あんたに超能力を与える事ができれば簡単に殺せたんだけどねー…。」

「・・・・」

「足利、あんたは自分は他の能力者達とは違うと思っているみたいだけど、あんたもあんたが敵対してきた能力者達も根本は同じだよ。あんたは元々は普通の人間として普通に生活を送ってきた、ごく普通の人間だった。じゃあどうしてあんたは全ての超能力者に勝てたと思う?」

「・・・・」

「超能力のような力があれば犯罪に使う事が人間の本質。あんたも同じで怒りによる暴力衝動を抑える事ができない。人間の本能とも言える暴力衝動があんたは人一倍強かったんだよ。あんたは誰かのために戦っているつもりで生きてきたんだろうけど、結局は大事な人を殺された私怨から逃れられなかっただけ。これまでの戦いを振り返ればわかるはずだよ。あんたはその意地と怒りを力に変え未知の能力を相手にしても勝ち続けられた。超能力を過信した人間達よりよっぽど恐ろしいと思わない?例え平凡な人間でも感情のコントロールさえ失えばいくらでも他人を傷つける事ができる。それが全ての人間に秘められた負の力。足利流星、あんたは正義でもなんでもない。力に酔った狂人なんだよ。まあ、それでもあんたが厄介だったのは事実だけどね。超能力を生理的に拒絶している長島はともかく、柿原おせちは殺そうと思えばいつでもできた。ただ周りの人間が死ぬたびに本質を覚醒させるあんたの特性が面倒だからやらなかっただけ。」

「俺の事どう言おうが知った事じゃない、俺は俺の信じた事を貫くだけだ。」

「相変わらず気持ちが悪いね、もしかして漫画の主人公にでもなってるつもり?じゃないとこんなヒーローの猿真似しないよね。」

足利は黙って構えた。

「そう、自信があるんだ。あんたを殺すのなんて簡単だから少しだけ戦っても良いよ。」


品野が言い終わると同時に足利は距離を数センチまで一気に積めた。

「速いね、地面の蹴り方や呼吸の使い方も地球の勝手が違うのに。私があんたへの恨み喋ってる間にこの空間の特性を理解したんだ。」

足利はパンチの連打を繰り出した、空気抵抗がない分その回転力は遥かに速い。

しかし全てのパンチが品野を通り抜ける。

「・・・・・」

足利は片手を伸ばした状態で動きを止めた。

すると品野は急いで後ろへ焼けた。

「あっぶな!この能力は動いている物体の運動エネルギーを利用して体を原子分解して再構成してたの。通り抜けたまま手を止めちゃえばダメージを与えられるってよく気づいたね。気づくまで2秒くらいだったかな?」

足利はパンチやキックを繰り返して何度も攻撃をするが全て避けられてしまう。

足利は少し焦りを感じていた。

「あはは!気づいた?何も能力使わなくたってあんたの格闘術避けるの簡単なんだよ!」

足利の連続蹴りを全て素手でいなし、足利の鼻をパンチした。

「ぐはっ!!!」

足利の体は後方へ飛ばされ、倒れた。

「なんだこの強さは…運動能力が体格に合ってないし反射神経も高校生の年齢ではありえないほど研ぎ澄まされてる…人間を超越してやがる!」

足利は立ち上がる。

品野は両手両足から炎を出した。

「父さんの能力!?」

「ちょっと反撃。」

品野は火を纏った手足でパンチとキックを繰り返した。

足利がこれまで戦った誰よりも強い腕力と脚力に加え炎の浮上する力が加えられてさらに速いスピードを持ち、足利は避けるのに必死だった。

この空間に酸素はないがまた別の他者から奪った酸素を生成する能力により炎の発生を可能としているのだ。

そしてパンチが1発足利の脇腹を貫き、骨折した。

大抵の痛みには慣れた足利でもそのあまりのパンチの強さに根を上げた。そしてそのパンチを喰らった反動で長く距離を取った。

だが一瞬でその距離は詰められる。

「距離を離して時間を稼ごうと思ったのかな?でも私瞬間移動できるから関係ないんだよね。」

足利の背中が見えない力によって抑えつけられた。

そして品野の炎の連打が足利の身体に降り注ぐ、後ろへ飛ぶ事も倒れる事も許されない。反撃の隙も与えられない。そして品野は炎を爪の形に変形させ高熱の炎の爪で引っ掻き出す。

「どう?嫌な気分でしょ!?きゃははははは!!!」

「う、うおおおおおお!!!」

品野は足利の首を掴み、もう片方の手を足利の口元に持ってきて火炎放射をした。足利の内臓全てを行き渡るように体が焼かれる。叫ぶ事も許されない。

だが、足利の体はそれよりも早く回復した、そして品野を殴り飛ばした。

「くっ…、この程度じゃその力相手じゃ死なないんだ。」

足利は全力で品野との距離を再び詰め、パンチを連打する。しかし全て通り抜ける。

「だからそれ効かないって。」

品野は手を伸ばすとそこで動きを止めた。

「この能力、こんな事もできるんだよ。」

品野の体の透過が解除され足利の体が貫かれた。

「うっ…!!」

品野は腕を引き抜いた。

「あーもう飽きた。そろそろいっか。」

「な…に…」

「もしかしてさぁ、物理攻撃じゃ死なないから諦めずに戦えばなんとかなると思ってなかった?でも気づいてないでしょ、私まだ自分自身の能力は一度も使ってないよ。」

「え?」

「言っとくけど他人に能力を与えたりするのは意志のある宇宙の力、私自身の能力は別にあるの。」

品野は倒れている足利に視線を合わせるためにしゃがみ込む。

「あんたさぁ、今でも自分が正しいって思ってるでしょ?そして私のしてきた事は間違ってるって考えてる。いくら言ったってその気持ちは揺るがないよね?」

「・・・・・」

「私がこれまでしてきた経験を全て知れば、その考えは変わると思うよ。考えが変わる前に何か言いたい事ある?」

「な、何言ってんだお前…」

「時間切れ、はい。」

「う、うわあああああああああああああああ!!!!」

足利の悲痛な叫びが空間を響き渡る。

「私の今までの記憶全てあんたに埋め込んだ、自分の記憶を相手の脳に複製して刷り込む、それが私の能力。こうやって使えば相手の自我を破壊できる。デメリットといえば私の記憶が全て見られる事だけど、そんなもん別の自我が自分に入り込む苦痛を与えられるんだから些細な問題だよねー。」

「う…あ…」

「私がこれまでしてきた経験を見れば人間を憎みたくなる気持ちがわかるでしょ?どう?思い知った?」

「う…う…そ、そうか…俺のしてきた事は…間違い…だったんだ…。」

「そう、全部間違い。よかったねー気づけて。」

足利の体はノイズが走ったように透け、消えかかり始めた。

「あんたの自我と私の自我がぐちゃぐちゃに混ざり合って、しばらくすればあんたの脳から自我が消える。この空間では自我がないと形を保つ事はできない。だからここに連れてこられた時点であんたの死は確定してたの。」

足利は何も言わない。

「あんたが完全に消滅するのを見届けたら柿原おせちを殺す、長島にも私の自我を流し込めば簡単に死ぬでしょ。まああんたは頑固だからしばらく苦しむだろうけど。」

足利は完全に戦意を失い、全ての抵抗をやめた。

「ばいばい、足利流星。」


足利は自我が消えかかる中で、その思考は脳の深く奥へと閉じ込められた。そして消えかかる寸前、夢を見ていた。足利のその心の目には、本来自分が生きたかった人生が映っていた。


「ねえ、足利くん!おーい、足利くーん!!」


「うわっ!!」

気がつくとそこは教室の中で、目の前に宇月が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。