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姫の花  作者: トムとゼリーwith五目御飯


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第21話 今に至るまで 後編

田口は無事に逮捕された、顔面は骨折し肋骨も粉砕されていたが快楽殺人犯であった上に超能力者であった事が考慮され、また長島の説得でなんとか足利は無罪で済んだ。

それから足利は探偵業をしながら他にも能力者を追うも手こずっている刑事達の手伝いを長島と共にし数々の超能力事件を解決していった。

それから足利の行動は警視庁に認められ特別に能力者相手に戦闘することを許可されたのだった。


「へえー、池上茂夫を倒した事と能力者を捕まえる権利は別だったんですね。」

「まあね、それからある程度警視庁の方も超能力者への対策も進んで俺は個人行動に戻ったんだけどね。もちろん時々手伝いに行くこともあったけど。」

「不死身の力ってその時点ではまだなんですよね?生身でよく戦い抜いてましたね。」

「力を手にするのはもうちょっと後なんだが、実を言うと警視庁に認められた時点では俺の体にはかなりガタが来てたんだ。肩が外れるのはクセになってたし骨にヒビが入っていない時なんてなかったよ。」

「痛そ…」

「そしてこの力を得たのは長島さんと共に警視庁の作戦に参加していた時だったんだ、池上透が姿を消して組織を使って武器の密輸を繰り返している情報を手に入れてその手下のアジトに突入する作戦を行なっている時だった。」


「俺は前線で待機している時に背後から敵が来ていることに気が付かなかったんだ。」


「俺は背後から敵にナイフで喉を掻っ切られた。」


「もちろん呼吸はできなくなって倒れた、空気を吸っても吐いても呼吸ができず、とにかく苦しかった。」


「とうとう本当に殺されてしまうのか、そう思った。」


「だが苦しいのになかなか意識は消えなかった、死ぬ瞬間に時間を止められたような感覚で、その死の瞬間はとても長く感じた。体感では60分のようにも100年間のようにも感じた。」


「長い苦しみが終わったと思うと俺はどこか綺麗な原っぱに寝転んでいた、そしてそこには倒れた俺を覗き込む宇月の姿があったんだ。」


「夢か幻か、目の前に宇月がいるという事実に困惑して何か話していたようだが俺は何も聞き取れなかった。もしかしたらその時はちゃんと会話できていたのかもしれないが今ではよく覚えていない。というより思い出せない。」


「そもそも宇月は俺にも話しかけていたが、俺以外の誰かとも喋っているように見えた。」


「ボーッとする意識の中で宇月の顔を見ていると、気がついたら景色は変わって星一つない夜空が浮かんでいた。意識を取り戻したんだ。」


「俺は時間をかけてそれに気がついて、それまでの状況を思い出して立ち上がった。」


「すると目の前に俺を刺した奴が背を向けて去ろうとしていた。」


「俺が声をかけると、そいつは驚いていた。」


「ふと首を撫でると、傷は綺麗さっぱり消えていた。もちろん呼吸も普通にできた。」


「そいつにまたナイフで刺されたが傷はすぐに塞がれた。そいつは全力で俺に攻撃したがいくら攻撃しても俺の負傷は一瞬で治った。それを利用してそいつを倒した、それが俺がこの力を使った最初の戦闘だった。」


「結局あの時に見た宇月の姿がなんだったのかはよくわからない、だけどこの力は宇月が俺に与えてくれた力だと俺は信じてる。」


「というわけだ。それから俺はとにかく経験を重ねて超能力が相手でも張り合えるようになった。そして操作をしていくうちに記憶を失う前のおせちと出会ってこの街に超能力の原因があるらしいことを知ってこの街に来たんだ。それからは君の知る通り。」

「うわぁ…。いい話ですね…。」

「超能力犯罪者達とは何人も戦ったし、池上に従う組織ともかなりやりあった。直接でなくとも何かとあいつに苦しめられてきたし、総理大臣を辞任するきっかけを作った俺をあいつも恨んでいるはず。そして明日この長い因縁に決着をつけにいく。」

「…ありがとうございます、お話を聞かせていただいて。」

「むしろ今までちゃんと事情を話せなくて悪かった。」

「…じゃあ、そろそろ俺は明日の準備をしてくる。ありがとう付き合ってくれて。」

「いえいえ、絶対に帰ってきてください、俺待ってます。」

「おう。」

足利は拳を握ってみせた。


長島は妻と娘の墓の前に立っていた。

「…行ってきます。」


「足利さん…!」

事務所で決戦の支度をする足利におせちは話しかけた。

「ん?」

「明日、気をつけてね。」

「安心しろ、絶対に勝ってお前をお父さんとお母さんに会わせてやる。」

「でもお父さんって、今どこにいるのかわからないんでしょ?」

「絶対に居場所を吐かせてやる。」

「でも…。」

「大丈夫。」

「…うん、本当に、本当に気をつけてね!!」

足利はサムズアップをして見せた。

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