第14話 再来
「池上が言っていた、次の刺客はあいつの差し金ではないという言葉。あの言葉がなくともあらかた予想はついていた…。」
足利は野比を睨みつける。
「待っていたぜ、Y.R.P.野比。」
「私の前に自ら姿を表すとは、自殺も同義。」
「色々な政治家に雇われていたであろうお前が逮捕されれば汚職が明らかになる、だからお前が政治家の手によって解放され逮捕のきっかけを作った俺の元に政府の誰かから雇われたんだな?この事を織り込み済みで池上はお前を俺の元によこしたわけだ。そもそも殺しなんかでご飯を食ってるお前が自分の能力の弱点を晒すのも不自然極まりない。」
「お前はあの時から私がわざとやられてる可能性に気がついていた、しかし手加減されているとわかってもお前は私を倒さざるを得なかった。なぜならそばに柿原おせちがいたからだ。彼女がそばにいれば私に殺される可能性は高いわけだからな。」
「今度は無関係の一般人でも人質に取るか?」
「私は無駄な殺しはしない。」
緊張した空気が部屋を流れる。
「ここはおせちの部屋だ、やるなら屋上にしないか。」
「彼女も死ぬのだから関係ないだろう。」
「俺は負けない、おせちも殺させない、お前も殺さない。」
「ならばお前がこれまで巻き込んできた人間はどうなんだ?」
「まずお前達のような力を悪用する人間が反省するべきだ。」
「責任転嫁か、話は終わりだ。」
野比は金属の装飾が施された大げさな注射器を取り出し構えた。
「私の能力は確かに衝撃を肉体が認識する必要がある、だがそれを痛みとする必要性はない。これは私のために特殊配合された鎮痛剤だ。」
注射器を腕に刺した。
「これで戦闘機に追突されても痛みもなく返り討ちにできる。お前に私を倒す術はない。」
そういうと足利に襲い掛かった、足利よりも鋭いパンチを連続されるが足利は全て華麗に避けてみせた。
「少しは鍛えてきたようだな。」
足利は普段のトレーニングはいつどんな敵が相手でも倒せるよう総合的な訓練をしているのだが、この数日間に限っては野比の再来を危惧して野比対策のトレーニングに絞っていたのだ。
そして足利はコートから災害用の超強力LED懐中電灯を両手に掴み野比の眼球を照らした。野比は仰け反り反射的に後ろに下がった、そしてすかさず足利が事前に仕掛けていた大音量のスピーカーを最大音量で雑音を流した。
肉体への攻撃がダメなら視覚や聴覚への攻撃しかないと足利は考えたのだ。しかし懐中電灯とスピーカーは破壊された。
「くだらん。」
「光や音でも肉体に影響を及ぼすレベルなら衝撃と判断されるわけか、だが不快感を感じていたあたり目や耳には鎮痛剤の効果はないようだな!!」
足利は予備の懐中電灯を取り出しまた野比の目に押し付けた。
懐中電灯は破壊されるが破壊まで時間差があるため野比の目は眩んでいた。その僅かな隙をつき足利は野比を部屋の外の廊下へ投げ飛ばした。
足利は野比をなんとか屋上へ誘導した、しかし足利は押されていた。足利の肋骨は負傷し頭部をはじめとした全身から出血が止まらなかった。
「そろそろ終わらせるぞ。お前を殺し柿原おせちを探し出す。」
「くっ…!!」
いくら対策を取ったとはいえたった数日で足利と野比の戦闘能力の差を埋める事は難しかった。ただそれはあくまで戦闘能力についてである。足利は野比の隙をつき野比の眼鏡を取り外し地面に叩きつけぐりぐりと踏み潰した。
「…!!」
野比は足利に飛びかかるも足利は野比の両肩を掴み野比の頭上を半回転して背後に周った。野比が振り向くと足利は握った手を離し大量の髪の毛を地面へ落とした。野比に気づかれないよう髪の毛を抜いたのだ。この程度の接触では衝撃と判断されず破壊されないのだ。
「…言っておくがそんなくだらない手で私が動揺すると思うな。」
「あーあ反応しちゃったか。効いてる証拠だ。無視だったら別の手を使うつもりだったんだけどな。効いちゃったか。」
「…。」
野比は顔色を変えない。
足利は殴りにきた野比を後方へ受け流した。
野比は即座に方向転換しようとすると足元が狂いまえに転んだ。
野比は受け身を取ろうと一度地面に手をつこうとした。顔を床に近づけた途端爆発が起きた。
「ぬおっ!」
野比はびっくりし受け身に失敗し転んでしまった。
足利が仕掛けた爆竹が地面をつたい柵に仕掛けた花火に引火する、そして野比の顔に火花が飛びそれを避ける。
屈んだ体制から足利に視線を合わせるとまた眼球に懐中電灯を照らされる、懐中電灯が破壊されると足利に飛びかかろうとするが再び転んでしまった。
野比は足元を確認すると靴紐が解けていた事に気がつく。
そらを察した足利は高らかに笑い出した。
「ふははははは!!今更気がついたのか?3階にいた時点で既にほどけてたぞ?」
「足利…うっ!!」
野比が足利の顔を見ようとするとまた懐中電灯。
足利は野比の頭に足を乗せゆっくりと地面につけ足の裏を擦り付けた。
「全部靴紐を解いたことに気づかせないための仕掛けだったんだぜ。」
野比は足利の足を払い除け頭を上げる前に手を突き出した、しかし足利の手に懐中電灯はない。
「ざ、ん、ね〜ん!懐中電灯はさっきので最後だ。」
野比が足利の顔を見ると足利は野比の顔面をパンチした。
野比は痛みはないが殴られた事は認識できた。
そしてすかさずパンチを連続され殴り飛ばされる野比。
野比からは鼻血が出ていた、超能力者ゆえ身体は通常の人間より頑丈にできているが鍛えている足利のパンチにより鼻は折られたのだ。野比は足利の拳を確認するが、足利の拳は破壊されていなかった。
「馬鹿な!」
足利はもう一度顔面パンチ。
「ふぐ!!どういう事だ!!」
足利はさらに顔面パンチ。
「確かに俺に超能力はない、初めてお前と戦った時、俺はお前に勝てないと思った。」
野比は鼻で笑った。
「俺だけの力でお前を倒せなかった、だが俺はあの時大前提を忘れていた。お前が超能力者であるという事を!!」
「あぁ?」
「超能力は使う人間の精神面に大きく左右される!精神が不安定になれば能力は発動できない!俺はお前が動揺するのを待っていたんだ。目つきを見ればお前の精神が弱ったかどうかすぐに判断できた。」
野比の顔から少しだけ怒りが見えてきた。
野比は警察官をやめてから殺し屋に転身したという、警察をやめてから殺し屋をやっておりなおかつ超能力に飲まれた人間の肝が座っているはずがないと足利は考えたのだ。
「どうだ?殴られるはずのない相手に殴られた気分は??うひひひひひ!!」
はたまた顔面パンチ、野比はよろけた。
「貴様…そんな卑怯でくだらない、ふざけた手を使ってプライドはないのか?」
野比は足利をぶん殴る、足利もよろける。
「プライド?」
ふざけていた足利の顔が引き締まる。
「俺は知っている、超能力によってどれだけの人間が殺されてきたか。苦しめられてきたか。この2年間俺は超能力犯罪に立ち向かってきた。口にも出したくないような悍ましい使い方をする奴も何人もいた。俺のせいで巻き込んでしまった人もいた。」
足利は野比をさらに睨みつけた。
「だから!お前のような大量殺人鬼を!超能力を人を傷つけるために使う人間を絶対に許さない!どんな卑怯な手を使おうともお前のような奴に絶対に負けない事がこれまで命を落としてきた人達への弔いであり、俺のプライドだ!!!」
足利は強く、さらに強く野比を殴りつける。
野比は怒りに支配されまともに能力を使えなくなってきていた。
野比も足利を強く殴りつける。
足利の頬骨が折れたが治らない。
「精神と同様、能力も不安定になってきたようだ。俺が殴った衝撃がただ蓄積され殴る事で破壊が発動されているんだろうな。」
足利は野比の頬骨を折り返した。
ここからは純粋な殴り合いへ発展した。
ここからは見るも無残な肉弾戦だった、精神を乱しているとはいえ純粋な格闘になっても野比の方が実力が上なのだ。さらに野比は拳銃で弾が切れるまで足利を撃っていた。銃弾では足利に傷は残せずとも負傷した上で発砲されると流石の足利でも隙ができる、それを狙われたのだ。野比の負傷自体は比較的軽く足利に比べれば身なりが綺麗に見えるほどだった。それに対し足利はあらゆる骨を折られ痛みに耐えながら攻撃を続けていた。超能力者や野比による被害者の痛みを思えば足利にとってこの程度のダメージはなんてことなく、おせちや長島に大久保や荷水流、母親の足利ひのきなど残された身内を守りたいという意志、これ以上誰にも傷ついてほしくないという気持ちが足利の闘志を燃やした。足利は自分の片足首にひっそりと手錠をかけていた、足を振って手錠を回転させもう片方を野比の足首に引っかけ全体重をかけて野比の足を掬った。野比は後頭部を強打した。
「どれだけ優勢だろうと、後頭部をやられちまったら逆転負けされる。超能力者だろうが相手が人間であれば関係ない。」
「あ…し…か…」
足利は片手で野比の頭を掴んで持ち上げる。
「これで最後だ、お前はさっき無駄な殺しはしないと言ったな。だが俺はこの世に無駄な命はないと思うぜ。」
足利は足の手錠を素早く外し全ての力を込めて顔面を殴った。
野比は2mあまり飛ばされ気絶した。
鎮痛剤をもってしても気絶するほどの力で足利は殴ったのだ。
「はぁ…はぁ…こんな手、普通は使い物にならない…。お前が事前に来る事がわかっていたから準備ができただけだ……。俺が勝てないであろう相手を2度に渡って送るとこと、池上以外の人間に刺客を送らせ他にも敵がいる事を認識させる事で俺の不安を煽る事が池上の目的だったんだろうな。だけどむしろ吹っ切れたぜ。俺はもう迷わない。確かに敵はたくさんいるかもしれない、全てを守れるほど俺は強くないかもしれない。だけど俺を支えてくれた人達のためにも、何よりも俺が信じたものを貫くために…絶対に負けない!」
「足利さ〜ん!!」
後ろから隠れていたおせちが駆け寄ってきた。
足利は指でグッドをした。
今回の作戦は諸刃の剣ともいえる、そして足利の耐久力と土壇場の爆発力なしでは成功し得なかった。おせちを殺すと言われおせちを守りたい気持ちが足利の力を底上げした。父である足利竜巻と親友の神戸宇月を失った悲しみを力に変えていたのだ。
「足利さんかっこよかったよ!!」
「…どこが?」
「だって…!私のためにあんなに頑張ってくれたんでしょ!!」
足利はおせちを事務所内に、屋上のタイルの下の隠し空間に隠れさせていた。わざわざ誘い込んだ場所におせちを隠すと考えないと思ったのだ。タイルも足利が何度も調整したため内側からロックをすればズレから出入り口を判断できないようになっている。
「ごめん、野比が来るまでの間は毎晩ここで寝てくれ。」
「すごい!!外からじゃ全然わからないね!」
「だがこれは気休め程度でしかない。」
「え?」
「俺が負けたらお前も十中八九殺されると思ってくれ。野比はそれだけ恐ろしいやつだ。あの能力では警察の手に負えない。」
「え…。」
「だが約束する、何がなんでも俺は負けない。」
「足利さん…!」
「後この辺色々仕掛けてあるから足元には気をつけてね。」
おせちは手を組んで感激の眼差しで足利を見つめた。
ボロボロで限界と言った顔だった足利はその眼差しに笑いかけた。
その後、現在政権を握る政党の中で争いがあった。
「お前!足利に刺客を雇ったって本当か!!」
「しょうがないだろ!Y.R.P.野比が捕まってしまえば俺が雇った件についてもバレてしまう!!」
「くそ!こんな事がバレたら我々の政権も終わってしまう…!」
「みなさ〜ん。」
ベガがどこからともなく現れた。
「だ、誰だ!!」
「ふふふ。私はどうだっていいの、これを見て。」
ベガはタブレットを見せつけ、そこには池上透とテレビ電話が繋がれていた。
「い、池上…!!」
「お久しぶりですね、どうやらみなさんお困りのようで。」
「お前だろ!最初に野比を足利に送ったのは!!そのせいで俺達は危機なんだぞ!!足利に無闇に刺客を送りやがって!!」
「その話をしにきたんだ、みなさん、私が送った刺客達、いやこれまで私の組織で捕まった人間達については当然知っているだろう?」
「当たり前だ!!」
「だがそれは彼らの証言でしかない、直接私が命令を下した記録や物理的な証拠は出ていないんじゃないか?」
「それが割れてればとっくにお前なんぞ。」
「それが私とあなた方の違いだ。」
「え?」
「あなた方にも後ろめたい話がある、だが痕跡を隠しきれていない。だからこうして今日もみっともない言い争いをしていたのでは?」
政治家達は言い返せなかった。
「そこで私からの提案だ。これから殺し屋を雇いたい時は全て私を仲介させてくれないか。」
「!?」
「これからも都合の悪い人間は消していくんだろ、だがお前達の力では痕跡をなくすのは限界がある。だが私を通してくれればこれまで私が見せたように刺客が捕まっても雇い主に繋がる事はできない。仮に繋がったとしてそれは私の責任になる。お前達にとって得しかないだろう?」
「……っ!!」
一度政治家達は沈黙した、目を合わせあった。
池上はこの2年間暗躍を続けていた、しかしそれは全て捕まった人間の証言からしか確認できず証拠は何も出ていない。それは池上が未だに捕まっていない事が何よりも証拠だった。
そしてしばらくするとそのうちの1人が声を出した。
「…いくらだ。」
「わぁい!上手くいきましたね!!」
「あぁ、これまでの私の暗躍は全て芸でしかない。長い時間をかけたのも全て、奴ら自身が私の腕を理解しこの取引を成立させるためだ。政府から追い出されようと日本はまた裏で私の支配下となるわけだ。計画は順調に進んでいる。」
「足利はどうするのです?」
「刺客は送り続ける、私は捕まらない。彼は終わらない戦いに身を投じる事になる。彼が姫の花を諦めるまで送り続けるまでだ。」
「…ふふふふ。」
ベガは嬉しそうな池上の横顔をただ見つめていた。
長島は皇居外苑のベンチで休憩をしていた。野比が再び出ていく事がないように手続きするのにやっとひと段落ついたと言ったところだった。静かな風の音を聞き休んでいるとやがてその空気が乱れた。周囲を見渡すと誰もいないのだ。
「…長島何時希様でございますね?」
後ろを振り向くとそこには現杉並区長、山吹 郵子が立っていた。
「なあぁッッ!?」
周りに他の人々がいなくなっていたのは皇居の周りに警備を敷いていたためだ。全て長島と会話するためだけである。
「ご無沙汰しております。」
「い、いえ!こちらこそ。」
長島は深々と礼をした。
何を隠そう、池上透が池上茂夫の大量殺戮をもみ消していた際にさまざまな人物に懸賞金を出し逮捕を呼びかけたのはこの人物、足利竜巻に依頼を送り足利流星に懸賞金を渡したのはこの人物である。彼女自身は与党の人間ではなく野党として悪事を働く与党に立ち向かうべく独自に行動している政治家だ。
「まずはお礼を言わせてくださいまし、長い間戦ってくれてありがとうございまする。」
「滅相もございません!全て山吹さんが支援をしてくださったおかげです!」
「お互い様ですわ。」
山吹は長島の隣に座り、オロラミンCを渡した。
「あ、ありがとうございます。」
長島は一口飲んだ。
山吹はすでに一本飲み干し鞄からもう一本出した。
とてもお淑やかで礼儀正しく謙虚な女性だが常に悪徳な政治家に反抗を続けているため寝る時間がなく常に目が見開いていて血走っている。
「足利流星様のご活躍は今でも聞いております。もちろん、あなたの頑張りも。」
「いえいえ、全て流星くんが体を張ってくれているおかげです。」
長島は周りを見渡す。
「盗聴器は確認済み、半径50m以内には私達しかおりませんのでどうぞ気兼ねなくお話を。」
「は!では話します、流星くんはついに姫の花のありかを突き止めました。」
山吹は何も言わず、話を聞く姿勢でいた。」
「あの姫花の街は戦時中に兵器開発のための都市として作られており、その研究施設が街の地下に存在しています。そしてその中に姫の花があるそうです。これはこれまで出てきた証拠、流星くんの調査、外部からの資料と照らし合わせた上での考えであり、一度だけ流星くんの目の前に現れたとされている池上透本人がその通りであると言っていたそうです。」
山吹は目を閉じた、しばらくすると目を開け顔を長島に向けた。
「池上は嘘をつくのを嫌う性格です。池上本人が認めたのであればその話は本当なのでしょう。ご苦労様でした。足利様にもそうお伝えください。」
「はい!」
「やはりそういう事でしたか。」
「?」
長島は唖然とする。
「池上がついに尻尾をだしたのです。」
「なんですって!?」
「殺し屋を雇うなら私を仲介しろ、そう与党に持ちかけたようです。」
長島は空いた口を閉じた。
「足利様を直接挑発したのなら決まりです。これは彼からの宣戦布告、あえて隙を見せる事で私達を炙り出し返り討ちにするつもりなのでしょう。」
「ですが私や山吹さんの事は奴も知っている、なぜわざわざそんな事を。」
「隙を見せれば私達は何が何でも池上を捕まえようとする。その時に私達は仲間の手を借りる、つまり私達だけでなくそこに協力している人間全員を炙り出すつもりなのです。それを徹底的に潰し見せしめにする事で2度と反抗勢力がでないよう抑止力にする。といったところでしょう。」
「なんて野郎だ。」
「それにあなたは池上のせいで奥様と娘様を亡くし、私は反池上派として名を連ねている、私達が暗殺されれば池上の仕業だと周囲は思うでしょう。権力を振り翳したい彼にとっては私達ほど美味しいエサはありません。最高のタイミングで私達を殺める事で自分の力を見せつける、それが目的のはずです。」
「確かにあの男ならやりかねませんね。」
「…足利様が最後に池上の刺客と戦ったのはいつでしょうか?」
「野比が東京に輸送される前日、先週の木曜日です。」
「きっとこれからはさらに刺客が増えるでしょう。もしかしたら野比を倒した事…いえ、2年に渡り池上の手下を倒してきた事はまずかったかもしれません。」
「な、なぜ!?」
「なあおせち、おそらくだが池上との交戦はこれからさらに激化すると思う。」
「えぇ!?」
「だが俺は絶対に負けない、お前も絶対に守る。」
「どうしたの急に?」
「俺はこの街に来てから池上の刺客を倒してきた、そしてお前と出会う以前も何度か池上の手下を倒している。だがそれは全て奴の考えのうちだったのかもしれない。」
「あなたと足利様は2年もの間超能力者達に立ち向かってきました、その中には池上の手先も多くいました。ですが池上の手下を何人も捕まえた事も、今回の事も、池上の手の上で遊ばれていたにすぎないのかもしれません。何人手下が捕まろうとあの男の居場所には繋がらなかった。きっと全て絶対に尻尾が掴まらない刺客を政府に売るためのアピール、マーケティングに過ぎなかったのです。」
「もう、せっかく私も池上様のために本気で刺客を見つけてきたのに。やられてもやられなくてもどっちでもよかったなんて。」
「いや、この計画が進んだのに君の存在も一躍買ってた。足利に毎度ギリギリの戦いをさせる事で足利は私が本気である事を是が非でも感じた事だろう。」
「じゃあ足利さんのこれまでの戦いは間違いだったって事?」
「そんな…僕達は一体なんのためにこれまで戦ってきたんだ…!」
「私は刺客達が足利を殺す事がベストだとは思っていたよ。もちろん刺客を送ったのはそれが1番の目的だった。ただそれが失敗しても大丈夫なように準備をしていただけさ。なあベガ…君に成功の秘訣を教えよう。成功するために必要なのはミスを無くす事、ミスした者を責める事じゃない。ミスが発生した時のために工夫をする事なんだ。」
「いいえ、長島様と足利様のご活躍は決して無意味ではありません。私が保証します。」
「安心しろ、おせち。前にも話したよな?そもそも池上を表舞台から追い出したのはこの俺だ。」
「私の計算通りこれからは政府は私を支援することになった、だがこれで終わりじゃない。ここからが始まりなんだ。私がこうなったのはそもそも足利が原因。すでに一杯食わされている。やっと奴と対等の立場になったといったところだろう。これからが本当の勝負、足利に勝って初めてこの計画は完遂する。」
「池上がまた這い上がってくるのなら、前と同じようにもう一度叩き落としてやる!!」
「これからは池上との徹底抗戦、私も協力致します。絶対にこのタイミングであの男を倒しましょう!」
「山吹郵子…あの女もきっと勘づいている、昔から私を目の敵にしていた。山吹率いる足利や長島、その一派をここでもろとも叩き潰す!」
「おせち、父さん、長島さん…そして宇月、俺を後押ししてくれる人達や、大久保くん含め超能力により苦しめられた人達のためにも、俺はこの事件を解決してみせる!」
「私が勝てば世界は変わる。」
「私達がここで勝てばこれまでの全てが報われます。」
「俺達が勝てば真実に届く!」
「勝つのは!私だ!」
「勝利は私達のものです!」
「俺達が勝つ!」




