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2人目の少女が依頼に来た6
「正直、どこにでもありふれた物語だと思いました。これ、主人公は私ですよね?主人公、そこはパティシエに聞こうよ。って感想を抱かせて一歩前に踏み出せって話でしょ?どこにでもある、平凡な、ありふれた話です」
覚悟したような表情で、三鷹 聡子が言った。ありふれた物語という言葉が俺にボディーブローのように効く。オリジナリティを出したつもりだったのに。今はそんなことを考えている場合じゃないのだが。
「そんな精神論じゃなくて実践で使える話が読みたかったです」
「おめでとう。実践できたじゃないか」
田中 栄太が小さく拍手をした。
「え?」
三鷹 聡子は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。
「聡子さんは”自信をもって発言”したかったんだろう?だいぶん回り道をしたが今、それをしたじゃないか」
「あっ」
なにかに気付いたように三鷹 聡子が声を小さくあげた。
経過はイレギュラーだったが俺の意図は三鷹 聡子に無事伝わった。ホッとしてため息が漏れる。
「ありがとうございました」
スッキリとした笑顔で俺たちに頭を下げて三鷹 聡子は俺たちの前から立ち去った。
「さて、鳴海君」
机に両肘をついて手を組んだ田中 栄太が俺の名前を呼んだ。




