貴族社会って大変
小難しい話がいっぱい
数年の時が経ち、4歳となった。
コンコンとノックの音が聞こえる。
「シルヴィお嬢様、クレアです。お時間よろしいでしょうか。」
「ええ、どうぞ」
「失礼いたします、おや?勉学に励んでおられたのですか?」
「兵法と産業について少々ね」
「昨日は魔法学について学ばれてたではありませんか。教育は6歳から始まります。旦那様も仰られた通り今はお遊びになってもよろしいのですよ」
「分かっております。私も無理をしてるわけではないのですよ。お兄様が息抜きに誘ってくださるので遊ぶこともしております」
フランソワ家には、長男と私である長女がいる。今年になり、弟が生まれた。
ラブラブなのである。こうよくある異世界転生系にある夫婦仲最悪とか覚悟してたがよかった。
使用人達との関係も良好であり、主従関係がしっかりしている。
当事者となって分かるのは、公爵家というだけあって基盤がしっかりしている。そして、格式の高さも伺える。
うむ、このレベル求められると吐くぞ。
基盤がしっかりしてると何がいいって、領地における統治がしやすい。公爵家は、任された土地の統治をしないといけないが広大だ。
そこで、手の届かないところにほかの爵位を向かわせて代わりに統治してもらう。
そして、ほかの爵位で決断出来ないことを公爵家が指示するのだ。故に仕事量が段違いなのである。
それは置いといて、各領地からの報告書や各領地の環境報告書を作成、提出する義務。不義を犯した場合の処罰。産業などにおける人員の確保など統治するために必要な基盤がしっかりしているのだ。
その上に各領地からの連絡方法などなど乗っかったりするのだが、それはおいおいね。
さて、貴族における公爵家とは、前世の世界では国王の親族や最側近が任命されることが多いものだが、この世界では少し違う。
国王の親族や最側近の他に王家に忠誠を誓いながらもその有する権力が王家に迫る大貴族が任命されたりする。
公爵家として求められる仕事量が段違いなのだ。とてもじゃないが6歳から始めてたら俺の目標的にも間に合わない。故に勉強に励んでるんです。はい。
ちなみにフランソワ家は、新興の公爵であり、父と母は、元勇者と第2王女であったりする。
勇者と王女様の間に生まれたのが俺ですね。クソが。
それ故に背負ってる期待がとてつもない。兄が。
俺の目標の為にはどうにかしないといけないしがらみがある。
公爵家については、男性が引き継ぐため、兄か弟が次期当主になるだろう。
なれなかったとしても騎士団に入団する、領地の警護隊に入隊する、冒険者になる等いろんな道があるが、女性となると話が変わる。
貴族社会における女性の役割は、血統を残す、家を支えることになる。
その意味とは、家同士の繋がりを強固にする外交的側面。これにより家を支え、子をなすことで両家の血統を残すことを求められる。
故に、婚約者ができたりするのだが俺的にはこの役割をこなす自信が無い。
今のところ男のところに嫁ぐ自分が思い浮かべられないのだ。
さて、貴族社会の女性が取れる道は他にもうひとつ。
教会に入り、修道女かシスターになる道。
簡単に言うと子供を産みたくないとか行き遅れたとか爵位を剥奪された女性が取る道である。
だいたいは、シスターとして子供たちに勉学を教えたりするが、爵位を剥奪された人は修道女として祈りを捧げる生活をする。
この道は爵位を剥奪される以外に公爵家である私は取れない。というのも、公爵家の血を残すことが何より優先されてしまうため、教会側がNGを出す。
俺的に取りたかった道である冒険者になるという道。これは読んで字のごとく冒険者になって旅をする道なのだが、これを取れるのは伯爵家以下。
公爵家が国を出て他の国でっていうのは他国との外交的によろしくないのでこの道は強制的にシャットダウンなのだ。
父的に指示してくるのは、結婚の道だろう。
だが、俺は結婚したくないかと言って修道女になりたくない。働いていたいのだ。
キャリアウーマンこそ至高!
…虚しい現実逃避終了と。
一応道は無くはないのだが、茨の道もある。
それは魔法学研究者の道。
ただ、それほどまでの功績を残せるのかというところに限る。公爵家のご令嬢がこの道に行った事例はあるがこれまたとんでもない研究して、国に利益をもたらした。
凡人の俺にそんなこと出来るわけない!現代社会の知識があるのに、それをもってしてもこんなの思いつかないよ!もう!
あれよあれよと考えてたのが、不興を買ったと捉えられたのか謝られた
「申し訳ございません、お嬢様。少々口が過ぎました」
「いえ、クレアが言うことはごもっともです。ただ、クレアが気づいてないだけで、私も結構遊んでおりますよ」
「そうなのですか。6歳から勉学が始まりますゆえ、今このときを精一杯楽しんで欲しいのです」
「ええ、ありがとう。それで話がそれて申し訳ないわ。要件はなんでしょうか?」
「新たに従者が増えましたため、ご挨拶に参りました」
「フランと申します」
クレアの横にいたメイドさんがお辞儀をした。
「私は、シルヴィ・フランソワです。せっかく来て頂いたのにこのような片手間のご挨拶になってしまい申し訳ございません」
いえいえと首を振るフラン。
「クレア、この方とお話したいから席を外してくださいますか?終わり次第、呼鈴を鳴らします」
「承知しました、お嬢様。では、失礼いたします。」
唐突に公爵家のご令嬢と2人っきりにされて震えてるフランさん。可哀想に。
「ごめんなさいね。私は堅苦しいのが好きではないので、砕けた感じでいたいのですが、貴族でしかも公爵家となるとそうもいかずこう2人だけの場にしないと話せないこともあるの」
「そうなのですね」
「ええ、私との2人っきりの場では無礼講です。ただ、公の場では申し訳ないのですが、公爵家のご令嬢として小言が多くなる場合があるので、許してね」
「承知しました、お嬢様。無知で申し訳ないのですが、無礼講とはなんでしょう」
「ふふ、異国の文化でね、簡単に言うと最低限のマナーで仲良くしましょって意味なの。身分の差での食事ってどうしてもマナーに気を取られて本来の食事を楽しめなかったりするでしょ?」
前世では、身分や上下関係のしがらみを取り払い、堅苦しい礼儀を抜きにして酒や食事を楽しむ宴会のことで使われたりしていた。現代社会であると、最低限のマナーで楽しみましょうって意味合いなのだが、俺は肩苦しい雰囲気ではなく、気楽にお話しましょうという感じで言ってる。
「無礼講には、最低限の主従関係の元しっかりとした信頼関係を築きましょうっていう事だと私は考えてるわ」
「勉強になりました」
「オンとオフの切り替えが大変だと思うけど、出来るようになるとストレスなく働けるようになると思うの。私が勝手に始めたことなんだけど、お父様もお母様もどこから知ったのか取り入れてるから、許可が出たら無礼講でお話出来ると思うわ。ただ、公の場を想定していろんな従者が出入りするからその時は切り替えられるかってテストだと思って頑張ってね」
「ご助言ありがとうございます」
驚いた顔をして、感動したように頭を下げたフラン。
「それでね、ここから肩苦しい話をするわね。最近、新しい従者が来る度に、話すことになるのよ…」
これもどこからが漏れたのか、勝手に話して考えてもらって意見を貰うために始めたことなのにフランソワ家の恒例行事になってしまったのである。
ほれみろ、フランさんもはぁって顔をしとるやないかい。
「フランさん、いろんな理由でここに来たと思うのだけど、貴女はここの従者となった以上、フランソワ家に仕える従者という認識を持って頂きたいの」
よかった、始まった瞬間に真剣に聞いてくれる。
「フランさんもそのうち、公の場に出ることがあるわ。その時、フランさんはフランソワ家の従者の代表っていう目で見られてしまうわ」
前世でいう営業と変わらない。その会社の代表として、営業することになる。その行動がそのまま会社の評価になってしまう
「ミスをするだけで、フランソワ家は従者を育成できないとまで思われてしまう可能性もあるの。ただね、ミスをするなと言う訳ではないわ」
人は誰しもミスをする生き物だ。ミスを恐れては卍がラメになってしまう。ミスをして次、同じことを繰り返さなければいいのだ。そうやって成長するものだと思う。
ただ、異世界転生の貴族の悪役たち!君たち同じミス何度してるの!ダメでしょ!
「小さなミスであれば、私とかお父様が頭を下げて、貴女にお話をする。で、貴女が次回以降同じミスをしないようにすればいいのよ。便宜上、叱責はしますが次に活かして頂ければいいから。でも」
一拍おく。
フランさんがとても真剣だ。4歳児の戯言っすよ
「無礼を働いたとなると話が変わってしまうわ。まぁ、理不尽な糾弾だったら、私やお父様が庇うからそれは置いといてね」
よくある理不尽に糾弾して脅してるやつね。あれ、絶許。ただ、悪役令嬢物にある言い分に間違いがないパターンのやつ。あれの場合は話が変わっちゃうってことね。
「無礼を働いた場合は、貴女を庇うことは難しいわ。それは公爵家として、しっかり処罰できるか見られてしまうから。甘い処罰だと周りがうるさいからね」
フランさんが少し真っ青になってしまった。脅したい訳じゃない。
「だから、新しく来た方にお願いしてることがあるの」
「なんでしょう?」
「礼を覚えて欲しいの」
「礼…ですか?」
「ええ、貴女は今日からこのフランソワ家の従者になったわ。貴女の労働力を求める代わりに私たち雇い主は貴女の衣食住を与え、命を守る義務が生まれたわ」
前世でいう、会社の仕組みと同じだ。
俺たち労働者は時間と労働力を売って、会社は衣食住という名の賃金と命というなの健康を守る義務がある。だから、健康診断があったりすると思ってたり。
今世では、そのまま貴族の家と従者の関係が、会社と同じだと思ってる。
ということで、何故礼を覚えろって話だが従者の命を守るために最低限の武器を持って欲しいと考えてるからだ。よく言うでしょ?生きる意志がない奴から死ぬって
「貴族社会という中で、貴女を守るためには礼を覚えてもらう必要があるの。礼を覚えるだけで変なことを言ってくる輩が減るし、最初に話したフランソワ家の従者代表としての格を見せられるからね」
「そうなのですか?」
「ええ。そういえば、フランさんはどちら出身なのかしら?」
「私は、山間部の土地を任されておりますヤマシナ家から参りました」
ヤマシナ家か。爵位は男爵。
男爵家のご令嬢だったのね。
「私はまだ社交界デビューさせてもらえないから、予想で言うけど居心地最悪だったでしょ?」
「…はい…。」
とてつもなく言いづらそうにしていた。
「おそらく格下と見られてマウントとられたり自分が授与された訳では無いのに偉そうにしてたり陰湿ないじめがあったり、おべっかばっかりだったりするのでしょ?」
おお、フランさんめっちゃ縦に振ってる。
ここはテンプレ通りなんかい。
「そういうときこそ、礼が役に立つの」
今度はめっちゃ?浮かべとる…。
「礼って何かって考えたことある?」
「そういう所作とだけしか思っておりませんでした」
「普通はそうだと思うの。礼って読み解くと実は自分の格を見せる武器になり、命を守る盾となるのよ」
礼ってそういうものと認識して終わりだと思うが、読み解くと面白かったりする。
礼とは、身分社会におけるルールであり、命を守るための安全装置的側面がありながら、相手との信頼の証としての盾の側面と自身の格と育ちの良さを示す武器的側面がある。
「所作や佇まい、言葉使いにおける行動により、私はここまで学び、ここまで実践できますといった格を見せることで相手はそれ相応の応対を求められるから下手なことが言えなくなるのよ。要するに威圧してるようなものなのだけど、貴族社会的には、そこまで教育が行き届いてると受け取られる。故に馬鹿にされないための武器になるわ。その実、私は貴方を敬っております。命を狙っておりませんという言外の意味を持つ盾にもなるわ。礼をこなせる従者がいるだけで、実はお家的にも有利になることが多くてね、礼を学んで欲しいという話に繋がるわ」
フランさん、もう学校の生徒のような聞き方をしてめっちゃキラキラした目で見られるんだけど…。
我、4歳児ぞ。
「ただ、やりすぎた礼は宣戦布告と取られてしまう場合もあるから、やり過ぎには注意よ。礼については、メイド長や他の方々が教えてくださるから無理のない範囲で学んでね」
「はい!頑張ります!」
おお、フランさん。めっちゃはっきりと返事するな。毎回、話すともれなくこう私ついて行きます!的な感じになるのなんなんや…。
「ふふ、これから覚えること多いと思うけど何かあったら夜に私の部屋に来てね。お話聞くことだけしか出来ないけど、話し相手になるわ」
机に乗せてるベルを鳴らす。
少し待てばクレアさんがきた。
「お嬢様、お話は終わりましたでしょうか?」
「ええ、時間を取らせてしまって申し訳ないわ」
「いえ、この家に仕える者として大切な話です。お嬢様のお話を聞く前と聞いた後では他の者でも日々の過ごし方に大きな違いが生まれております」
え?そうなの?
みんな凄いなぁと前から思ってたけど、そんなことになってるの?
「そうなの?」
「ええ、私でさえ考えさせられました。何となくやっていたこと、何となく教えていたこと。お嬢様のお話を聞いた後、考えさせられました。私の行動でどう見られてるのか。新たに仕える者にどう教えるべきなのか。何故気づけなかったのか、この歳まで生きてきて恥ずかしい思いです。公爵家の従者という認識が甘かったのですから」
「フランソワ家は、公爵家の爵位を授与された家柄の中では、新参であると、父上からお聞きしております。これから気を引き締め、仕えていただければ嬉しいです」
「ありがとうございます…。では、失礼いたします。」
「失礼いたします。」
そうして、クレアさんとフランさんは部屋を出た。
小娘が説教ぽいこと言って怒ってなければいいなぁ…。
続きの勉強するか…。
ークレアサイド
「お嬢様って何者ですか?」
唐突にフランが質問してきた。
「どういう意味です?」
「シルヴィ様は、4歳でありながらあれほどの知性をお持ちなんでしょうか。お嬢様の話を聞いて、礼についてなんて今までなんなくこういうものという認識しかありませんでしたが、考えさせられました。」
静かに聞く。私も考えさせられたから。
「社交界で覚えないといけないマナーだから、覚える。普通はそこしか学びません。ですが、社交界デビューしてないお嬢様が、礼とはなにかとお話されたのです。お嬢様の話と私自身の体験を持って納得しました。フランソワ家の従者として礼を改めて学ぶ必要があると」
私だってそうだ、フランに教える立場でありながら私自身学ばなければならないことが多いから
「そうね、公爵という爵位の家の従者だからこそ主と同じかそれ以上の礼を学ばなければならないわね」
「ええ、それに気付かされた時思ったのです。お嬢様は何者なのかと」
「そうですね、4歳という歳でありながら話し方も知識量も大人を凌駕してると思うわ。ただ、旦那様と奥様を見てるとそういう子が生まれてもおかしくないと思いますね」
「そうですね、元勇者の旦那様と元王女様であり聖女の肩書きだった奥様の子ですもんね」
「まぁ、ここだけの話ですがシルヴィ様の兄であるジグリス様は大人びておりますが年相応なので、シルヴィ様は謎が多いのですがね」
「そうなのですね…。ジグリス様もシルヴィ様同様大人顔負けの方と身構えてました」
「ふふ、次はジグリス様の元へご挨拶に向かいましょうか」
「はい」
こうして新人の挨拶回りを終わらせて、翌日から従者として教育していくことになり部屋に戻らせた。
旦那様と奥様に呼ばれたため、執務室へと向かった。
ドアをノックし
「クレアです」
中から入室の許可が出たため、執務室へ入室した。
「遅くなり申し訳ございません」
「お疲れのところすまないね、ここは私と妻だけだ。かしこまる必要はない。無礼講というやつだ」
フランソワ家当主であるアルライト様、奥様であるフリージア様との縁は勇者や聖女であったころからの中である。
「ということでしたら…。これでいいか?」
「ああ、やはりクレアはこうでなくてはな」
「そうね、一緒にパーティー組んでダンジョンを攻略してた仲ですもの」
「シルヴィは、よくこの文化を探し出してこの家に浸透させてたよ。人目のないところ限定ではあるけど、こうやって昔のように語らえるのは嬉しいことだ」
「そうね、こういうオフがあるからこそ次の日も頑張ろうって思えるわ」
「そうだな、この家限定とはいえシルヴィ様のおかげで頑張ろうって思える活力になるよ」
「クレアには、俺たちの我儘なのにこうやって仕えてくれて助かるよ」
「私としても一緒にいたかったし、家の都合で嫁入りする心配もなくなったしでありがたい限りさ」
「そうね、こうやって昔みたいに語らうことはできないと思ってたけど無礼講という文化のおかげで昔のように語らうのは楽しいわ」
和やかな時間が過ぎていく、今日あったこと、執務中にムカついたこと。これやりたかったなってこと色々話し込んでいた。
「そういえば、今日新しい子が来たと思うけどシルヴィの元に?」
「ああ、シルヴィから礼について説かれたと言ってたよ」
「シルヴィはどこから学んだのかしら?父から貰った蔵書を読んだのだろうけど、文字の読み方を教えてないのに。」
「シルヴィお嬢様は、どこで学んだのか魔法も使えますからね」
「5元素に加えて2要素も使えると聞いた時は驚いたものだ。私でさえ3元素が限界なのに」
魔法は、火・水・木・土・風からなる5元素と光・闇からなる2要素に分類される。
基本、人は1つの元素の魔法しか使えないのだが、稀に2から3元素、もしくは1要素使えるものがいたりする。
魔女と呼ばれる者でさえ最高で4元素プラス1要素なのだ。
聖女に至っては1要素である光特化であったりする。
「祝福の儀で虹色に輝いた時は驚いたわ」
この国では、魔法が使えることがわかった時貴族、平民問わず祝福の儀というものを行う。
魔力計測器と呼ばれる水晶の玉に触れるとその人の持つ素質が水晶に色として反映される。
火であれば赤。水であれば青。木であれば緑。土であれば茶色。風であれば黄緑。光であれば淡い黄色。闇であれば黒。
といったように色に出る。2色以上出た時は2元素以上の素質がある事になり貴族間ではステータスの1種となったり。
故に貴族の子の祝福の儀は注目される。
「ああ、大勢の中でシルヴィが触った瞬間虹色に発光した時は大ニュースとなって国中に知らせが飛んだな」
シルヴィは、表では、どうどうと裏では渋々と水晶に触れた。
そして、虹色に発行して眩い光か会場を包んた。
その時のシルヴィは、唖然としてたのは珍しいことで記憶に残ったものだ。
「前代未聞だからな、虹色の発光なんて。5元素プラス2要素扱う素質がありますという証明になったからな」
何かの間違いだとほかの貴族が騒ぎ出し何度も行われたが、結果は虹色。
フランソワ家を甘く見てた者に衝撃を与えたものだ。
「そうね、なのにシルヴィは気を大きくしなかったわ」
「ああ、公爵家の令嬢として勤めを果たしてた」
「帰宅されてからも、様子は変わらなかったな」
「時代が時代だったら大変な目に遭うところだったけど、平和な子の時代だからこそよかったわ」
「そうだな、伸び伸びと過ごして欲しいよ」
「件のシルヴィ様は、年頃の子とは違い勉学に励んでるがな」
「そうね…。そんな子だから社交界に出ると他の子たちに悪影響が出そうなのよね…。」
「シルヴィはあまりにも大人びてるし、来年からの社交界へ向けたレッスンもそつなくこなすだろう。故に完成されたシルヴィは、他の子達に差を見せつけてしまう。それがコンプレックスになってとなると悪影響になってしまうな」
「そういう憂いがなかったとしても、おそらく浮いてしまうだろう。シルヴィ様は同年代の子達と比べて大人びてる。大人の社交界に混じっても違和感がないぐらいにな」
「そうね、お兄様…現国王の子達と比べても大人びてるわ」
「国王と話す機会もあったが、シルヴィの社交界デビューは特例で出席しなくてもいいと言っていた。国王もシルヴィの事は、次世代の子達にどんな影響を与えるか読めないと愚痴ってたからな」
フランソワ家で行ってる無礼講の文化。これは王家にも伝わっている。
公爵の爵位の者たちは、皆王家に忠誠を誓った家柄であり、旧年来の友人でもあるのだ。
昔のように語らえる非公式の場において、王家の中でも無礼講が許されている。
その間は許された者のみしか参加出来ないのだが、知っているのは公爵家の当主のみである。
そんなこと知らず、シルヴィはまさかの王家へお呼ばれすることとなったのだ。




