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私はこの身体で『女優』を演じるの ~悪役にされたって、私は私を演じたい~  作者: 寿明結未(ことぶき・あゆみ)


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第3話 元婚約者、ロバートへの断罪も込めて

ブックマーク、評価などあると喜びます。

感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 それからは、マダムの店を私が買い取り、マダムには社長代理兼チーフとして働いてもらうことになり、三つの体型に合わせたドレスを世に出した。

 無論、コルセットで締め付けるタイプではなく、『洋服用のゴム』をメインに、苦しくないドレスを。


 途端、体型に悩む女性たちは殺到した。

 妊娠中なのにコルセットは論外なのよ。

 そういった妊婦達は挙って楽になるドレスを買い付けたわ。


 更に産後のドレス。

 産後と言うのはお腹の緩みがどうしても戻りにくい。

 そこを押さえつけてまで着るドレスなんて、意味がわからないわ。

 弛んだお腹は出産のために頑張ってきたお腹だもの。

 それを醜いと言う男はクズね。


 そして、それなりの年齢になってふくよかになった女性にも売れたわ。

 無論、デザインをしてもらって作ってほしいと言う依頼も殺到したの。


「ロザリー嬢のように、堂々とわたくし達も、自分の体に誇りを持って生きたいの」


 そうおっしゃるマダムたちにこそ、『ファリン』の店は受け入れられていったわ。


 そりゃそうよね。

 私が宣伝塔で、今やあちらこちらで〝Oタイプ〟の画期的なドレスで社交界に復帰したのだから。


 最初こそは、社交界に出てこなかった令嬢が、画期的なドレスを着てお父様と登場したのだから驚かれたわ。

 でも、それらはすぐに嘲笑いにも転じたの。

 けれど、化粧も髪型も違うだけで、棘となって飛んでくる言葉は減った方だわ。

 棘となる言葉を告げられても、扇で顔を隠して〝憐れんで笑ってやる〟と、相手は大声で叫び散らし、それだけで自分の品位を落とす。

 自分で自分の首を絞めているのよ。

 馬鹿げてるわね。


 特に馬鹿げていたのは、元婚約者の家だったわ。


「ロザリー嬢、婚約破棄に至ったのは貴女に責任があるのに、我が家に責任があるように押し付けるのはお止めください!」

「そうです! ロバートは貴女にアドバイスをしていただけですわ!」

「まぁ、そうでしたの? では、『婿()()()()()()()()()()()()()()()()()』というのも、そちらの家では当たり前のことなのかしら? それとも、我が家を馬鹿にしているのかしら?」

「なっ!」

「ロ、ロバート、あなたそんなことを言ったの!?」


 形勢逆転。

 その一言があったからこそ、ロザリーは自殺未遂をしたのよ。


「え、あ、えと、……ち、違います!」

「我が家のメイドも聞いている言葉ですわよ。隠し立ては出来ませんわ」

「う、嘘だ! でっち上げだ!」

「では、()()をしましょうか?」


 ――裁判をしよう。

 そう突きつければロバートは真っ青な顔をして「あ、う」と言うばかり。

 それを見ていたお父様は、大きくため息を吐くと――。


「お宅の息子さんは、どうやら性に奔放なようですな。調べさせたところ、娼婦にお気に入りが三人。その他、お付き合いしている女性が二人いるとか」

「ロバート!?」

「な、うそ、嘘だ! でっち上げにも程がある!」

「それも、借金まで持っている……。我が家の婿養子には到底なれない男でしたな」


 周囲はざわめき、ロバートの赤裸々な女性遍歴が顕にされたのだから、女性達は怪訝な顔をして扇で口元を隠し、男性陣も年頃の娘を持つ親は顔を顰めた。

 パンッ! と扇を広げ口元を隠すと、私はロバートに声をかけた。


「その借金、そちらの家では払えない額ですけれど……。どこの家に払わせるつもりだったのかしら?」

「ロ、ロザリー……。な、なぁ? 今からでも遅くはないだろう? もう一度」

「お断りしますわ。貴方のような家を傾けるような男、断固としてお断りですもの」

「貴様……っ! そんな見た目の癖に……っ! 言うことを聞いていればいいものを!」

「あら、婚約破棄をしたのは、そんな見た目の女は不要だとお考えだったからではなくて? それなのに今さら口説こうとなさるだなんて……ご自分のお言葉すらお忘れになったのかしら」


 嘲笑い、下品な男を見下す目で見ると、ロバートは顔を真っ赤に染めて拳を震わせていたわ。

 ――ああ、いい気味。

 我が家に借金を払わせて、その上愛人を作って悠々自適に過ごすつもりだったんでしょうけど、その話も既に頓挫している。

 今から元鞘に戻りたい?

 馬鹿なことを言うものね。軸がぶれすぎだわ。


 あまりにも自分勝手なロバートに呆れ果て、彼の両親はロバートに「どういうことなんだ!」と社交の場で騒ぎ立てる状態。

 その騒ぎを私は父と嘲笑いながら後にした。


「あんな男と結婚なんてしなくて正解だったな」

「ええ、全くですわ。わたくし、誠実なお父様のように、一途に愛してくださる方との結婚を希望してますもの」

「ははは、娘の理想が父親とは……光栄だな」

「ふふふ」


 こうして親子でジュースを飲むべく移動したときのこと――。


「ロザリー嬢。貴女の発案したと言うドレスは素晴らしいものね!」


 そう声を掛けてきた御婦人がいらっしゃったの。

 私はすぐに営業スマイルに切り替えたわ。


 敵には悪役を。

 客には包容力のある余裕の顔を。


 さぁ、営業を始めましょうか。

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